GOlaW(裏口)

読書メモ・TRPG小説&コミック&CDドラマ2



シルバーレイン・アーリーデイズ1
銀の雨降る

 監修:上村大
 著:友野詳
 ファミ通文庫 エンターブレイン

 今回の作品には、彼の原点回帰とも言える『悩める少年』とB級特撮ホラーテイストがたっぷり。
 最近の『奇をてらいすぎ』『説明急ぎ過ぎ』『女性キャラがもれなくプッツン』といった欠点も無く、安心して読めます。
(サブキャラには逝ってる女性キャラがいますが……出番が少ないので良し)
 一気読みさせちゃう力があって、安心しました。

 話の方と言えば。
 一言でいえば、外道(褒め言葉)。
 この『主人公達を取り巻く、残酷な状況』というのが友野さんらしい。
 PBWを知っていると、物語の裏読みがもっと楽しくなるかも。

 いい感じに始まった物語だけに、うまく風呂敷を畳んでくれることを願っています。


シルバーレイン・アーリーデイズ
 監修:上村大
 著:友野詳
 新紀元社

 『月の女帝』と『嵐の王』。
 大昔の戦いの記憶を夢見る二人、彼らの背負った真実とは……。

 ゲームをプレイしている人には必読の、待望の小説の完結編がようやく発売されました。
 ゲームを知ってるからこそ心地よく裏切られる展開があったり、知っているからこそ更に楽しめる『大昔の記憶』があったり。
 これからの展開に関わる、『生命使い』『オロチ』といったキーワードも散りばめられているので、読んで損はしません。

 物語そのものも『内面で苦悩する主人公』や『90年代をほうふつとさせる匂い』など、友野さんが得手とするものがいっぱい。
 まぁ、女性陣の多くが難がある性格だというのは……まぁ、物語の必然性として許すべきか。

 この小説を楽しむには、『見えざる狂気』(物語当時、成人を超えた能力者は全員、ぱっと見では分からないところで発狂する)という原作独特のルールを念頭に置いておくことが必要です。
 それさえ分かれば、ぜひこの世界に飛び込んでみてくださいね!



ダブルクロス
 ファースト+ペイン

矢野俊策 富士見ファンタジア文庫/富士見書房

 ダブルクロス初の小説は、ゲームデザイナー自らの執筆です。
 文体はシンプル、キャラクター造詣もスタンダード。その分、物語の仕掛けそのものを一気に追いかけることができます。

 今回はダブルクロス世界の基本知識の紹介とともに、主に『ロイス』に焦点を当てた展開ですね。

 日常と自分を結びつける絆――『ロイス』。
 すでに終わってしまっている、けれど捨てられぬ心残り――『タイタス』。
 自らの運命を決める――『ディスクリプト・ロイス』。
 失った日常の歪んだ残骸――『エグゾード・ロイス』。

 これらロイスによるギミックがしっかり生きています。
 『輪廻の獣』は未登場のDロイスかな。

 暗く重い心の傷を持つ少年の、再生と絶望の物語はまだ始まったばかり。
 これからもお楽しみに。



ダブルクロス
 セカンド+ミッシング

矢野俊策 富士見ファンタジア文庫/富士見書房

 新シンドローム、ウロボロス。
 それはエフェクトを消失させる効果を持つものだという。だが、その真実は――?

 小説第二弾は、主に『ウロボロス』という新シンドロームを中心に、シンドロームの特徴がメイン。
 むろん、Eロイスやタイタス昇華などのルール的なギミックもたっぷりです。
 今回のボスとなるジャームも、このダブルクロスという世界観を象徴するような狂気を示します。 

 でも何よりも。
 絆(ロイス)と喪失(タイタス)を巡りつつ、少年少女達の心の歪みと再生の過程を丁寧に追う物語であります。
 これからの展開も楽しみです。



ダブルクロス
 サード+ブラッド

矢野俊策 富士見ファンタジア文庫/富士見書房

 それは、小説『トリニティブラッド』(タイトルの意:三位一体の血)へのオマージュも含まれていたのでしょうか。
 『体内に潜んで我を持ち、原初より存在し、互いに喰らい合って一つを目指し、そして全ての存在の敵となる』
 そのウロボロスの特徴が私には前述の小説へのオマージュのように感じられて仕方がありませんでした。

