ぎぶみ~でりしゃすちょこれ~と

ぎぶみ~でりしゃすちょこれ~と

第一話~その名は魔狩りカド~


気がつけば、私は刃物を持った大人たちに追われていた。

「逃がすな!生け捕りにしろ!」

大人たちが後ろから私を追ってくる。

なぜ・・・なぜ私は逃げているのだろうか・・・

分からない・・・? どうやら私は記憶喪失というものになってしまったらしい。

徐々に体中に疲労がたまっていくのが分かる・・・。

いっその事捕まってしまおうか・・・生け捕りということは殺されはしないということだろう。

私は徐々に足を止めようとした。







そのとき、私は自分の首に十字架のついたネックレスがあることに気がついた。

それを見たとたん、急に逃げなければという意志がふつふつと沸いてきた。

私は必死で足を動かした。







どれくらい走っただろうか、後ろからは大人たちの声が聞こえなくなっていた。

どうやら振り切ることができたらしい。

私はホッとし、足を止めた。

ふと、辺りに目をやると廃墟が広がっている。

走っていて気がつかなかったが、どうやらこの街は魔物に破壊された街のようだった。

私は廃墟の中を一人歩いていく。







なぜだろう・・・さっきから妙な寒気がする。

私はそう思った。 そのとき、廃墟の中から何かが飛び出してきた。

それは、人にも動物満たない魔物というやつだった。









殺される・・・・

私はそう思った。

逃げなくては・・・

そう思った私は足を動かそうとした。

しかし、恐怖感から私は逃げることができなかった。

魔物が私に襲い掛かってくる。

私は目を瞑った。











私は死んでしまったのだろうか・・・・。

痛みもなにも感じない。

聞こえるのは何かのうなり声・・・・・



















私は恐る恐る目を開けた。

私を襲おうとした魔物がうなり声を上げ倒れている。

私は全身の力が抜けヘナヘナと座り込んでしまった。

「危ないところだったな、大丈夫かお嬢ちゃん。」

黒いスーツに身を包み、手にはざっと百本はあるであろう刀を持った黒髪の青年が私に話しかけてきた。

私は返事をかえす力が残っていなかった。

「しっかしまあ、かなり危ない格好してんなあ・・・」

青年にそういわれてはじめて気づいた。私はたった布一枚だけで身を包んでいた。

「しゃあないな、これを着とけ。」

そういうと青年は自分の着ていた背広を私に渡した。

私は青年の背広を着た。暖かい、たった一枚だけだったが私はとても暖かく感じた。

「あ、ありがとう・・・」

私は礼を言った。

「んにゃ、気にすんな。 おっと自己紹介がまだだったな。俺はカド、魔狩りカドだ。」

「私は・・・・・分からない・・・」

青年もといカドがキョトンとした顔で私を見る。

「ん~、記憶喪失ってやつかぁ~。んじゃ俺がつけてやるよ。そだな~今日がクリスマスだから・・・・イヴ!よし決定。お嬢ちゃんの名前はイヴだ!」

なんだかとてもテキトーだったがとてもうれしかった。

「私の名前はイヴ・・・」

「そう!お嬢ちゃんの名前はイヴだ。 さてイヴ俺は君を今から俺の家に連れて行かなくてはならない。」

「えっ?」

「記憶喪失の女の子をこんな廃墟に置いとくわけには行かないからね、おいで一緒に帰ろう。」

カドが街の方へ歩いていく、私はそれを急いで追っていった。



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