ぎぶみ~でりしゃすちょこれ~と

ぎぶみ~でりしゃすちょこれ~と

神々の名を告ぐものたち(第一部終了状態)


この世界は権力を握るザークス一族と神に仕えるプランク一族というように
色々な一族があった・・・
今日はプランク一族とザークス一族の婚約が決まる日だった。
プランク一族の末裔であるリオナ・プランクはその意味がまったく分からなかった。母親のセリス・プランクはその婚約に猛反対した。
その日の夜、リオナとセリスは家をでた。
リオナとセリスはある一族にかくまってもらおうと考えた
しかしその一族は移動民族なため、まったく居場所がつかめなかった
色々な町で情報を聞いてはその場所に行き、また情報を聞いてはその場所に行き続けた。
しかしどこに行ってもその一族は移動した後だった。
家を抜け出してから、3年の月日が流れた。砂漠を移動中にセリスが倒れた
セリスを心配してリオナが駆け寄った。そのときセリスはリオナに言った
「あのねリオナ、お母さんちょっと疲れたから先に行っててくれる?」
もちろんリオナは首を振り言った
「お母さんが休むならを私ここで待ってるよ」
そう言うとリオナは座り込んだ。
セリスは「大丈夫、お母さん後から追いつくから先に行ってみんなのところでまってなさい」
そうセリスが言うとリオナはうなずいて、立った。
リオナが歩き出そうとすると、
セリスが引きとめ「これをもって行きなさい」といってペンダントを渡した。
「これをもってればあなたの力があなたを守ってくれるから」
そういわれると、リオナは歩き出した。
セリスは、リオナが見えなくなると倒れこみ言った。
「リオナ、お母さんの分まで生き続けてね」
そういってセリスは息絶えた。




