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店に入って酒を注文すると、他に何も頼んでいなくても小皿や小鉢に入った一品料理が出てくるケースが多い。これは「お通し」もしくは「突き出し」と呼ばれるもので、最初の注文が入ってから客に出すまでの時間をつなぐためのものである。この他「口取」とする店もある。予め作っておいてすぐに出せるもの、あるいは前日の残り物などを上手く処理して出す。枝豆や、前日は刺身で出していた魚を、煮付けにして出すなどはその例である。関東ではお通し、関西では突き出しという所が多いようだが、両者で全く正反対の言葉を同義語として使っているところが興味深い。
突き出しの目的を考察すると、突き出しは酒を飲ませるためのつまみであり、注文した料理が届く前に客が酒を 飲むことで酒の売り上げを増やす目的もあり、客への便宜と言うよりは店の便宜である場合も多い。一部の店では客が「店に入る条件である」として突き出しを拒否できないと強要しする場合があり、また中には、極めて高額な品を出して「ぼったくる」こともあり、違法であるとして 裁判 にまでもつれ込むこともしばしばある。特に一般的でない日本のこの片寄った「慣習」を知らない外国人観光客とのトラブルが多い。
最近では、このお通しを拒否可能としている店もあるが、それの如何に関わらず、席料などの名目で客の注文した額に多少かさ上げした額の支払いを必須とする店も大手チェーン店の一部などに見られる。いずれの場合も、その料金システムは、メニュー等の書類の目立たない箇所に記されるのが一般的である。
一方で、 熊本県 熊本市 のある居酒屋では、420円で大量の突き出しを出す。その店は、「 ナニコレ珍百景 3時間スペシャル・史上最強!驚きのニッポン衝撃風景グランプリ!!」( 2008年 10月放送)で、 「止まらない突き出し」 というタイトルで紹介され、珍百景に登録された。ちなみに、取材時における突き出しの品数は14皿、突き出しの価格は420円、ビール(ジョッキ)が500円なので合計920円であった。 [1] このような事例も一部存在する。