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読書メモ・TRPGリプレイ2(ダブルクロス1)
ダブルクロス・リプレイ・オリジン
『偽りの仮面』
矢野俊策/F.E.A.R 富士見書房 富士見ドラゴンブック
すごい。
相変わらず田中天さんの暴走もすごいですが、それについていっている社長もすごいです。
二人の暴走キャラクターも圧巻ですが、UGNチルドレンの二人がまたいい味を出してるんですよね。
これを読んでいる最中は『SMAPをダブルクロスでPC化』の作業の真っ最中。そして“どうPCを立てるか”“どうエフェクトを再現するか”といういろんなことを教えてもらいました。
“目から鱗”状態です。
Webリプレイだけしか読んでいないと、やっぱり弄り方なども分からなくなるんですよね。公式のリプレイの必要性を実感しました。
また、出てくる『エグザイル』もかっこいいんですよ、ほんと。
物語の方も、切なさが全開です。
GMが知恵を絞ってぶつけてくる展開を、一人のプレイヤーが全霊で受け止めているんです。だからこそ、エピソードに血肉が宿っています。
私としては、第二話『Felix Carpa』の『記憶』ネタが完全にツボに入りました。
私のネタ帳にも、また一ページが加わりました。
ダブルクロス・リプレイ・オリジン
残酷な人形
矢野俊策/F.E.A.R 富士見ファンタジア文庫/富士見書房
やっぱり矢野さんってすごい。このシナリオの練り込み方は半端じゃない。
『異能使いリプレイ』の時にも思ったのですが、劇的でありながら、背景世界も登場人物の心情の変化も見事に取り込んでしまう展開が素晴らしいです。
それでありながら自由度も高く、多少際物めいたキャラクター(準レギュラー陣)であっても、その活躍は非常にかっこいい。
今回、イサムも聖音も“濃い”キャラクターでありながらも、ストーリーの展開に見事に寄与していたのも素敵でした。
特にイサムのプレイヤー・“かわたな”さんの演技が素晴らしかった。…ほんとに前シリーズ“檜山ケイト”のプレイヤーさんですか(褒め言葉)?
また隼人のプレイヤーさん、呪われた侵食率との戦い、お疲れ様です(笑)。
また、椿の設定とGMの揺さぶり方、なによりプレイヤー・しのさんの演技も印象に残りました。
私の中にストックの無いキャラクター(純粋培養の優等生・戦闘員)だったのですが、その心の葛藤にはただ圧倒されるばかり。
椿のキャラクターには勉強させられることばかりです。
本当に良作のリプレイです。是非!
ダブルクロス・リプレイ・オリジン
破滅の剣
矢野俊策/F.E.A.R 富士見ファンタジア文庫/富士見書房
毎巻、ほんとに読後の満足感がずば抜けています。
読み終わったあと、『10月のサプリメントが怖い…』と思いましたね。
『芸能ステージ』が載っていたら、今度こそ小説書いちゃいそうです…(遠い目)。
今回のゲストPCの二人も、本当に良かった。
特に春日怜央の初志貫徹したFHっぷり(悪役ぶり、とは言わない。特殊な組織に生きる、血肉の備わったキャラクターでした)は見事としか言いようがありません。
狛緒の初々しいFHチルドレンも、主人公達とは又違う『特殊環境で育てられた存在』の悲哀と魅力を見せていただきました。
ゲストNPC達も、本当に良かった。
霧谷にしろ、真神にしろ、その中には善悪だけでは割り切れない思いを抱えて突っ走っている。
それが強く感じられ、その魅力を存分に発揮していました。
そして何より。
主人公二人の成長が本当にいいんです。
特に椿。彼女のキャラクターは私の中にはこれまで存在していませんでした。
『エグザイル』でありながらかっこいい。『優等生チルドレン』でありながら人間味が通う。『組織主義』でありながら、成長がある…。
彼女の成長と魅力、しのさんのプレイには、感動すら覚えます。
『主題を訴える力』は、小説や映画に勝るとも劣らない。エンターテイメントでありながら、素晴らしい物語として昇華されているんです。
それはプレイヤーの名演技に加え、“キャラクターの葛藤と魅力を120%引き出すGMのシナリオ裁き”があったからこそです。
素晴らしいプレイヤー達と、GMの矢野さんの紡ぐ物語。
残りはあと一巻。
楽しみにしています!
ダブルクロス・リプレイ・オリジン
未来の絆
矢野俊策/F.E.A.R 富士見ファンタジア文庫/富士見書房
リプレイでここまで感動したのは、始めてかもしれませんね。
このシリーズに出てきた全てのキャラクターが、本当に魅力的でした。ラスト間際に勢ぞろいするシーンなど、本当にドキドキしちゃいましたよ。
今回は綾淵さんが、とにかくいい!