年は流れ月日がたったある日・・・
何も無い草原のなかを1つの馬車が走っていた
その馬車の荷台に少年が一人寝ていた。その少年が目を覚まし馬車の運転者に言った。「なあ、おっさんまだ町に着かないのか?早くしないとみんなにおいてかれるんだけど。」運転手が答えた「なーに、このペースだったら、後、10分ぐらいで着くだろう」と答えた。
少年は、出発してから丸1日たってるんだけどと思いながら草原を見ていた
何分たったか時運転手が話しかけてきた「そういえば、坊主、お前の名前を聞いてなかったな、なんていうんだ?」少年は答えた「名前?俺の名前は、ゼックス、ゼックス・ファルンダムだ。」運転手と話を続けているうちに町に着いた。ゼックスは運転手に礼を言うと、町の入り口に仲間が待っていた。仲間というよりも同じ一族の親戚なので、顔は知っている。
ゼックスがみんなの所行こうとすると一人の少女が近づいてきた。
少女がゼックスに尋ねた。「あなたはファルンダム一族の人ですか?」
ゼックスは、そうだ、と答えた。
その少女は安心したかのようにいたがすぐに倒れこんでしまった。
少女が倒れたのを見ていたファルンダム一族はすぐに少女に駆け寄り
手当てをした。
しばらくして少女が目を覚ました。
ファルンダム一族の長は少女に尋ねた。「君の名前はなんていうんだ?」
少女は答えた「リオナです、リオナ・プランク」
長はやはりと思ったかのように頷いた。
「お願いします!私の一族を助けてください!」リオナは言った。
長はしばらく考えて答えた。「それは出来ない」リオナは言った「どうしてですか!?ファルンダム一族の掟は、助けを求めている者に助けをのはずじゃ」長は答えた「たしかに、だがそれはあいてがどの一族にも属さない未種族の場合のみだ。君はプランク一族の末裔だろう?」
リオナはしばらく黙り込んで答えた「分かりました。すいません無理を言って」リオナがテントから出ようとしたとき、長が引きとめた「待ちなさい、君を助けることは出来ないが話ぐらいは聞くことが出来る何があったのか話してくれないか?」リオナは、なぜ自分が助けてほしいか、一族に何があったのかを全て話した。
「そういうことだったら仕方が無い、ゼックスを連れて行きなさいこいつはものまね師と盗賊の息子でね、かなりの実力があるから大丈夫だよ」
長は一族の一人に呼びにゼックスを呼びに行かせた。
「人助け?別にかまわねーけどチョットめんどくせーんだよな?」
ゼックスが来た「リオナ・プランクです」リオナが答えた
「ゼックス・ファルンダムだ、よろしく」
長がゼックスを呼んだ「ゼックス、これをもっときなさい」
長はそういうと銃を1つ渡した。
ゼックスが「これは?」と尋ねた長は答えた「それはファルンダム一族で祭られている武器のひとつで、名をデットリーハーツという。デットリーハーツは魔力が込められていてやり方1つで、国1つ破壊することも出来る使い方に気をつけるんだぞ」長はそういうと、またテントの中に入っていった。
「えーと、リオナ・・だよなまずはどこに向かうんだ?」リオナは答えた
「そうですね、まずは、同盟を組んでいる一族のところに行ってみましょう
ゼックスさん」ゼックスは、リオナに言った「ゼックスでいいよ」
ゼックス達は、プランク一族の同盟一族がいるという、町に向かった。
「ってことは、まずその町に行けばいいんだな」ゼックスがリオナに尋ねた
「そうですね、まずは、私の一族の様子を知らないと。」リオナがそう答えると、ゼックスは、またリオナに尋ねた。「ところで、その町、どれくらいの距離なんだ?」リオナが答える。「ざっと、2000里ぐらいでしょう」
ゼックスは驚いた。「にっ2000里だってぇ!?」
ゼックスはしばらく考え込むと、町に戻って、大きな鳥を連れて来た。
リオナは、尋ねた。「なんですか?この鳥は」ゼックスは答えた「こいつは
トトルっていう鳥でな、脚力がダチョウの100倍はあって、ファルンダム一族が、移動の時に使う鳥なんだちなみにこの二匹は突然変異で生まれたやつらなんだ」リオナがまた尋ねた。「突然変異って・・」ゼックスが答えた
「突然変異って言うかおそらく、親の特性を受け継いだって行ったほうがいいかなこいつたちの親は、母親が海を渡れて、父親がどんなに高い山でも
越えられるやつだったんだ」リオナは言った「でもそんな貴重な移動手段
を持ってきてもらってもいいんですか?」ゼックスが答えた「大丈夫だよこいつらは、俺が育てたやつらだから、どうしようと俺の勝手なわけ」
リオナが質問した。「名前はあるんですか?」ゼックスは戸惑った「えっ名前?そういえば、決めてないな」「だったら今決めて起きませんか?」
リオナがそういうと、二人は、考え込んだ。「・・・・思いつかないな」
ゼックスが言った「思いつきませんね」リオナも言った。
まあそのうち思いつくだろうとゼックスが言うと、二人は、トトルにのって走り出した。