 機械槍の由来や陽菜の秘密などに触れつつ、『輪廻の獣』の設定をさらに掘り下げています。
 それだけでもゲームのイメージソースとしての役割も果たしていますね。

 作者お気に入りの初老エージェントも登場し、ウロボロス独自のギミックが仕掛けられた展開はゲーム小説ならでは。
 ゲーム小説の常として、全てが解決することはありません。これらの設定の行く末は皆さん自身に委ねられます。

 どうぞ彼らの未来に幸ありますように。



ダブルクロス THE 3RD EDITION
ドラマCD デイズ
(初回限定盤)

フロンティアワークス

 まさかのダブルクロスCD、発売です!
 今回はダブルクロスでも人気の『デイズ』『デザイア』のクロスオーバー。
 PC全員、イメージ通りの声、CDドラマとしても完成度が高くて、大満足。

 シーン制や情報判定、エフェクトの演出もそのまま。
 でも一番感心したのはEロイスの演出と解除方法まで組み込んでいるところでしょうか。

 初回限定盤につくデータは、実際のゲームでは使いづらいです。
 でもデザイン画やコミックなどはリプレイのファンなら大満足の品。できれば初回限定盤の購入をお勧めします。

 デイズ、デザイアの両ファンなら買いです!



デモンパラサイト
 魔獣の姫は、血を望む。

 著=北沢慶
 富士見ファンタジア文庫 富士見書房


 …既刊リプレイ集(以降『無印』)とあまりに雰囲気が違うのにまず驚き、そして安堵しましたね。
 『無印』は……いろいろ問題がありましたからね(遠い目)。
(詳しくはこのあたりをご参考に)

 今回はその点、全裸や大食いはあっても、描写はさらっと流しています。女性の私が読んでも嫌悪感が湧きません。
 この辺り、素直に同性に勧めやすくていいですね。

 料理を作るのも脱ぐのも、こちらはうって変わって男なんですね。
 …よっぽど、『無印』の印象を消し去りたいのかな…。


 ゲームの紹介、導入にはぴったりだと思いますね。
 展開もデータさえ自作すれば、ゲームのキャンペーンシナリオにすぐ流用できそうです。

 また、用語や世界観、悪魔憑きの外見的特徴やタイプ別の能力などを、分かりやすく盛り込んであります。
 すごく親切だと感じました。
 これ一冊を読んでいれば、十分な予備知識(ルール以外)が分かると思います。

 “『自分を含めた悪魔憑き全てへの憎悪』を持ったキャラクターを使うなら、どう他のキャラクターに絡めればよいか”
に対する例示など、ゲームにおけるちょっとしたテクニックなども盛り込んであります。
 初心者の方になら、参考になると思います。


 ただし、衝動ルールだけは再現できなかったみたいですね(苦笑)。


 展開そのものは、私の好みかな。
 いや、製薬会社とか、研究室とか、生物関係のトンデモ考察とかが好きなんですよね。
 …その辺の趣味、私のサイトの常連客にはバレバレですが(苦笑)。

 その意味では、『研究所』の描写や免疫話などがすっごくツボに入っちゃいましたよ。



デモンパラサイト2
 雪の女王は、死を欲す。

 著=北沢慶
 富士見ファンタジア文庫 富士見書房


 北沢さんが『焼き肉脱衣』のイメージを払しょくするために頑張っている小説シリーズ第二弾(その紹介は待て)。
 さっくり読める軽さが魅力。そしてゲームのビジュアルイメージを補うのが役目かな?

 気が滅入っている時に読むと、ゲストヒロインへの共感が上がってやばすぎます(遠い目)。

 期待も気負いもなく読むとちょうどいい感じですね。



デモンパラサイト3
 赤き鬼神は、魔を滅す。

 著=北沢慶
 富士見ファンタジア文庫 富士見書房


 生物学系の人間にとって、今回の話はワクワクの連続でした。
 薬に、クローンに…(拳をぐっと握り締める)。
 主人公の家族の秘密、エキドナの秘密…と、いろんな秘密が明らかになります。