「そっか、そんなラスボスもありなんだ…」
と目から鱗が落ちる想いでした。
これまでの敵達も、本当に魅力的でしたしね。
敵ではないけれど、憎まれ役の藤崎もいいですね。今回の椿に対する接し方など、少し見直しました。
藤崎のような堅物と、霧谷のような人間味のある上司と。この二人の間の信頼も垣間見え、その人間関係を羨ましく思いました。
ぼんくらーずもいいキャラですよね。
応理のぐだぐだっぷりはどーかと思うけれど(←プレイヤーの真髄ですね)、でも時に決めて見せるから意外(笑)。
でも、前回とは全く違う、戦闘での活躍ぶりには驚かされました。
『マグネットフォース』→『ラストアクション』→『イモータルライフ』のコンボで、『一人』を一ラウンドで葬る姿は驚きましたよ。
狛江もようやく『FHチルドレン』の自分を見つめなおし、より大きく成長し。
イサムは先輩達よりもずっとしっかりと現状を見つめて。
破壊力のあるギャグをかましつつも、ちゃんと『主題』にしっかりと絡み、物語を進展させて。本当に魅力的でした。
そしてなによりも、主人公二人の成長と『相棒』『親友』としての絆が素晴らしかったです。
男女ペアではありますが、色恋沙汰無しにその絆を描ききったのはすごく好感が持てますね。
『チルドレン』という設定が、ここまで素晴らしい物語を紡げるなんて。
私にはまったく想像できませんでしたし、カルチャーショックでもありました。
ラストの一行まで、胸を詰まらせながら読ませていただきました。
FEARの皆様、本当に素晴らしい物語をありがとうございました。
『ダブルクロス・リプレイ・ヴァリアント
消え去りし楽園』
矢野俊策・稲葉義明/F.E.A.R 富士見ファンタジア文庫/富士見書房
ダブルクロスの風景 ゲーマーズ・フィールド別冊
からの再掲です。
ですから、前著を持っている人は購入しなくてもOKです。
ただ、二つのリプレイ『平安京』『ロストエデン』を遊ぶにあたり、雰囲気の出し方などで非常に参考になります。
また読み物としてもすごく良いので、オススメです。
ダブルクロス・リプレイ・トワイライト
東方の快男児
田中天/F.E.A.R 富士見ファンタジア文庫/富士見書房
『ウィアード・エイジ(奇妙な時代)』と呼ばれる、微妙に歪んだ『第二次世界大戦前夜』を舞台にした冒険活劇。
…歴史やオカルトに関心があるなら、にんまりしたり、「阿呆らしい(褒め言葉)」と突っ込んだりすること請け合いです。
1938年の欧州を舞台に、ちょっぴりのリアルと、沢山の既存フィクションと、膨大な法螺を織り交ぜつつ、荒唐無稽な大活劇を作り上げています。
この世界を遊ぶには、ちょっぴりの『歴史&オカルト知識』と、たっぷりの洒落っ気があれば大丈夫。
『武術、改造人間、魔術に科学』と、四種四様の『異能者(オーヴァード)』の設定が突き抜けていて楽しい。
一人一人に濃い設定がありながら、チームワークも、物語への絡み方もばっちり。
個人的に印象に残ったのは主人公の『天花寺』のキャラクター。昔に好まれた『快男児』という言葉を見事に体現しています。最近のライトノベルしか読んでいない私には、返って新鮮に映りました。
ダブルクロス・リプレイ・トワイライト2
熱き夕陽の快男児
田中天/F.E.A.R 富士見ファンタジア文庫/富士見書房
オカマ、大活躍。
その一言に集約される…かもしれない今回の作品。
凄すぎるっ、クレオパトラ・ダンディ!
ただの化粧の濃すぎる白人オカマじゃない、オカマだけど漢(おとこ)なんだっ!
いや、田中天さんってやっぱり天才だと思います。
ここまで味のある変態はなかなか演じられないと思いますもん。
ストーリーそのものも、味のあるギミックが満載で面白いです。
個人的に嬉しかったのは、『サン=テグジュペリ』出演!
描写はとってもかっこいいし、彼の伝記を読んだことのある人間としては感動です。
他にもノーティラス号に、アラビアのロレンスに…(指折りしつつ)。
とにかく楽しすぎる一編です。
神話の世界も、当時の世相も垣間見せつつ、見事に盛り上げる彼らの手腕は素晴らしいです。
3巻も楽しみにしていますね。
『ダブルクロス・リプレイ・トワイライト3』
さらば愛しき快男児
田中天/F.E.A.R 富士見ドラゴンブック/富士見書房
とうとう、トワイライト・シリーズも完結です。
それにふさわしい展開と相成りました。
前半はお待ちかね日本・帝都!
今までとは打って変わって、渋く静かでほろ苦いテイスト。無論、ド派手なギミックもあります。
そして、ラストには一大スケールの叙事詩となります。
4人それぞれの成長も織り込まれおり、彼らのその後にも思いを馳せさせます。
映画版『鋼の錬金術師』にも出てきたあのギミックも?
いい意味で古き良き活劇浪漫に、ぶっとびテイストがうまく克ち合い、最高のシリーズとなりました。
おもしろさは折り紙つきです。
ダブルクロス・リプレイ・アライブ
『覚悟の扉』
矢野俊策/F.E.A.R 富士見ファンタジア文庫/富士見書房
前シリーズの『オリジン』が
“日常から隔離された少年少女たちが、日常に焦がれつつも非日常を選ぶ”
その悲哀と覚悟を描いたのなら。
今回の『アライブ』シリーズは
“日常を当たり前と思っていた人間が、非日常へと堕ちていく”
その葛藤と決意を描いています。
その意味では、『オリジン』と『アライブ』は対になるシリーズと言えるかもしれませんね。
もちろん、初心者への導入としては『アライブ』が適しています。
Dロイスの一つ、『賢者の石』をクローズアップしつつ。
さらに三人のPCに見せ場を作りつつ、話を纏めていくのはさすがです。
まだ今回はシンプルな作り(かつ、丁寧な描写)で、トリッキーさはあまり無いですね。
しかし、仕掛けは面白いですよ。
特筆すべきは、NPCの『三郎』!