ゼックスとリオナが旅立って、早二日が過ぎ、ゼックスとリオナは、プランク一族の同盟を結んでいるという、アトラント一族のいる町へたどり着いた
「ここに、同盟さんが居るってわけか」リオナが答えた
「そのはずなんですけど・・・」
そこは、人一人居ない荒地のような町だった
「これは、町というか、廃墟だろ」ゼックスは、言った。
「ほんとに、前に来たときには、もっとにぎやかなところだったのに」
リオナが答えた。
そのとき、ガサガサッと草むらから物音がした。
ゼックスは、即座に、デットリーハーツを草むらに向けて言った。
「そこに居るのは分かってるんだ出で来い」草むらから声がした
「ふっ ふんだ! お前ら皇帝兵なんか怖かないやい!」
リオナが優しく答えた「大丈夫よ、私たちは皇帝兵じゃ無いから」
声は、答えた「リオナ様の真似したって騙されるもんか!」
ゼックスが答えた「リオナ、こいつと知り合いなのか?」
「たしか、聞いたことが・・・もしかしてクーじゃない?」
声は答えた「どうしてオイラの名前をまさか、本当にリオナ様なのか?」
「だからさっきから言ってるでしょう?」リオナが答えた
草むらから、5~6歳の男の子が出て来た。
「リオナ様!」リオナの足にしがみついた
「大変なんだ、ここ最近、急に、皇帝の奴らが町を襲うようになってほとんどの住人が逃げ出して今じゃオイラの家族と町長だけなんだ」
クーが答えた。
「そうだったのよくがんだったわね」リオナがクーをほめた。
クーは嬉しそうな顔をした。
そのとき遠くから馬に乗った男が走ってくるのが見えた
「やばい、皇帝の視察が来たリオナ様速くこっちに」
クーはそう言うとリオナとゼックスを連れて、物陰に隠れた
「異常は無いな」
馬に乗った男が帰ろうとしたとき
バキッと音が鳴った
リオナが枝をふんずけてしまった。
「誰だそこに居るのは!」馬に乗った男が言った。
クーが囮になるといって草むらから飛び出した。
「何だ、クーかまだここに居たのか?」
男は、クーに話しかけた
「何だ、ギアナ兄ちゃんだったのか大丈夫だよ、リオナ様この人は、味方だから。」
草むらから、ゼックスとリオナが出て来た。
ギアナの目の色が変わった
「あなたは、リオナ様ご無事だったのですか!」
「ギアナ! どうしてあなたがここに」
ゼックスが言った。
「何だまた知り合いか?顔が広いな、リオナ」
ギアナが言った「何者ですか?」
リオナが答えた「この方は、ファルンダム一族の方で、名前をゼックスといいます」ゼックスがギアナに頭を下げた
「でもなんで、ギアナが、皇帝の視察に?」リオナが尋ねた
ギアナが答えた「セリス様とリオナ様の失踪後、ザークス一族に、ほとんどのプランク一族のものが殺されてしまい、私は、ザークス一族のものに、実力を認められザークス一族に身を潜めておりました」
「そうだったのですか」リオナは言った
「しかし、リオナ様が見つかれば、奴らのところへ帰る必要もありませんこのギアナ・アルゼルクどこまでもお供いたします」
それからしばらくたった。
クーが言った「がんばって皇帝のやつらをやっつけてくれよなリオナ様、ギアナ兄ちゃん」
「次はどこへ向かう?」ゼックスが尋ねた。
「まずは、神の神殿に向かうのはどうでしょうか」ギアナが答えた
「神の神殿?なんだそりゃ」ゼックスが尋ねた。
「神の神殿、それは巫女の修行場みたいなものです」リオナが答えた
「次は、その神殿だな」
三人は、次の目的地の向かい走り出した。


ゼックス達が、プランク一族の同盟がいるという町でギアナを仲間にしてから、
早一週間がたった。
どうやら、ゼックス達は、自分の一族について話しているようだ。
「すごいんだな~リオナの一族って、神様を使えるなんて」
ゼックスがそう言うとリオナが答えた。
「正確には、神ではなく、神の力を借りるだけなんですけどね、でも一族の規則で、
他の族とは何があっても、かかわることは一切禁止なんです」
ゼックスが、「権力のある一族も大変だな」
と思っているとリオナがゼックスに言い出した。
「それにくらべて、ゼックスの一族はすごいです。自分にはまったく関係ない人なのに
助けようと思うなんて・・・」
少しの沈黙が流れた後に、ゼックスが言った。
「そんなこと無いさ、人を助けるってことは、その人が背負ってる物の手伝いを全部
しなけりゃならなくなる、たとえその人がどんなに危なく危険な存在でもね。」
だから一族いつ全滅してもおかしくない状態で俺達は人助けっていう仕事をやってるわけ」
そんな感じで、話しているうちに、いつの間にか
三人の目の前に、2つの石垣の建物が、大きく聳え立っていた
「ここが、リオナの修行場なのか?」
ゼックスが尋ねると、ギアナが、
「ええここが、プランク一族の神殿です」
そのときゴゴゴゴと神殿の扉が開いた
「じゃあ、行ってきます」
そういうと、リオナは神殿の中に入っていった。
残された2人は、ただただリオナの帰りを待っているのだった
なあギアナ、あっちにある神殿は何かあるのか?」
ゼックスがそういうと、ギアナが
「あっちの神殿は、プランク一族とは別の闇の部族が使っていた。神殿だと聴いています」
そういうとギアナは、火をたき始め、キャンプの準備を始めた
ゼックスが言った
「そんなにかかるのか?リオナの修行って」
ギアナが答えた。
「ええ、エリートと言われたリオナ様の母上、セリス様でさえも、修行に3時間かかりましたから。」
ゼックスが言った
「たった3時間だけだったそれだけ簡単なんだな、修行って、」
ギアナが首を振って答えた。
「とんでもない!、外での1時間は神殿の中ではおよそ10年、つまり、セリス様はおよ
そ30年間神殿の中で修行していたんです」
そのときゼックスは、驚きを隠しきれなかった。
「さっ30年!ちょっとまて、そうしたらもう旅をするたいりょくなんてのこってないじゃないか」
ギアナはゼックスを落ち着かせるよう言った
「大丈夫ですよ、神殿を出れば若さは修行前に戻りますから」
ゼックスはほっとしてストンと腰を下ろした。
ふと気がつくと、プランク一族の使う神殿とは別の神殿があった。
「なあ、ギアナ向こうにある神殿は、何なんだ?」
ギアナは答えた。
「ああ、あそこは闇の部族が使っていた神殿と聞いています」
ゼックスは神殿についての話をギアナから聞くと
「ちょっくら見に行ってみる」
といって、その神殿へ向かっていった。
「ゼックス殿、結構好奇心旺盛なのですな・・・」
そんな事をいっている内に、いつの間にか、ギアナはポツンと一人座っていた。
そのとき、ギアナに一人の少年が尋ねてきた。