 ここで一つの物語の区切りとなります。



デモンパラサイト4
 氷の魔人は、闇に惑う。

 著=北沢慶
 富士見ファンタジア文庫 富士見書房


 『トリガー・ハッピーでヤンデレ』という、凄まじい合わせ技を持つ少女が登場します。
 この一言に尽きる作品です。

 ……ヤンデレ……って、魅力的に書くのが難しいよね……(改めて、遠い目)。
 やっぱり、敵でこそ光る属性ですよね(強く実感)。

 これまで物語に関わってこなかった牧野も、ようやく本筋に噛み始めたかな。



デモンパラサイト5
 黒き魔王は、覇を求む。

 著=北沢慶
 富士見ファンタジア文庫 富士見書房

 小説版「デモンパラサイト」、ここに完結。
 最後まで学園ラブコメもの要素を残しつつ、かっこいい展開にしようとする努力は感じられました。
 衝動や暴走など、独特な要素を頑張って取り入れているのは分かりますしね。
(その努力をリプレイががんがん踏みにじっていくのはともかく)

 鬼御霊やAASなど、サプリメントの新しい要素の紹介も兼ねており、かなり欲張っているかな。

 とはいえ、この小説はとにかく勢いで一気に読むのがお勧めです。



パラサイトブラッドノベル
小悪魔ストライカーズ!1
監修:北沢慶 著:片山泰宏 富士見ドラゴンブック


 『デモンパラサイト』から8年後にあたる『パラサイトブラッド』の世界を舞台にした小説です。
 前作との大きな変化というと『DUST』の登場ですが、この小説ではゲームでの一般的な導入である『DUST』がどういった組織なのか、どういう風にチームを組んで活躍したらいいのかといった紹介も兼ねています。

 前作の小説版同様、さっくり読めてしまいますね。
 猟奇系彼女や良識に欠けた女性キャラが苦手な人にはあまりお勧めできないかも。むしろ精神が壊れているはずの悪役の方が遥かにカッコいいかもしれません。
 後、個人的にはイラストの過剰エロはいらないと思う(汗)。




新装版ルナル・サーガ
 1.赤い瀑布

著:友野詳 角川スニーカー文庫 角川文庫

 20年以上の時を経て、ルナルサーガが復刻です。
 当時の文章にかなりの手が加えられているそうですが、違和感はまったくありません。
 とても濃い世界観に、劇的な展開は全くそのままに。新しい人たちも読みやすいはず。

 生真面目で誠実、少しだけ不運な兄アンディと、語り部としての修業を積むメフェメラの双子が巻き込まれる壮大な運命。リアラとメノアの親子に、鳥人間のタッタ達との巡り合いは、やがて大きな事件と発展します。
 どうかまずはどっぷりと、『七つの月がしめ下ろす大地』に浸り、異世界へ旅立ってみてください。





新装版ルナル・サーガ
 2.青い聖堂

著:友野詳 角川スニーカー文庫 角川文庫

 『聖なる母の結社』。
 その謎を追い、双子とタッタはメノアとの再会を試みる。そして彼女の生まれた場所を探し、旅に出る。
 彼らを巡り、多くの人々が動き出す。そしてアンディはアルリアナの神官・レルシェと出逢い、恋に落ちて――。

 劇的な展開が今でも語り継がれる第二巻。個人的にも一番のお気に入りでもあります。ぜひ一度、読んでみてください。



パラサイトブラッドノベル
小悪魔ストライカーズ!2
監修:北沢慶 著:片山泰宏 富士見ドラゴンブック


 ゲーム小説後半は、主人公の不自然すぎる家庭の秘密に迫ります。
 後、主人公が軽く恋愛ゲームのような状況にある、その事にもちゃんと理由が出てきたりも。

 TRPGの原作小説としての基本として、出された伏線に全て結末が出ることはありません。
 多くの伏線は、個々のゲームのシナリオソースとして活用可能です。
 『生命の実』やドミニオンの一例としても参考になるかな?
 他にも能力の描写の参考になるものが多いです。
 悪役であるドミニオンの変身シーンの方がかっこいいのはこの著者の癖のようです(笑)。


スピタのコピタの!(一巻&二巻)
緑一色 Role&Roll Comics 新紀元社

 爆笑必須のTRPG紹介コミックスです。
『TRPGって、中から見るとどんな感じ?』
という問いに答えてくれます。

 作者のドジっぷりや、成り行き任せのアバウトな部分は、こっそりと共感するところもあります。
 …SMAPのメンバーを覚えきれないなんて、まるで12年前の私を見るようだ…(遠い目)。

 不利な状況で混乱したり、恐怖に叫んだりしているキャラクター達の物語は、笑いがいっぱい。
 それはゲームをしているプレイヤーが楽しんでいる証拠でもあるんですよね。

 当サイトで応援している『デモンパラサイト』も紹介されています。



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