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今日はクライアントの都合で有楽町。打合せは夕方6時から始まり、ワタシは
「帰りの新幹線混まなきゃいいけどなあ」などと「今日帰りますからね」光線を
発していたのに、クライアントは気づいてか気づかずか終始自分のペース。
会議室の時計が8時を過ぎたところで日帰りをあきらめました。
帰りーたい帰れーないって、それは中森明菜(うわっ)。

安さに目が眩んでとったビジネスホテルは、部屋に入ると床面積がベッドと
ほぼ同じ広さ。つうか、床がほとんど見えないじゃん!
寝るまでの数時間ですらこの部屋にいるのは耐えられないと、
荷物を置いて一人ぶらぶらと散歩に出かけました。
飯食って一杯ひっかけて、あとは寝るだけコース。

何も考えず歩いていたらなんとなく晴海通りに出て、ふと思い出しました。
この道、ずっと前に歩いたなあと。
それはちょうど20年前、大学を卒業したワタシは東京本社の会社に入社し、
入社式とその後の研修のために、晴海のホテルに何週間か滞在したのでした。
東京に着いたその日、東京駅からホテルまで同期生と相乗りタクシーで
行くはずだったのに、ワタシは歩いて晴海まで行ったのでした。

一緒に新幹線で東京に行った同期生たちに妙な違和感を感じていたんです。
ちょっと前、入社前研修ではまだまだ学生気分で馬鹿を言い合ってたのに
入社式を数時間後に控え、彼らは完全に社会人になっているじゃないですか。

「オレ○○事業部に行きたいんだよな」
「あそこは出世の目ないぜ」
「北海道支店だけはぜってーイヤだよな」
「海外留学制度って一年目でも対象になる?」

タクシー待ちの列に並んで、周囲の同期生はそんな話をしていました。
みんなきっちり気持ちを切り替えています。
ワタシはすごくとまどいました。自分はまだずっぷり学生気分のまま。
会社に入って何がしたいとかどうなりたいとか、全然考えてなかったですから。

ワタシは「まだ時間あるし、寄ってくとこがあるから」とウソをついて、
みんなから離れたました。とりあえず一緒にいたくなかった。
といって、そのままどこかへ逃げていく勇気もありませんでしたが。

それで、ワタシは研修会場であり入社式会場でもあった晴海のホテルに
歩いて行ったんです。歩きながら自分にケジメをつけようと。
ホテルに着くまでの何十分かで、気持ちだけでもみんなに追いつこうと。
ボストンバッグを提げて有楽町まで線路沿いに歩き、
大きな通りを左に曲がればあとはずううっとまっすぐです。
とぼとぼ、とぼとぼ歩きました。

今夜、あのときと同じ道を歩きました。
あのとき、20年後はどうなっているかなんて考えもしませんでした。
でも20年前のことは結構よく覚えています。
「おどりーつかれたー、ディスコの帰りい」
たしか、そんな歌を歌いながら歩いたはずです。
「これでー青春もー、ぅ終わりかなと」
つぶやきながら歩きました。

真っ白にライトアップされた銀座和光の交差点を渡り、
歌舞伎座を横目に見ながらずんずん歩きました。
築地本願寺あたりにくると、ほとんど人通りはありません。
それでもずんずん歩きました。
「おーれーたーちは、ただの魚さ」
これもあのとき歌った歌。タイトルは何だっけか。柳ジョージの歌。
「川の流れーまでーは、変えられなーい」
わざわざ切なくなるような歌ばかり歌っていた自分に苦笑。
きっと留置場に護送される囚人のような気持ちだったんでしょう。
とすれば、20年間ワタシは服役しているわけですが。

勝どき橋にたどりつきました。結構足に身が入ってます。
特徴的なアーチが、グリーンにライトアップされています。
喫茶店の業務用サイダーみたいな光を浴びながら橋を渡りきって
月島に上陸しました。

そこは完全に20年前とは変わっていました。
運河沿いに遊歩道ができています。
建物はすべて新しくなっています。
少し迷いましたが、研修で滞在したホテルもありました。
あの日、一人たどりついてどんなことを思ったか。
きっと、大した学生時代でもなかったのに、もう自由とは
永遠に訣別するみたいに、過ぎた時間を惜しんでいた気がします。

そこで少しだけ風に吹かれて、今日泊まるホテルに帰りました。
晴海まで歩いて40分近くかかりましたが、
帰りは大江戸線を使ったので約7分。
そんな地下鉄、もちろん20年前にはありませんでした。





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最終更新日  2006年06月30日 15時18分33秒
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Re:20年ぶりに(06/27)  
pablo the  さん
いいねえ、今夜のシャロ氏のコラム。胸に沁みましたぜ。
普段は(ぼくの知る限り)厚い鎧で何重にも蔽われているはずの君の心のイノセントな部分を垣間見させて貰った気がします。いやホントに。
ええっと、じゃあまたね。
(2006年06月29日 22時16分22秒)

Re:20年ぶりに(06/27)  
pablo the  さん
いいねえ、今夜のシャロ氏のコラム。胸に沁みましたぜ。
普段は(ぼくの知る限り)厚い鎧で何重にも蔽われているはずの君の心のイノセントな部分を垣間見させて貰った気がします。いやホントに。
ええっと、じゃあまたね。
(2006年06月29日 22時16分31秒)

セレモニー。  
野沢菜々子  さん
日記を読ませていただいて自分のそのころのことを思い出しました。思い出せるところしか思い出せず、ただわたしの場合は新入社員の研修合宿などはもう楽しくて仕方なく、相部屋の同期たちとは「学生時代のカレの話
」「好みのタイプ」のような話題で連夜大盛り上がりでした。そのような子どもじみた自分たちに少しでも「違和感」や「決意」のようなものがあったのか今ではよくわかりません。それぞれの温度差というようなものや自分になにができるのかという不安さえ感じていたのかどうか。とにかく社会人になれたことがうれしかったのです。
ひとりで歩いた舎路人さんの儀式のようなものを今の舎路人さんがきちんと憶えていらっしゃるのはやはりすごく意味のあることなのでしょう。あるいは大きな転機か。
過去からわたしたちは多くのことをもっと学んでいいのではないかと今急に思えました。ありがとうございます。 (2006年06月30日 12時06分18秒)

Re[1]:20年ぶりに(06/27)  
舎路人  さん
pablo the さん

No one is innocent.
気をつけろ! (2006年06月30日 15時13分30秒)

Re:セレモニー。(06/27)  
舎路人  さん
野沢菜々子さん

まあカッコつけてますが、実際はまだしばらくは学生気分だったですよ。研修の合宿も楽しかった。夜中に騒いで人事課長に叱られたりしました。全然ケジメついてないじゃんワタシ。 (2006年06月30日 15時17分08秒)

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