何気にenjoy生活♪

何気にenjoy生活♪

私~居場所~

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こんな私はあなたにはどんな風に写るでしょうか?
能天気な『私』の波乱万丈な人生。
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6年の夏休みが始まると同時に、私は卒業を待たず転校させられた。

もちろん1年生になったばかりの妹も一緒だった。

私たちは訳も判らぬまま、山口県にある母の姉の家に預けられたのだった。

親戚のお葬式や結婚式で数回会っただけの『おばちゃん』と

いとこと言われても、まったく知らない人みたいな『お兄ちゃん』との奇妙な生活が始まった。

***

「遠い所からよう着たねぇ。疲れたやろ、早よう おあがり。」

「お邪魔します・・。」

社宅の一軒屋は広くて、縁側から見える庭のような広場のような場所には、

いちじくの木やスイカなどが育ってのどかな風景が広がっていた。

ただ一つ。小学生の私たちには衝撃的な事実があった。

その家にはテレビが存在しなかった。(笑)


「お姉ちゃん、テレビ見たいよぉ」

よく妹はそう言って私を困らせた。

おばちゃんに『テレビを買って』と言えるわけもなく、仕方なくお絵かきをさせたり

近くの公園へ連れて行ったりして暇をつぶしていた。

そして何より私たちの生活を大きく変えたのは、敷地内にある社宅への

朝の牛乳配達。夕方の新聞配達。

大きな自転車に荷物を積み、自転車に乗れない妹は、よたよたと自転車をこぐ私の後ろを必死に走ってきた。

朝の仕事を終え、帰ってきた二人を待っているのは『ラジオ体操』と『生卵』(笑)

辛すぎる朝は私たちの一日を憂鬱なものにした。

我慢しきれずに、おばちゃんの居ない隙を見計らって母親に電話をしたこともあった。

「お母さん。げんき?私たちもげんきやで。」

「でもな・・。ううん、なんでもない。じゃぁね!」

(母親にこれ以上の心配はかけたらアカン。)

子供ながらに自分の居場所はここしか無いのだからと言い聞かせた。


<<つづく>>


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