素直じゃないけど、本当にいい奴なんですよね。
本性は渋い叔父様なんだけれど、デフォルメ体は手足をバタバタさたり。そのギャップが愛い奴です(壊)。
委員長でありながら肉弾戦キャラの元暗殺者ミナリ、野良支部長でありながらバックアップ万全の柳也、そして覚醒したばかりの紫帆。
彼らの成長が楽しみです。
ダブルクロス・リプレイ・アライブ2
『追憶の宴』
矢野俊策/F.E.A.R 富士見ファンタジア文庫/富士見書房
ほろ苦く、切なく、『ずれてしまう哀しみ』。
今回もまた、敵の造詣は見事です。あまりに哀しいその姿は、『ダブルクロス』の世界観やゲーム的なギミックをたっぷりと抱えているんです。
それに対するプレイヤーの選択とロールプレイもまた、素晴らしいとしか言いようがありません。
色々な意味で、勉強になります。
物語としても、ゲームの見本としても、本当に読み応えがあるんです。
柳也も、今回の第一話で惚れ直しました。渋くて苦い役どころっていいなぁ。
また、柳也の相方として登場した薫も、変人でありながら物語を進めるための手腕を発揮。自分と周りの両方を立てるという、見事な演技を披露していました。
ミナリも紫帆とは違う視点で、大切な日常を抱えている様子がぐっと伝わってきました。
そして主人公の紫帆。
オーヴァードの世界も常識も知らないが故に、自分なりの筋を通し、危険を負ってでも行動しようとする彼女。その姿はとてもリアルに感じられました。
プロのプレイヤーというのは、役者とも脚本家とも違う、また特殊な演技と描写能力を要求されるのだな、とも今回実感しましたね。
ドラマや映画のスタッフに、こういった視線の方を参加させると面白いんじゃないかな…ともしみじみ思います(特に『西遊記』とか…って、うなされすぎです自分)。
このシリーズ、続きが本当に楽しみです。
ダブルクロス・リプレイ・アライブ3
『因果の鏡』
矢野俊策/F.E.A.R 富士見ファンタジア文庫/富士見書房
色々なギミックを詰め込んだ、びっくり箱のような一冊です。
『ロイス・ダンジョン』や『フィロソフィカル・ゾンビ』など、普通のリプレイでは見られないようなネタが、ルールとうまく結びついて面白い話になっています。
また、ミナリの設定や成長が第五話に織り込まれ、彼女を中心に4人の友情が強まっています。
その息の合い方、魅せ方には唸らせられます。
その過程で、彼女達は物語の中心へと近づいていくのです。
最終巻、早く手に入れたいです。
ダブルクロス・リプレイ・アライブ4
『悠久の光』
矢野俊策/F.E.A.R 富士見ファンタジア文庫/富士見書房
クライマックスはやはり、壮大なものとなりました。
敵・味方、それぞれの『存在意義』を求めて、ただ信念をぶつけ合う――それは、矢野GMの特徴かもしれませんね。
一人の少女の成長としても、ゲーム世界の縮図としても、この本は読み応えがありました。
張られた伏線の回収も、その壮大さも、やはり矢野節全開で、期待を裏切られませんでした。
GMが投げかけた問題は、現実においても答えを出すのは難しいものです。
それを“キャラクターとして”全力の答えをぶつけるプレイヤーがいるからこそ、物語はここまで見事に盛り上がったんですね。
その思いの丈が、ぎゅっと詰まっていて、唸らずには居られませんでした。
『レネゲイドを抱えて生きてきたこと、その時間もまた、自分なのだ』
その言葉は、ある種の人生哲学をもはらんで、胸に突き刺さりました。
世界よりも何よりも、自分自身の全てのために戦う人々の、壮大な物語を楽しんでください。
『ダブルクロス・リプレイ・ストライク』
天からの一撃
小太刀右京/F.E.A.R 富士見ドラゴンブック/富士見書房
ただいま放送中の『仮面ライダー電王』や前クールの『カブト』で流行りの、“『特異点』を巡る時間と宇宙を駆け抜ける壮大なドラマ”。
それにダブルクロスのステージをクロスオーバーさせて、大ドタバタ騒ぎに発展です!