「あの~、神の神殿って知りませんか?」
そう言われるとギアナは言った。
「神の神殿だったらここがそうですが、あなたは?」
青年は答えた。
「僕はクローズ、クローズ・ザ・オロチ」
ギアナが答えた。
「オロチ・・・・もしやこちら君主の命を狙って!!」
そういうとギアナは剣を構えた。
それもそのはず、オロチ一族とはプランク一族とは対象的で人々を悪に染めるために神に仕えているからだ。
そのせいか、昔から代々、「プランクとオロチの戦いに終止符など無し」
と伝わっている。

クローズは、あわてて話した
「ちょ、ちょっと待って!僕は争う気はありませんよ!」
「じゃあ、なぜここに!」
クローズは、訳を話した。
クローズの話では、オロチ一族の末裔である自分の修行の時期が来たのでここに修行しに来たということと、いくら目的が違うとはいえ、神に仕える事はほとんど変わりがないため修行場所も同じなのだと話した。
ギアナはその話を聞くと剣をおさめた。
「その話、信じましょう」
「僕が嘘をついていたらどうするんですか」
「嘘か本当かは目を見れば一目瞭然ですから」
そういうとギアナはまた座り込むと
「今は、こちらの末裔が修行中です、終わるまでここで待っておけばよいでしょう」
一方ゼックスは・・・
「近くで見ると結構大きいんだなこの神殿。」
ゼックスが神殿の周りをぐるぐる回っていると、ビカッとデットリーハーツが光りだしたその光が線のようになり神殿の周りを覆っていた結界を破った。
ゼックスは少しあ然としていたが盗賊の本能なのかさっさと神殿の中に入っていった。
「この壁画見るとおそらく何か祭っているんだろう」
ゼックスはそう思うと奥に進んでいった。
ゼックスが神殿の奥に進んでいくと、神殿の外見とはくらべものにならないほど天井が高い部屋に出た。
その部屋には、紋章のようなものが祭られていた。
ゼックスはいつの間にか少しずつその紋章に引き寄せられていた。
そして、ゼックスがその紋章をつかんだそのとき
その紋章が黒い光を放ち、その光がゼックスを貫いた。
「ぐわぁぁぁぁ!!」
ゼックスの身体から血が吹き出した。
ゼックスはのその部屋に倒れこんだ。
ゼックスの意識が朦朧とする中、人影が1つゼックスの脳裏をよぎった。
「どうしたシン、もうへばったのか?」
(シン?誰だよそれ俺はゼックスだ)
「それでも、ザークス一族かよ」
(ザークス?何で俺がザークス一族なんだよ)
「やったなシン!ついに、皇帝をマスターしたな!」
(皇帝?俺はものまね師にしかなっていないぞ?)
「どうしたシン?もう終わりか?だらしないな」
(まっ・・・てくれ・・・・兄・・・・・さん)





