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恋愛セミナー23【初音】



新年をむかえ、六条院はさらに美しいたたずまいです。
とりわけ春の町は梅の香りが屋敷内の薫物(たきもの お香)と相まってあたかも天上のよう。
源氏と紫の上は新年の歌を幸せに満ちて交わしています。

明石の君から贈り物と歌が明石の姫に届けられました。
「年月を重ねて待ち続ける私にどうか鶯の初音をお聞かせください。」
源氏は明石の姫本人に、母への返歌をさせました。

源氏はそれぞれの町の女性たちを訪ねます。
夏の町の花散里は落ち着いた様子で静かに過ごしていました。
年の暮れに贈った衣は地味で、髪もすっかり少なくなっています。
「かもじ(かつら)でも使ったらいいのだが、この人を世話できるのが私はうれしいのだから。」
男女の関係はなくとも、これもまた理想の夫婦の形だと源氏は満足しています。

玉鬘は移って間もないながら、感じよく住まいを整えています。
鮮やかな衣がよく似合い、源氏は見惚れながら父親としての本分を越えてしまいそうな危うい気持ちに。
玉鬘もどこか気をゆるすことができないままで、そこがさらに源氏の気を引くのでした。

夕暮れ時の冬の町はとりわけ気品高いものでした。
明石の君の姿は見えず、異国の錦の敷物に琴を、そして香のにおいが漂っています。
紙には「古巣を訪ねてくれた鶯よ。」と美しい字で歌が。
源氏も筆をとったところ、白い高雅な衣をまとった明石の君があらわれました。
髪も優雅に衣に映えていて、心動かされた源氏は紫の上を気にしながらも明石の君のもとに泊まります。

夜が明けないうちに源氏が帰るのを明石の君は切なく見送りました。
機嫌をとっても言葉を交わそうとしない紫の上。
源氏は寝所に入って眠ったふりをし、起きてからも目を合わせないようにしています。
やがてたくさんの人々が身なりを念入りに整えて年賀にやってきましたが
誰もが源氏の輝きの前では圧倒されてしまいます。

数日してから源氏は二条の東の院に女性たちを訪ねました。
末摘花は美しかった髪もすっかり白く薄くなってしまい、柳の衣も似合わず鼻をさらに赤くして寒そうにしています。
源氏は蔵を開けて織物をたくさん贈り、あたたかくするように世話をやきます。

空蝉は慎ましやかに仏道修行をしていました。
世を捨て尼になってから、源氏の庇護を受けるのはやはり深い縁があったからなのでしょう。

その年は男踏歌(おとことうか 足を踏み鳴らして歌いながら宮廷や大臣家を回る)があり、
六条院にも気鋭の若者たちがやってきました。
源氏は女性たちに春の町で見物するように伝え、玉鬘は初めて紫の上と明石の姫に対面しました。
夕霧や内大臣の息子たちが特に際立っていて、源氏は夕霧を愛しく思います。
源氏は六条院でも女楽(おんながく 女性が楽器を奏でる宴)を開こうと計画し、女性たちは心の準備をするのでした。

1源氏とそれぞれの女性たち 仲睦まじいなかにもいろいろな思いが。

明石の君が、娘に歌を贈るシーンです。
同じ屋敷のうちにいながら、会うことはできない親子。
明石の姫は「お母さまを忘れてはいません。」と幼いながらに歌を返します。
このとき明石の姫、8歳。
別れてから4年の月日が流れていました。

紫の上に気兼ねしつつ、源氏が明石の君のもとに新年早々泊まったのは、いたわりの気持ちもあったでしょう。
身がふたつあったら、紫の上の方に子どもが生まれていたら、というジレンマの中で。

さて、紫の上は初めて玉鬘に会います。
源氏の娘分なら紫の上にとってもそう。
ただし、源氏のことですから油断はできません。
源氏が玉鬘の衣装を選んだとき「内大臣に似て顔立ちは整っていそうだけれど優雅さはなさそう。」と踏んだとおりだったのか、
いかにも源氏が好みそうな女性だと思ったのか。

男踏歌で、玉鬘は内大臣の息子、実の弟たちを見たことでしょう。
本当は声を掛け合える仲なのに、いるべきでない場所にいる玉鬘に、
後の帖で弟のひとりは、姉とは知らずに恋心を抱くことになるのです。

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