おそらく、PC1に田中天さんを起用したというだけで、読む価値があります(笑)。
変人演技で印象に残る彼ですが、今回もやはり『色惚け妄想高校男子』という変態を見事に演じ切りました。
…まぁ、これもある意味『うる星やつら』や『GS美神 極楽大作戦』から続く、王道主人公ではあります。
しかし、実際に演じるとなると、匙加減が難しいキャラクター。それを記号としてではなく、命を吹き込んだのは見事です。
また、他の三人も巧みなロールプレイを見せます。
まずは『シャル』演じる矢野さん。天さんとの長い付き合いから練りこまれた、ぶっ飛んだツッコミ芸の数々には脱帽です。
『マーヤ』演じる三輪さんは、主役との濃い絡みこそありませんが、着実に物語を進めてくれます。
そして『モルガン』演じる三田誠さん! ゲヘナのシェヘラザード・シリーズから想像していたのとは、全く違うはじけっぷりです。
GMの斜め上を行くキャラクターを作ってきたり、暴走したり。
天さんを食うようなトンでもない行動には、いい意味で裏切られましたよ。
…なんで彼を手放すかなぁ、グループSNEは(遠い目)。
こんな素晴らしいプレイヤーたちと一緒に、盛大に打ち上げられたドタバタシナリオを駆け抜けましょう!
ちょっと燃えて、壮大で、切なくて、大爆笑のお祭りは、参加するしかありません!
『ダブルクロス・リプレイ・ストライク2』
天からの呼び声
小太刀右京/F.E.A.R 富士見ドラゴンブック/富士見書房
大好評につき、なんと第二巻が発売決定!
田中天さんの『魂の双子』といっても過言ではない、とんでもない調和率を持つプレイヤーが現れ、さらにメタフィクション・パラレル・ストーリーが加速します!
世界の破滅と再生を巡り、特異点の起こす奇跡が物語と世界を混ぜ合わせ、混沌が生まれます。
前回の引っかき回し役であったはずのモルガンがストーリーを引っ張らなくてはいけなくなるあたり、伊蔵と勇のコンビの破壊力は恐るべし。
シャルやモルガンの抱える物語もより深まり、前回を超える衝撃が生まれます。
笑いすぎにより、腹筋が炎症を起こす危険性あり。注意して読むべし!
『ダブルクロス・リプレイ・ストライク3』
天からの逆襲
小太刀右京/F.E.A.R 富士見ドラゴンブック/富士見書房
ということで、大惨事系リプレイの最終巻です!
なにしろ今回の話は、前巻のラストでのプレイヤーの判断で始まった話。
一巻に登場したマーヤも復活。
始まりから予測不可能な、『パラレルワールド・タイムパラドックス・ストーリー』の始まりです!
前半はあの『エンドライン』。基本ステージに親しんだプレイヤーやキャラクターだからこそ、そのギャップが楽しく描写されています。
そんなエンドラインの魅力に、『ストライク』の魅力もちゃんと詰まっています。
後半は締めとして、『伊蔵の日常』を巡る冒険となります。
いろんな世界を巡る彼らだからこそ、最後には『帰る場所』の大切さが伝わってきます。
事件のスケールは小さく――あるいは、『解決しなくてもいい』事件であるからこそ、そこに関わろうとする人間の真摯さが問われるんですね。
腹筋崩壊の危険あり、スカッと魅せて、時にかっこいい。
そんな物語を最後まで見届けてくださいね。
『ダブルクロス・リプレイ・ゆにばーさる』
果て無きカーニバル
著:矢野俊策・他/F.E.A.R. 富士見ファンタジア文庫 富士見書房
表紙こそ『れ、レーベル間違えたかな?』というためらう代物ですが、中身はしっかりリプレイ本です。
なんでもありのライトな雰囲気が魅力のコメディ・アンソロジーです。
これまで登場したキャラクターが魅せる別側面と、『なんでもあり』という器の大きさと、秋葉原の特殊な空気がうまく絡み合った一冊です。
春日恭二がいい味を出しています。
<Chrome Dome>
『アキハバラ』ステージの解説用リプレイ。
ルール的に再現可能であっても、シリアスをぶっ壊していく展開がいい感じです。
<災厄の聖杯>
リプレイ無印の後日譚とも言える一冊です。
シナリオクラフト・リプレイということもあり、プレイヤーのノリが命の一冊です。
遠藤さんのツンデレ考・すがのさんのヤンデレっぷりを某ドラマ脚本化に見習わせたい……(遠い目)。
<ティーパーティへようこそ>
フィン・ブースロイドが現代に出演! というだけで必見です。
年を取ったフィンの渋さと、キャンペーンを含めた年輪を感じるだけでもいい感じ。
普通の感性を持つ隼人も、秋葉原という舞台で生き生きとしていましたね。
『ダブルクロス・リプレイ・エクソダス1』
悲しきランナウェイ
伊藤和幸/F.E.A.R 富士見ドラゴンブック/富士見書房
これまでの物語が非日常を知りながらも、日常を守ろうとするものでした。
ですが、今回は非日常から日常を求めての物語となります。
前回はしのさんが演じた、『突然オーヴァードに目覚めるキャラ』を矢野さんが演じるも楽しみ。
非日常に染まらない常識人っぷりと、戦術で魅せるクレバーさがすごくいいです。
しのさんの演じるアイヴィ、社長のガブリエルも堅実な演技。
でも今回は藤澤さんの演じるエミリアがすごく上手い。
ちょっとしたネタを上手く張り巡らせて、その後まで見事に拾い上げて演出していくんですよね。