気がつくとゼックスは、ギアナ達の所にいた
「ゼックス殿、気がつきましたか」
「ここは・・・」
「クローズ殿が、見つけてくれたんです。」
「君が?」
「はじめまして、ゼックス君」
「ゼックスでいいよ」
そういうと、ゼックスは立ち上がった。
「ゼックス、ちょっと話が・・・」
「話?」
そういうとクローズはゼックスを呼び出した。
「単刀直入に言います、君には死神の力がある」
「死神って、あの死神?」
「あの死神」
「ええええぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」

番外編
何も無い荒野の中を、一台のバイクが走っていく。
そのバイクには子供が二人乗っていた。
そのときバイクが急に止まり、子供がバイクから降りた。
子供の一人が顔まで覆っているヘルメットを取ると、一人は短髪で茶髪の少年ということがわかる。もう一人も少年と同じようなヘルメットをかぶっており、それを取るともう一人は明るい黄色をしたロングヘヤーの少女だということが分かる。
「ここら辺なんだよね」
「ああ、間違いない」
そんな会話の後、急に地響きが聞こえてきた。
「来たみたいだな。戦闘だ、構えろ」
少年がそういうと、少女は手を空に掲げ、空から白い羽のついている白く輝く剣を、少年は目の前に出てきた、異次元のような穴から黒い翼のついている黒い銃を取り出した。
「さっさと殺して帰るぞ」
「う、うん」
二人の子供は、地響きに向かって走っていった。




しばらくしないうちにその地響きはとまり何か大きなものが倒れる音がしたという。
近くの町では、少年がとてつもない量の魔物(ビースト)を一瞬で消し、後に残ったのは、魔物の血の雨だけだったという話と少女が放った光に魔物達が飲み込まれていったという話だけが残った。
その町を一台のバイクが走っていった。
「ねえゼックス、今回のビーストは当たりだった?」
「まあ当たりといえば当たりだな。死神のかけらも手に入ったしな」
「あといくつぐらいなんだろう」
「さあな俺にもわからない実際かけらの数を知っているのは死神カノープスだけだからな。」
「もうだいぶ経つね。彼がいなくなってから」
「だからこそ探すんだ。やつの魂のかけらを・・・そしてあのときの借りを返すんだ」






もちろん、魔物を倒したのが、その二人だと知るものは誰もいなかった

昨日、体内の奥底に封じられていた巫女の力を解放したリオナ、修行場である神殿で新たにクローズを仲間を加えたのだった。




「本当に一緒に行かないのか?」
残念そうな声でゼックスが言った。どうやらクローズが乗る分のトトルが無いらしい。
「ええ、それに別々に動いたほうが何かと情報も手に入れやすいですし、このままここにいるのも何かと大変でしょうから。」
そういうとギアナはテントの中からカバーがかけられている何か大きなものを取り出した。
「私とクローズはゼックスさんのトトルを使わせてもらうので、ゼックスさん達はこれを使ってください。」
そういうとギアナは大きな物にかかっているカバーを取るとその大きな物はバイクだという事がわかる。
「少し古い型なのですが、エンジンとマフラーは改造しているので、移動するのには便利なはずです。」
話をしているギアナそっちのけでバイクにまたがるゼックスとリオナ。
クローズが二人にヘルメットを渡すと周辺一帯に鳴り響き、すごいスピードで
走っていった。後ろに乗っているリオナがぎゅっとゼックスの彼だを抱きしめて思った。「バイクって・・・乗ると寒いなあ・・・」








真っ暗な闇の中にゼックスに似た銀髪の青年がいた。
「どうやらゼックスは神の力を手に入れたみたいだね・・・・フフッ・・・おもしろくなってきた。彼はあの神の力をどこまで制御できるか見ててあげよう。」
そういうと青年はまた、闇の中へと消えていった。






