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2016年01月14日
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カテゴリ: 少女マンガ



『別コミ』に2002年から2012年と10年にわたる長期連載でした。


【あらすじ】
釧路市の高校に入学したばかりの高橋七美は、新しい環境に胸を膨らませていた。
友達もでき、順調な高校生活がスタートしたように思われたが、
中学ではクラスの3分の2の女子に好かれていたという人気男子矢野元晴との出会いは、
七美にとってあまりよい印象のものではなかった。
クラスメイトとして共に過ごすうち、徐々に矢野に惹かれていく七美。
だが、矢野は恋人との死別という暗い過去を引きずっているのだった。


彼が上京し遠距離恋愛に。
再会を約束した翌年、七美が上京すると矢野は消息不明になっていた。
待ち続け苦しむ日々が続いた末、ようやく七美が再会できた矢野はまるで別人だった。
(Wikiより)

【感想】★★★★☆(星4つ)
どうしてもお母さん目線で読んでしまうため(笑)、
恋愛よりも矢野の不幸具合に胸が痛すぎたので-1です。
きゅん、よりも胸が痛かった。。

(以下ネタバレあり)
顔よし頭よし社交性ありで、クラスの女子の3分の2が好きになってしまうという矢野。
そして明るくてみんなから好かれているけど、大してとりえのない七美。

それだけならふつうの恋愛漫画ですが、矢野には暗い過去がありました。
中学時代に付き合っていた奈々が、元彼と一緒にドライブ中に
事故にあい死んでしまっていたのです。

初めて好きになった彼女が最後に自分を裏切って死んでしまった。
このことに矢野は深く傷ついていますが、七美は一生懸命、矢野を信じ好きになります。

そのことを知らない七美は、それでも彼を信じ続けます。

前半は高校時代、後半は社会人になってからの話となっています。
高2の冬、矢野は離婚する母に付き添って上京します。
七美は1年後に東京の大学に行く約束をして矢野とは遠距離恋愛となりました。
しかし半年もすると矢野からの連絡が途絶え、上京しても彼とは会えず、
七美は社会人となりました。

社会人となった七美は、矢野の幼馴染の竹内と付き合うようになっていました。
やがて竹内からプロポーズされますが、七美は断ってしまいます。
やはり心の中で矢野の存在が大きすぎて、別れをいまだに受け入れられずにいたのでした。
そんなある日、矢野の居場所が判明します。
なんと元カノの妹・山本と同棲していたのです。

それでも矢野が幸せなら受け入れると言う七美に、矢野は残酷な現実を伝えます。
実は矢野はいろいろあってパニック障害となり、その頃山本に助けられたが、
同じ頃に山本の母が倒れ、彼女を支えてやらなくちゃいけないと思ってそばにいる、
自分の苦しみを取り除くために山本のそばにいると。
そして七美に、一生理解しなくていい、俺を置いて前へ行けと歩き出させます。

矢野の母親はシングルマザーでしたが、父は親友の夫だった人です。
気まぐれで抱いてもらい、矢野を産み、認知してもらえなかった、
と息子に告白してしまうほど、母親になりきれていない女性でした。
そして愛した男性とそっくりな息子を重ねて溺愛するという偏愛っぷり。
病気になってなお、息子の幸せよりも自己愛を満たそうとする母親に
高校生だった矢野は息が詰まりそうになり、
高橋に会うために北海道へ行こうとしますが、
出発の朝、母親が自殺してしまったのです。

矢野が七美に連絡を取らなくなったのが母の自殺以降であり、
それからずっと自分を責め続け、そんな折に山本と再会して関係が始まったのでした。

そもそも矢野の苦悩は、母親から正常な愛を受け取ることができていなかったことに始まっています。
自分の欲求を満たすために子供を産み、息子をかつて愛した男に重ねて育てられたのです。
そんな親に育てられた子が、自分を愛せることができるでしょうか。
矢野が高校時代に絶対に俺を裏切らないでとか、過去より今が大事なんだ、と言っていた意味が、
矢野を育んだバックグラウンドが明らかになってよく理解できるようになります。

最後に山本の母が亡くなり、山本が母の呪縛から解き放たれたのと同時に
矢野のことも解放します。
そしてついに矢野と七美は「再会」するのです。
竹内が渡せなかった婚約指輪を矢野が買い取り(笑)、七美にプロポーズします。
「家族になってください」と。


だいぶ端折りましたけど……。アキちゃんとか、竹内のこととか書いてないし……。
全体的にほんわかとした雰囲気なのに、テーマがとても重かったですね。
1回目よりも2回目に読んだ方が、とても心に響きました。
矢野の家庭環境とかわかってから読むと、矢野が愛おしくて仕方なくなります(笑)。

少女マンガではありますが、パニック障害とか共依存とか、
ちょっと重いことがテーマとなっているし、
全体的に過去にこだわる子たちが多くて後ろ向きなストーリーなので、
しっかりと読むと疲れます。
七美という一人の普通の女の子が、あがき続ける男の子を救うお話なので、
最終的には前向きな結末となりますがね。

なんといっても竹内くんがいい男すぎます。
七美を支え、手も出さず(笑)、矢野の背中も押してあげるなんて。
彼なら素敵な女性をゲットできるでしょう。アキちゃんとくっつくとかリアルかな。
まぁお互い矢野と七美が噛んでるので、まったく関係ない人とのほうがオススメですが(笑)。


矢野も山本も機能不全家族の中で育っているわけですが、
こういう家庭ってものすごく多いような気がします。
でも物語として取りあげられる環境って、もっと過酷で、例えばネグレクトとか性的虐待とかが
ほとんどだから、矢野や山本のように精神的にじわじわと追いつめる不健康さって
大きく取り上げられませんよね。
こういった負の環境にいると、脱却するのにものすごいエネルギーが必要のようです。
その点、山本も矢野もうまく抜け出せた?かな?
最後の矢野の「家族になってください」がすべてを物語っていますね。

重いながらも、七美のキャラクターのせいか、ほんわかと笑えるシーンが織り交ぜられているのが救い。
きっと七美が今後の矢野を支えてあげられるでしょう。



【蛇足】
私も二人の息子の親ですから、どうしても矢野や山本の心について深入りしてしまいます。
私の身近にもいわゆる機能不全家族の中で育った人がいますが、
どっちかというと、小さい頃から処世術が身についていて、大人になってから
自分の感情と向き合えずに苦しんでいるような気がします。
というか、心の問題にわざと目を向けないようにしているような。
矢野は竹内や七美がいたおかげで、無理やり心の中を見せられてよかったんだな、と思ったりしました。
専門家じゃないからわからないけどね。


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最終更新日  2016年01月15日 12時22分00秒
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