かつての仲間を倒していかなくてはならない苦しみ。その演出は見事の一言。
プレイヤーの設定を拾い上げながら、どんどんネタが膨らんでいく辺りもすごく楽しみです。
彼らの脱出劇がどうなるのか、これから楽しみです。
『ダブルクロス・リプレイ・エクソダス2』
愛しきプレシャスタイム
伊藤和幸/F.E.A.R 富士見ドラゴンブック/富士見書房
……うわぁ……。
この展開で、一番起こってはいけない事態が起こってしまいましたね……。
それまでの展開が展開だけに、衝撃が大きすぎです。
(本書でご確認ください)
今回は束の間の日常に見せる、それぞれの安らぎの時間。
少年ユーリの登場に女性陣の心が揺れたり、ガブリエルが平和ボケ(笑)したり。
この時間がどれだけ愛おしいものになるのか、彼らはこの時点では知らなかったんですね(しみじみ)。
第四話では、もっと後に来るはずの展開が前倒しされ、真実が明らかになっていきます。
そのための犠牲、そして再会なども印象的です。
エミリア&真也、アイヴィ&ガブリエルのコンビも確立。特にエミリアと真也の絆を描く演技は見事の一言。
それぞれの演技と決断が物語を引っ張る、リプレイになっています。
『ダブルクロス・リプレイ・エクソダス3』
懐かしきデイリーライフ
伊藤和幸/F.E.A.R 富士見ドラゴンブック/富士見書房
前回の結末を受けての、悲劇を乗り越えるためのリプレイです。
最悪のエンドから、如何にして立て直すか。
ゲームシステムから譲れない部分を残し、それでもなお少しでも事態を好転させようとする彼らが印象的です。
それはゲームの模範としてのリプレイとしても。
単なるバッドエンドで終わらない力強さも感じさせる物語です。
今回はもう、エミリアがさらに飛ばし、物語の主軸を作っていきます。
彼女の抱えるトラウマ、そして二巻で築き上げた想いが一気にヒートアップしながら最後のページまで引っ張ります。
そして今回から登場のグレムリン。
合流するにおいて違和感の無いキャラクターの造形はさすがです。
ピクシーらしく、そして可愛いロボットです。
思わぬ展開に振り回されながらも、それさえもねじ伏せ、さらに想像の先を行くドラマティックな物語。
とても楽しかったです。
そして第三版、期待していますよ!
『ダブルクロス・リプレイ・ジパング』
1.戦国ラグナロク
田中天/F.E.A.R 富士見ドラゴンブック/富士見書房
いよいよ『Double Cross 2nd Edition』の締めとなるべきリプレイとなりました。
執筆するはFEAR一のトンデモ設定の達人、田中天氏。
弄られるのは戦国時代の日本!
物語の随所に溢れる『トンデモ』設定のぶっ飛び方はさすがとしか言えません。
「あほか!」
の一言がまさに褒め言葉になる、そんな世界がここにあります。
『女子高生が戦国時代にタイムスリップ、妖怪と出会う』といえば、漫画『犬夜叉』で有名な展開。
今回のリプレイもそれと同じ導入となります。
が、そこからの世界観のトチ狂い方がとにかく半端じゃない。
もう他の誰が『戦国武将と世界各地の神様の融合』などを考え付きますか!!(爆笑)
そんな果てしなくアホらしい展開の中に、筋を通した『絆』が、アウトローのカッコよさが描かれていて。
そのギャップに翻弄されながら最後まで一気に読んでしまうのがお勧めです。
アホだけど、でも読んで損はしない。
そんな妙なリプレイです。すっごくお勧めです!
『ダブルクロス・リプレイ・ジパング』
2.日ノ本ビッグバン
田中天/F.E.A.R 富士見ドラゴンブック/富士見書房
ジパング後半はシュールなギャグも展開もフルスピード&フルスロットル!
とにかく馬鹿馬鹿しいにも程がある設定の魔神達を、真弓たちが怒涛のごとく平定していく様は、もう笑うしかありません(褒め言葉)。
アホだけどえげつない敵を倒していく様は爽快……かも?
最後の最後までシュールさ溢れた敵やNPCに笑い転げた後は、巧みに織り交ぜられた一本の想いに魅せられるもよし。
どんなに酷いギャグの中でも、『ダブルクロス』らしい仕掛けと物語は密やかに花開いています。
うん、個人的には『勇太』の秘密がすっごく気に入ってます。こういう展開はいい、うん。
この辺り『だけ』ならものすごくシリアスな伝奇物なんだけどなぁ。
読んで損はしないです。ダブルクロス2ndの最後の作品、ぜひ!
『ダブルクロスThe 3rd Editionリプレイ・ジェネシス』
1.放課後のアルテミス
伊藤和幸/F.E.A.R 富士見ドラゴンブック/富士見書房
ルールが3rdに版上げ、ということでリプレイも3rd対応版が発売されました。
今回はまだ紹介ということなのか、シナリオそのものは非常にスタンダード。
むしろ見るべきは陸原兄妹と神月弁護士の絡みでしょうか。メインストーリーそっちのけで、キャラクターの演技が素敵過ぎる(笑)。
ヒロインが目覚めてから、オーヴァードとして迷い続ける姿も注目ポイントでしょうか。
個人的には『戦う弁護士』さんの活躍がすごく気に入っています。ソラリスの精神攻撃キャラというのも、かっこいいなぁ。
特殊なホームドラマと、10代の少年少女の葛藤物の両方の側面を持つリプレイとして、お勧めです。
!