ゼックスとリオナがバイクでの旅をはじめてから一ヶ月がたった。
最初のうちには転倒したり街の露店に突っ込んだりと実に情けないことばかりだったが、毎日のように乗っていれば自然に身体に覚えこまれていった。
「今回の街で皇帝やリオナの一族の情報を探すものの」
「何の情報も手に入らなかったね」
二人がガックリと肩を下ろし、道を走っていく。
「ここから近い街は・・・・神教の街だよね。」
「神教か~また何か言われそうだな」
ゼックスは一ヶ月前ある神殿で死神の力を手に入れてから、宗教関連の街へ行くといつも神様、神様、とあやがめられてしまう。
一方のリオナも巫女の一族なので知らない人にいきなり手をつかまれて、あやがめられるのだが慣れているのか、あまり戸惑いはしない。
「だけど、力の修行になるかもしれないしがまんしようよ」
そして二人はまた走り出した。
街につくころには、すでに日が落ち、辺りは闇に包まれていた。
「仕方ない、今日は宿にでも止まろう。」
ゼックスがそういうと宿屋へと走り出した。
宿に着く前に街の中からは物音一つしない真っ暗な夜になっていた














翌日、
二人は観光がてらにまちをまわることにした。
昨夜とは打って変わる街のにぎやかさにあっけをとられていた
町の人に話を聞けば街の中心にある妖刀を引き抜くためにさまざまな人々が集まっているという。
「ほほう、妖刀ね~」
ゼックスがニヤリと笑った。
「その妖刀俺がいただこうかな。」
ゼックスは何かと魔剣や名刀という感じの武器が好きな武器マニア的な要素を含んでいる。
「また始まった・・・・」
「この俺が確実にてにいれてやるぜ!」
その日の正午に、妖刀といわれている刀を引き抜く、力自慢大会が行われた。
その大会に出ているのは体の大きい男ばかりだった。
時間が経つにつれて、周りいた男達は、次々と大会会場を去っていった。
「番号二千百七番、ゼックス・ファルンダムさん、順番が回ってきたのでステージへどうぞ。」
「やっと出番か。それじゃあ行ってくるよ、リオナ。」
「いってらっしゃい。がんばってね」
ゼックスがステージに上がると司会者が、
「ゼックス・ファルンダム選手、彼女に見送られながらの挑戦だ!これは負けるわけにはいかないぞ!」
ゼックスとリオナは顔を赤くしつつも互いの顔を見ながら無理な笑顔を作った
ゼックスが真剣な顔すると、ゼックスの周りを黒い風が包みだした。
「よし、せりゃぁぁぁ!」
ゼックスは力いっぱい妖刀を引っ張った。
すると妖刀はあっさりと抜け、刀の抜け穴から鋭い光が放たれた。
あまりの光の強さに死神に覚醒していたゼックスはそのまま気絶してしまった











ゼックスが気がつくと、そこはとても豪華な部屋だった。
「ここは・・・どこだ?」
ゼックスが起き上がると隣には自分の手を握ったリオナが眠っていた。
「リオナ・・・リオナ!」
ゼックスが名前を呼ぶと、リオナはうつらうつらとしながらも目を覚ました。
「ゼックス!気がついたんだ。」
「ああ、しかしここは一体・・・」
リオナの後ろからクスクスと笑う声がした。
声に反応して、ゼックスが腰のナイフにサッと手をかけた。
「そんなに警戒しなくても大丈夫です。ここは神教の街の町長の家ですから
。」
「きっと光が強すぎたんでしょう。まったくお嬢様のお遊びにも困ったものねですね。」
リオナの後ろにいたのはこの家の使用人なのだろうか、メイド服を着た17歳
ぐらいの女性と執事のような服を着た18歳ぐらいの青年だった。
「あんた達はいったい・・・・」
「私達はこの家の使用人です。」
「使用人って・・・・よく豪邸とかにいるお手伝いさんのこと?」
リオナがそういうと、二人はコクリとうなずいた。
「僕は、シード・ダルク、こっちは妹の、ジャンヌ・ダルク。まあ、よろしくおねがいします。」
「あ・ああ、ところでこの屋敷のお嬢様って?」
「お嬢様はこの屋敷の次期当主で、旦那様は、皇族の方なのです。」
「へぇ~、そ~なんだ。」
ゼックスとリオナがうなずく
「それで、俺達を連れてきた理由は何だ?この屋敷の護衛人にでもさせるか?
それとも皇族にリオナのことを教えて、リオナを連れて行くか?どっちにしろ俺は全力で阻止させてもらう。」
部屋一帯に殺気が漂った。
「そうピリピリしないでください、僕らはそんなことをするつもりはまったくないんで。」
「私達は貴方にお嬢様をこの屋敷から連れ出して欲しいのです。」
リオナがキョトンとした顔で聞く。
「なんで、お嬢様を連れ出す必要があるの?」
「実は・・・・・」

