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65歳以上の高齢者の医療費が全体の半分、後期高齢者医療費が全体の3分の1の10兆円である。つまり、ごく自然のなりゆきで、人間は年をとって長生きすればするほど老人性疾患というか、ガタがくる機能障害がでてくる。医学の進歩によって死なないですむようになったら、病気が出てきたという当り前なことである。
20年前は高齢者は全体の7%しかいなかったから、現在のようになるとは、官僚は想定しなかったわけである。
だから官僚は医療費を抑えるために、老人に早く減ってもらいたいと本音で思っている。つまり老人はネガティブなのである。だから後期高齢者にも10%の1兆円の負担をお願いし、年金からさっぴくという措置をとった。一見もっともらしいが、もっと思慮のきく自民党の政治家のいた時代なら、待ったをかけたはずである。 それが2世の時代になってからダメになった。
これで自民党政治はおわりである。高齢者は自民党の支持層で、自民党は高齢者や農民、中小企業、小商店主などの世俗的なおじさんおばさん層にはさじ加減を甘くして、つまりほかでコストを吸収させて、票をプールしてきたのに、そういうお得意さんの顔をつぶすことが徐々に進行し、小泉内閣時代になって一気に放り出した。小泉内閣で300議席以上取ったというものの、それは一時的な国民の錯覚による成功にすぎない。
医療費増加で困っている老人は元中小企業や小商店、農民などの出身の人たちが多く、この人たちは現役時代も弱者として疎外されてきた上、年取ると、こんどは医療費を食う厄介者という扱いである。つまり一貫して弱者は行政の歩留まり外という扱いである。
一部の成功者を褒めたたえて、弱者の面倒はみないというのは、アングロ・サクソン流の価値観で、日本の古代からの価値観とは違っているのに、いつの間にか朱に交われば赤くなってしまった。そういう枠組みはいよいよ破たんに近づいている。
今、世間の声は1兆円くらいの金は老人から取るな、そういうのは日本の伝統にもとると言っているのである。これは父祖からの価値観だと言っているのである。 老人は本当にネガティブなのか考えてもらいたい。だれでもやがて老人になる。老人が増えて医療費が増えたなら、医者、看護師、介護師の雇用が増え、医療産業、医療技術が発達し、結構なことだとなぜ発想を切り替えないのか。ただ、金の出所が財政というだけの問題ではないか。