『ダブルクロスThe 3rd Editionリプレイ・ジェネシス』
2.日常のボーダーライン
伊藤和幸/F.E.A.R 富士見ドラゴンブック/富士見書房
NPCの千鳥、相変わらずいいキャラだなぁ(しみじみ)。幼馴染のヒロインへの暴走が楽しくってしょうがありません。
いい感じに『学園』という名の日常を象徴していると思います。
だからこそ第四話の展開が光るんですけどね。
神月と瞳の関係が定まり、コウと神月の微妙な関係も着々と結ばれつつあります。
いやぁ、霧島と神月の会話が非常に楽しいですしね。家庭的なところでの対決、そして協同戦線には顔が緩みました。どちらもいいキャラです、うん。
オーヴァードを保護した時の対応や訓練などが登場し、色々と興味をそそる内容でした。
あやめの衝動判定も、訓練を受けたあとで初めて成功しているところにも笑いました。ダイスが空気を読んでいるのかも。
今回の個人的なメモは『支援型とカバー要員の兼任はあり』と。
食べ物や飲み物の描写がささやかなアクセントになっていて、そのあたりも好感が持てました。
『ダブルクロスThe 3rd Editionリプレイ・ジェネシス』
3.断罪のジャスティス
伊藤和幸/F.E.A.R 富士見ドラゴンブック/富士見書房
大人の話はやっぱりいいなぁ。
硬派で苦いエピソードができるのも、ダブルクロスの大きな魅力です。ここに『5スマでダブルクロスの実写化を!』と叫ぶ理由があったりします。
九曜と神月、その二人を中心としたほろ苦いエピソードをじっくり味わってみてください。
そして、ここに来てコウが大きく揺らぐのも見所です。
彼のレゾンテールへの揺らぎが、新しい局面への突入を確信させます。
UGNでもFHでもない敵。そしてもう一つの因縁。
複雑な運命の糸は彼らをどう導くのか。
どうぞ楽しんでくださいね。。!
『ダブルクロスThe 3rd Editionリプレイ・デザイア』
1.星影の魔都
加納正顕/F.E.A.R 富士見ドラゴンブック/富士見書房
ダブルクロスリプレイ至上、初のFHが主人公の物語です!
もう第一話からダークでダーティでヘヴィな設定がぽんぽんと飛んでくるあたり、ダークヒーローものの醍醐味は満載。
FHらしいトチ狂い方をしたPC達ですが、特に朱夏のイっちゃい方は凄まじいです。FHチルドレンらしい、といえばそのとおりですが、PCでこれをやれちゃうあたりはさすがです。
ヒロインのミユキもなかなかに壊れています。人間らしくても、やっぱりFHでしか生きられない倫理観を持っています。優しさや理想主義はちゃんと持っているはずなのですけれど。
とりあえず、第一話、第二話の両方のMiddle08に注目を。酷いよ、色々と。
さり気にチームメイトに心を砕く晃志郎も偽悪的。きつい嫌味を放ったり、外道なことをする悪党でもありますが、しっかりリーダーもしてるんですよね。
そんな中、九鬼おじ様だけが心の救いです、うん。体は一番人外に近いんですけどね。
第一話では、GMが用意した物語に作成したPCの設定をうまく絡めて一気に膨らませていく、その手腕に舌を巻きました。物書きとして見習わなければなりませんね。
いろんな意味で刺激的な物語です。お勧めです。
『ダブルクロスThe 3rd Editionリプレイ・デザイア』
2.残影の妖都
加納正顕/F.E.A.R 富士見ドラゴンブック/富士見書房
絆(ロイス)と欲望(デザイア)の物語、第二弾。
あるいは、陰謀劇と青春物語の見事なコラボレーション作品。
第一話から飛ばしてたシリーズですが、今回からの新登場のキャラも加えることで、青春物語としての側面も強化。
絆(ロイス)と同じぐらい物語を引っ張るギミック――“欲望”と現実のかい離が、登場人物たちをとことん揺らがせます。
一巻では安定して狂ったキャラだった朱夏が、正常な感情――絆を持つことで、己の異常性に初めて向き合います。
また真っ直ぐ狂えるミユキが、己の欲望そのものが揺らぐ事態に直面することで、動揺を始めます。
この二人の存在意義崩壊寸前の大きなうねりに、マテリアル争奪戦が絡み、物語はどんどん深みを増していきます。
その混迷の中、リーダーと九鬼がそれぞれに大人の立場として支えるのが頼もしいです。
『真』、再登場の真梨子も加え、人間関係すらも混迷を始めたデザイアシリーズ。
『マテリアル』『至高天』の謎も解けぬまま、更に衝撃的な展開を繰り返し、読み手をどんどん引っ張ります。
お勧めの一冊です、ぜひ!
『ダブルクロスThe 3rd Editionリプレイ・デザイア』
3.孤影の死都
加納正顕/F.E.A.R 富士見ドラゴンブック/富士見書房
絆(ロイス)と欲望(デザイア)の物語、第三弾。
あるいは『人は変われるのか』という問いかけ。
いきなり『ちょっと待てーいっ!』とツッコミそうな第五話導入と口絵から始まり。
新シンドローム『ウロボロス』の凶悪さを印象付ける第六話と、掴みはばっちり。
でもこの物語の本当の魅力はPC達が紡ぐ心の動き、そのもの。
二転三転する三年前の真実に翻弄され、壊れかけて行くミユキと朱夏の心、そしてその絆。
彼女達がそれをどうやって再構築し、更に心の殻を壊して変わっていくのか。ドキドキが止まりません。
そしてそんな女子高生二人を見守る大人二人組のカッコいい事!