ゼックスとリオナはこの家の現当主がお嬢様の兄を虐待し、あげくの果てには家を追い出してしまったらしく、お嬢様はその兄を探しにいきたいというものだった。

「お金が必要でしたら差し上げます。お嬢様の願いを聞き入れてください。」
ゼックスは手を額に当てて考えた。
リオナはじっとゼックスの顔を見ている。
ゼックスが重い口を開いていった。
「いいよ、わかった」
シードとジャンヌはほっとした顔で互いの顔を見合った。
「ただし、条件が2つある」
二人はごくりと息を飲んだ。
「1つ、俺とリオナの乗るバイク、「エンペラー」の重装備化とエンジン、の改造をお願いしたい。」
「わかりました、すぐに手配します。」
「2つ、俺達はお嬢様とやらを連れて旅はしない。旅をするのはあんたら二人だ。」
二人は、コクリとうなずいた。
「連れ出すのは、あさっての深夜、例としてあんたらが裏切ったりした場合命はないと思っとけ」
「それまでにお嬢様に連絡するとか、旅用品を買っとくとかしといたほうがいい」

その日のうち必要な分の食料と、古くなった道具を買いに入った。
買出しから戻ってきたときにはすでに日も暮れていた。
「あと5時間ぐらいだな。 リオナ・・・心の準備をしとけよ。」
「うん・・・・わかった」
逃走の時間まで刻一刻と近づいていた。







逃走の時まで残り1時間を切った。
「準備はいいか?」
「・・・・」
返事がない
「・・・・・zzzzzzZZZ、ハッ!」
どうやら寝ていたらしい。
「眠いんだったらエンペラーで寝ていた方がいい、あとこれを着ていけ外は寒いぞ」
ゼックスが自分のコートをリオナに渡す。
「ありがと、でもゼックスは寒くないの?」
「あ? ああ、死神の力の精神修行がてらにな」
「そっか・・・」
「とりあえず準備はしとけよ、お嬢さんを連れてきたらすぐにここの使用人とこの屋敷を出るからな」
そういうとゼックスは部屋を出た。
ゼックスが部屋から出たのを見計らって、リオナはクスクスと笑っていった。
「コートの中はTシャツ1枚だけなのに、素直じゃないね~。 でも、ありがと」
リオナは部屋に置いてある荷物をまとめ始めた。



逃走まで残り30秒
ゼックスとリオナはエンペラーに乗って使用人達を待っている。
しかし、時間になっても二人が来ない。
「遅いね。」
「5秒後にもどらなかったら先に行ってろ」
「5秒ってすぐに過ぎちゃうよ。」
「よーするに、先に行ってろって事」
リオナはうなずくとエンペラーのエンジンを掛けて走り出した。
「さてと、戦闘だ。 出て来いカノープス。」
ゼックスがそういうとゼックスの背中から黒い翼が生えてきた。
「デットリーハ-ツLv1、起動! さあ、ショーの始まりだ。」
死神の夜が、今始まるのだった。



