Beauty Source キレイの魔法

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恋愛セミナー87【雲隠3】



主軸に源氏という稀代の色男を擁し、展開される華やかな物語。
源氏を取り巻く惑星のようなあまたの女性の中でも、ひときわ大きな巨星が紫の上、女三宮。

美しく、賢く、家庭の主婦としても優秀で、周囲の人からも、源氏と関係している女性たちからも慕われた紫の上。
未熟なままで、源氏に侮られながらも、柏木という恋の触媒を得て、大きく成長した女三宮。
誰よりも源氏の愛を受けていた紫の上に、女三宮はその存在だけで脅威を与えました。
いつも朗らかだった紫の上が、物の怪となった六条御息所を呼んでしまうほど、嫉妬という己の心の鬼と対峙させるきっかけになった女三宮。
結果的に紫の上は、恋の酸いも甘いも味わい尽くしたことを悟り、嫉妬を昇華し、燦然と輝き去ることになりました。
一方、女三宮は、薫という不義の子をもうけ、源氏の死後にも連綿とその影響を残すことになります。

紫の上がヒロインの第一部が陽とするなら、女三宮がヒロインの第二部は陰。
第三部は何としましょうか。

物の怪となった御息所と源氏は、恋の妄執を捨てきれないという点で似たもの同士と書かせていただきました。
恋愛セミナー9【葵】
その通り、源氏は最後まで、恋を手放すことなく執着し続け、女性たちに置いていかれる形になる。
源氏が御息所のようになる可能性は高い。

亡くなった後、孫・匂宮、息子・薫の時代になってもさまよい続けている源氏の魂。
それが浮舟の絶望感に呼ばれ、彼女を死の淵に連れ出していく。
匂宮の乱行も、薫の不幸も、地獄に生きる物の怪・源氏のなせる業。
登場人物全てが、源氏の狂言回しのための人形に過ぎない。
そんな視点で、宇治十帖をお読みになると、また違った味わいがあると思います。

源氏がこの世を去ったあとの宇治十帖は、彼が地獄で生きる物語と言えるのかもしれません。

*** 海老蔵氏には、「源氏物語・地獄変」、薫・匂宮・源氏と三役早変わりでやっていただけないかと願っております。

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