常識人九鬼の持つ欲望がくっきり浮かびあがったり、晃士朗が『自分は変わるのか』という問いかけを見つけたり、こちらの物語もまた渋く魅力的。
第六話、とうとう登場する“十字痣”の男。その正体と目的もまた、4人に衝撃を与えます。
もうこの一言しかないでしょう。
「読め。損はしない!」
『ダブルクロスThe 3rd Editionリプレイ・デザイア』
4.黒影の王都
加納正顕/F.E.A.R. 富士見ドラゴンブック/富士見文庫
祝、五巻延長! ということで第四巻です。
取りあえず、『文章におけるグロ耐性が無い人は読むな』と予防線を張っておいて。
(私も無い方ですが、この程度なら大丈夫。ただ、それでも苦手な方はいらっしゃるかな?)
今回は起承転結の結の章になります(第五巻は番外編?)。
スイートとビター、優しさと嫌悪と、幸福と破滅と。その間を行き来しつつ、これまでの伏線を紐解いていくことになります。
デザイアらしい残酷な選択に、NPCに対する扱いに、PL達はGMの想像を遥かに超える答えとロールを示します。
彼等の心の動き、それこそが見どころと言えるでしょう。
今回も裏切らない面白さです、是非!
『ダブルクロスThe 3rd Editionリプレイ・デザイア』
5.面影の古都
加納正顕/F.E.A.R. 富士見ドラゴンブック/富士見文庫
完結篇にして、映画版の今作は予告通りの大スケール!
『ゴールしてから振り出しに戻る』、冒頭からそんな大惨事から始まります。デザイアらしい酷い設定あり、読みごたえは今回も健在。
第一話からぐんと人間らしく成長した女子高生二人の、依存ではない友情と母性と恋愛も見どころです。
欲望(ねがい)の無い平和と、欲望(ねがい)塗れの現実。
欲望(デザイア)から解放された4人が選ぶのは何か。
元「至高天」である永石絆を中心に、残された最大の謎を巡って世界規模の最後の物語が始まります。
そして元通りの第四巻ラストから、更にその先に向かう今回のラストまで。
この物語を追い続けた人を裏切らない、そんな作品です。ぜひ!
ダブルクロス The 3rd Edition・リプレイ・トワイライト
帰ってきた快男児
田中天/F.E.A.R 富士見ファンタジア文庫/富士見書房
2ndで人気だった『トワイライト』の外伝、そしてDX3のステージ『ウィアードエイジ』の3rd対応データ集の二本立てです。
リプレイは『トワイライト』本編の頃のツッコミどころ全開のトンデモっぷりは健在。そしてその展開に十人分以上に応え、魅せるプレイヤーたちの力量も素晴らしいです。本編が好きな人の期待を裏切りません。
でもそれだけでなく。
著者の『マレーネ・ディードリッヒという実在の歌姫』への情熱が強く伝わってくる作品にもなっています。実際のエピソードやその実力等を『ウィ―アードエイジ』の世界観やルール的裏付けに反映させ、更に魅せるという技巧は素晴らしいです。
プロが描く、芸能人をモデルとしたSF系創作物としてとても刺激を受けました。
自分も彼のように、対象の魅力を訴えつつ、かつ作品本体としての完成度も高い作品を描きたいです!
ダブルクロスThe 3rd Editionリプレイ・デイズ
1.若君+覚醒
加納正顕/F.E.A.R. 富士見ドラゴンブック/富士見文庫
<デザイア>の加納さんによる新シリーズ稼働です。
3rdになって出現したキーワード<遺産>も絡み、これからが楽しみです。
PCも主人公であるキョウがいい味を出しています。
超おぼっちゃまで甘えたところもありますが、非常に素直で誠実な人柄は好感が持てます。
ヒロインの凛々花の普通の女の子らしさ、おっきくてちょっと変なとこもある兄や思いっきり変な会長など、魅力的。
そんな一般人の彼らが紡ぐ、ダブルクロスには珍しいオカルト・ジュヴナイル風物語。彼らの成長に期待です。
ダブルクロスThe 3rd Editionリプレイ・デイズ
2.若君+求婚
加納正顕/F.E.A.R. 富士見ドラゴンブック/富士見文庫
結婚。
まさにその言葉そのままに突っ走るリプレイ第二巻。
Episode.2だけなので、一冊には物足りないのですが、話そのものは暴走しまくりで面白いです。文庫本の前半が全てネタというのも飛びぬけててすごいなぁとしか言いようが無く。
とはいえ、しっかり伝奇要素も含まれているのがデイズ。その暗さをぶっ飛ばしちゃうキョウの明るさと一途さも健在。
まだまだイントロの段階ですが、続きがとても楽しみです。
ダブルクロスThe 3rd Editionリプレイ・デイズ
3.若君+激突
加納正顕/F.E.A.R. 富士見ドラゴンブック/富士見文庫
いよいよ、昼と夜の対決!