ゼックスが館の中に入っていく。
屋敷の中はしんと静まり返っている。
「そんなに殺気を出してると、すぐにバレるぜ・・・・シード」
ゼックスがそういうと、物陰からシードが出てくる。
「さすが、といった方がいいですかね? 第一級犯罪者ゼックス・ファルンダム。 巫女の誘拐、窃盗、一般人への暴行・・・・。 あきれてきますよ、彼方の悪人振りには。」
「俺だって、好きで犯罪者になったわけじゃないんだが・・・・まあ、しかたないよな世界レベルの重要人物を連れまわしてるんだから。」
「しかし、まったくの他人にどうして自分の命をかける必要があるんですか? 彼方とプリンセス・リオナの間にそれほどの関係でも?」
ゼックスは、ほくそえみながら言った。
「理由?そんなの知るか。 俺が守ると決めたからには、それを最後までやり遂げるだけだ。お前ら皇族になんか渡すかよ。」
すると、ゼックスがデットリーハーツをホルスターから取り出す。
それを見たシードが、上着の袖からナイフを投げてくる。
金属と金属のぶつかる音がする。
ゼックスは物陰に隠れながらデットリーハーツを打つ。
しかし、弾はシードにかすりもしない。
シードがゼックスの後ろに回りこむ
「遅いですね、ゼックス・ファルンダムこの程度だったんですか?」
「そのスピード・・・お前のジョブ(職業)はアサシンってとこだろ?」
「・・・・・・スピードだけで、相手のジョブを見抜くとは・・・やっぱりすごいですね。」
「俺だって伊達に、ものまね師をやってるわけじゃないんでね。」
「ものまね師?相手のジョブを真似るというあの特別級に入るジョブですか・・・。なら接近戦もお手の物では?」
「まあな、ためしてみるか?」
「もちろん。」
二人が会話を終えると、姿は見えずただ金属音だけが鳴り響いた。

ゼックスの声が聞こえる。
「ジョブチェンジ、時魔導師!」
デットリーハーツが杖に変形する。
「かの者の時を遅くしたまえ!スロウ!!」
するとシードのスピードが少し遅くなった。
「ジョブチェンジ、暗黒騎士!」
デットリーハーツが、杖から剣に変わる
「 はぁぁぁぁ! 暗!黒!剣!」
黒い球体がシードの体を包み、その球体がしだいに縮んで、そしてはじけた。
それと同時に、シードの悲鳴が屋敷の中に響いた。
「悪いな、一応急所は外しておいたから死にはしないだろう。 さて、次はジャンヌだろうな・・・女とはあまり戦いたくはないんだが、まあ仕方ないか。」
ゼックスは屋敷の奥へと進んでいった。


ゼックスが館の奥へと進んでいく。
突然ゼックスの足が止まる。
「・・・・・少し作戦でも考えとくか。」





ゼックスが館のだいぶ奥へと進んで行くと、目の前にメイド服の人が立っている。
「ジャンヌか・・・・悪い事は言わないさっさと逃げたほうが・・」
ゼックスが忠告をしようとしたそのとき。
ゼックスの顔の真横を何かが飛んでいき、壁に大きなくぼみができた。
「このパワー・・・・・、バーサーカーか? あんた。」
ゼックスの問いを無視するかのようにジャンヌが狼のような雄たけびを上げる。
「ゼックス・・・・ファルンダム・・・・・・皇帝の・・・・・敵ッ!」
ジャンヌが拳を振りかざし、ゼックスに襲いかかる。
「確か、バーサクって言ったっけ、敵が死ぬまで攻撃し続ける。」
ゼックスはひょいと攻撃をよけ、ジャンヌに足払いをかける。
足を払われたジャンヌはその場に倒れこむ。
「頭に軽く2~3発撃っときゃイイだろ。」
ゼックスはそういうとジャンヌの体を踏みつけ、文字通り2~3発打ち込んだ。
「これでよし、後は親玉だけだな。」
すると、何処からか「チッチッチッチ」という音がする。
「何の音だ?時計みたいな音が・・・」
ゼックスが周辺を探す。






どうやら、音源はジャンヌが手首につけている腕時計から鳴っている。
「この時計から鳴ってんのか?ちょっとよく見てみるか。」
ゼックスが腕時計をはずす。
その時計には「ノコリジカン0:10ビョウ」
と描いてあった。
「残り10秒?・・・・・まさか!!」
ゼックスはハッとして即座に窓へと向かった。










「クソ!間に合わない!」










ものすごい爆音とともに館から、黒い煙が上がる。








先に街の外へと向かっていたリオナは待ち伏せていた衛兵に捕まっていた。
その光景を見たリオナは息を呑んでゼックスの無事を願い続けた。


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