PR
Keyword Search
Calendar
Category
Comments
この本は200ページで1200円、やさしく書いてあるので読みやすい。これほどやさしく圧倒的な説得力をもって書くのは相当の学識に裏付けられていないとやれない仕事である。高齢者の私もまったく感心した。この本は第1部 明治の日本のはじまり と第2部 戦後日本の道のりと現代 に分かれている。
まず第1部は福沢諭吉の「学問のすすめ」からはじめている。福沢がなぜ学問をしないといけないかを説いたのは、当時は学問などしないでもよい時代だったからだった。農民の子は大人になっても農民で、商人の子は親の職をついで商人になるのが普通であり、身分制度でそう決まっていた。農民なら学問よりも、米の植え付け、草取り、稲刈りなどの仕事を覚えるのが先であり、商人の子はせいぜい字の書き方やソロバンを習って商売の仕方、客のあしらい方などを覚えれば良かった。明治政府ができてから義務教育制度をはじめたが、英語のコンパルソリイ エヂュケイションを「強迫教育」と訳した。つまり強権をもって国民にむりやり課すという感じ。これで農民や商人から、役にも立たない学問のために家業ができなくなると不満が爆発して学校焼き討ち事件まで起こった。福沢が目指したのは、身分制度は親の仇でござるで、農民でも商人でも学問をして身をたてれば国家の指導者や中堅層になれるし、収入も格段に増える。しかも国を強くするには、このような新しい国民が育ってこなければ、国を近代化できないという考えから発している。なぜ国を強くしなければならないかは、そうしないと西洋の白人国の植民地にされてしまうからだという危機意識からだった。