4人対4人のチーム戦と言うギミックが派手な分、二つのシリーズの温度差が際立つ話に。……その結果、瑠璃(とそのプレイヤー)が壊れたり(笑)。
そんな二つの空気を壊さずに歩み寄るという事が、如何に難題か。そして彼らがどうそれを成し遂げたか。それを見届けてください。
無論、遺産(神殺し)VS.遺産(聖杯)の対決もあり、ラハブがキョウの金で崇めまつる展開在り、お約束も外しません。こちらもお楽しみに。
ダブルクロスThe 3rd Editionリプレイ・デイズ
4.若君+奮闘
加納正顕/F.E.A.R. 富士見ドラゴンブック/富士見文庫
オカルト風の展開も鷺ノ宮キョウにかかればひたすらに真っ直ぐな青春物語になってしまうのが、デイズの一番いいところ。
それが今回も遺憾なく発揮されています。
いきなり現れた恋のライバル・ミシェル。
普通にいいやつで父親公認、ヒロインPLの好みを突いてくるという、主人公大ピンチな展開。そこに神礼婚儀という神話の世界が絡もうと、爽やかな読後感に浸れます。ぜひ。
ダブルクロスThe 3rd Editionリプレイ・デイズ
5.若君+永遠
加納正顕/F.E.A.R. 富士見ドラゴンブック/富士見文庫
若君の青春物語、完結。
お金持ちだけどどこまでも好青年のキョウ。これまでヒロインへ猛アタックを仕掛けていた彼が、今回は乙女な部分を全開にして恋愛で受け身に回るのがすごく新鮮。
恋愛事情も、事件のラストも、とても気持ちの良い場所へと決着。
ラストバトルはあまりにあっけなさ過ぎですが、キョウのリアクションの可愛らしさで一気に読み進めるのが吉。
とても楽しいです。
ダブルクロスThe 3rd Edition・リプレイ・ナイツ
1.ナイトフォールダウン
著:矢野俊策/F.E.A.R. 富士見ファンタジア文庫 富士見書房
矢野MSが用意するは、『エージェントもの』+『特殊チームもの』。
デイズが遺産から日常を守るなら、ナイツは遺産から非日常の世界を守ります。
MSの『主人公に対する追い詰め方』が、うん、エグイ、えげつない(苦笑)。
でも、人としての全てを失いながらも、虚勢の鎧をまとい、心で血を流しながら立ち上がる主人公『瑠璃』のカッコよさは半端在りません。
虚勢から本物の鎧となるまで、失った全てを取り戻すまで、その成長もとても楽しみです。
また、田中天さん演じるラハブが思っていたよりもカッコよくて。たまに崩壊するのはお約束だけど、異形らしい心と、細やかな造形と言い回しに説得力があってぐいぐい惹きつけられちゃいました。
この二人のコンビに、実は悪い人のハウント、常識人の志津香が加わった『ナイトフォール』チーム。
彼らに降りかかるのはシビアな現実と、奇跡の代償たる悲劇の数々。ハードボイルドに立ち向かう彼らの冒険を、どうぞ楽しんでください。損はさせません。
ダブルクロスThe 3rd Edition・リプレイ・ナイツ
2.フレイムインザダーク
著:矢野俊策/F.E.A.R. 富士見ファンタジア文庫 富士見書房
――腹を括ってきた。
PCを追い詰めることに定評のある矢野俊策氏をしてそう語る今回のテーマは『決裂』。
瑠璃にとって最後に残った絆――ラハブの仲を引き裂くトラップが発動し、彼女はどん底まで追いつめられることになります。それはジャーム化の寸前まで。
完全に動けなくなった瑠璃と、動かせない若林PLに代わり、今回活躍するのはラハブのPL、田中天さん。
『歩く大惨事』とまで言われた天さんの、良PLとしての本領発揮。最後の大見せ場での行動は見事です。
そしてハウント、志津香の二人の援護も見事。
あくまでPCとしては利己的に動きつつも、他のPLへの援護になるように配慮できるハウントのPL、稲葉さんの力量。
善人として、凡人として、事態を見事に動かす志津香のPL、加納さん。
この二人の援護無しには、今回の物語はここまで見事に収まる事は無かったでしょう。
一話だけというのは残念ですが、ページ数の少なさを忘れるハードさ。
とにかくPL達の底知れない力量が発揮される巻です。
ダブルクロスThe 3rd Edition・リプレイ・ナイツ
3.ナイトアゲインストナイト
著:矢野俊策/F.E.A.R. 富士見ファンタジア文庫 富士見書房
……泣きました。
つい先日のトラウマを直撃したのも大きいですが、今回も衝撃的です。
ネタバレになっちゃいそうなので詳しく書けないんですが、どんでん返しがきついですよ。
MIDDLE11の、二度目のナイトフォール同士の会話が痛く、優しく、悲しくて印象的です。
闇の狭間に訪れた、僅かな昼の優しさに。夜に戻らなくてはいけない悲しみに。
そっと癒され、また傷ついて、そしてドラマを感じてください。
また、ハウントの暗躍の陰で、アッシュ・レドリックが酷い目に。ここで溜飲を下げた人も多いんじゃないでしょうか。
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