播磨国 ~極楽リゾート~

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温泉とは?



 昭和23年に施行された温泉法という法律があって、「温泉源から摂取 される時の温度が摂氏25度以上、または特定物質を一定量以上含有する もの」と定められている。
 つまり、源泉から湧き出した時、25度以上の温度があれば無条件で温 泉となり、冷たいものでも規定以上に物質が含まれていたら温泉というこ とになります。
 摂氏25度というのは日本の年間平均気温を基にしたもので、平均気温 の低いヨーロッパなどでは20~21度と定めている国もあります。
 一般的な温泉のイメージからすると多少違和感がありますが、これは温 泉法の定義が温泉に含まれる有効成分にポイントをおいているためです。 実際のところ泉源のお湯がそのまま入浴に使用できるのは体温前後から摂 氏43度程度のごく限られた温度帯ですから、自然湧出の露天風呂でもな い限り湧出温度にこだわる必要はありません。

温泉の種類は?

 温度以外の温度の条件として温泉法が定める成分や含有量は、表1のと おりです。これらの成分バランスによって温泉の性質が異なり、塩化物  泉、炭酸水素塩泉、硫酸塩泉、二酸化炭素泉、含鉄泉、硫黄泉、酸性泉、 放射能泉、単純温泉という9種類の泉質に分類されています。
 温泉の種類には、こうした泉質による分類以外に、泉源の湧出温度によ る高温泉(42度以上)・温泉(34度以上42度未満)・低温泉(25 度以上34度未満)・冷鉱泉(25度未満)の4段階の分類、温泉の濃度 を人の液体の浸透圧(1kg中8.8g)を基準にした、溶存物質総量が1kg中 10g以上の高張性・溶存物質総量が1kg中8g以上10g未満の等張性・溶存 物質総量が1kg中8g未満の低張性の3段階の分類、鉱泉を水素イオン濃度 (ph)により分ける方法で、ph8.5以上のアルカリ性・ph7.5以上8.5未満の 弱アルカリ性・ph6.0以上7.5未満の中性・ph3.0以上6.0未満の弱酸性・  ph3.0未満の酸性の5段階の分類などがあり、温泉の成分表はこれらを組み 合わせた表示になっています。

(表1) 温泉の成分基準(いずれかが湧出水1kg中に基準量以上含有している)
●温泉の成分名             成 分 基 準
  溶存物質(ガス性のものを除く)・・・・・・・1000mg
フッ素イオン・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 2mg
遊離炭酸・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・250mg
ヒドロひ酸イオン・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1.3mg
リチウムイオン・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1mg
メタ亜ヒ酸・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1mg
ストロンチウムイオン・・・・・・・・・・・・・・・・・・10mg
総硫黄・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1mg
バリウムイオン・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・5mg
メタホウ酸・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・5mg
フェロ又はヘェリイオン・・・・・・・・・・・・・・・・・10mg
メタケイ酸・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・50mg
第一マンガンイオン・・・・・・・・・・・・・・・・・・・10mg
重炭酸ソーダ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・340mg
水素イオン・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1mg
ラドン・・・・・・・・・・・・・・・・・・20(100億分の1キュリー)
臭素イオン・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・5mg
ラジウム塩・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1億分の1mg
沃素イオン・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1mg

温泉の効能は?

 泉質に関係なく、一般に温泉を療養に利用する場合の適応症としては、神経痛・筋肉痛・関節痛・五十肩・運動麻痺・関節のこわばり・うちみ・くじき・慢性消化器病・痔症・冷え症・病後の回復期・疲労回復・健康増進などが挙げられます。浴用とならぶ温泉のもう一つの利用法が温泉水を飲む飲泉です。直接体内に温泉成分が入るだけに短時間に効果が出る場合があり、その分禁忌も厳しく、入浴以上に注意する必要があります。また、飲泉は飲泉許可のある温泉で、温泉の湧出口で行うというのが原則です。
泉質別の禁忌症については環境省による指導を表2に記載したので参考にしてください。温泉地で飲泉する場合の注意としては、まず成分分析表の禁忌をよく読むことです。摂取量は泉質により異なりますが100~00ml程度を十分時間をかけてゆっくりと飲みます。また、湧出後の温泉成分は時間とともに変化するので、配湯のシステムや泉質によっては分析表どおりの効果が期待できない場合もあります。温泉を家に持ち帰る場合も同様です。
一般的な温泉の禁忌症としては、急性疾患(特に熱を伴うもの)・活動性の結核・悪性腫瘍・重度の心臓病・呼吸不全・腎不全・出血性疾患・重度の貧血・その他一般に病勢が進行中の疾患・妊娠の初期及び末期などが挙げられます。年齢に関係なく通院や継続的な治療が必要な疾患の人や慢性的な持病のある人は、必ず事前に医師に相談しましょう。
(表2) 泉質別温泉の禁忌症
●浴用禁忌
硫黄泉  粘膜の過敏な人。特に鉱泉過敏症の人
硫化水素型は高齢者の皮膚乾燥症
酸性泉 皮膚、粘膜の過敏な人。特に鉱泉過敏症の人
硫化水素型は高齢者の皮膚乾燥症
●飲用禁忌
塩化物泉  腎臓病・高血圧症・その他一般にむくみのあるもの。
甲状腺機能亢進症の時はヨウ素を含有する温泉を禁忌とする。
炭酸水素塩泉 ナトリウム炭酸水素塩泉は塩化物泉に同じ。
硫酸塩泉 下痢気味の時
ナトリウム硫酸塩泉は塩化物泉に同じ。
二酸化炭素泉 下痢気味の時
硫黄泉 下痢気味の時

泉質による効能は?

泉質による適応症状は次のとおりです。便宜上9種類の泉質に分類しましたが、実際には個々の温泉により成分比率が異なりますから、目安として参考にしてください。
【単純温泉】
単純温泉は、温泉に含まれる成分量がいずれも他の8種の泉質の基準以下で、どれにも分類できないものをいいます。特定成分が突出していないため身体への刺激が少なく、無色透明、無味無臭のやわらかい入り心地のよいお湯が多いようです。国内では最も一般的な泉質で全国各地にみられます。
効能は含まれる微量成分の内容によりますが、一般には先に挙げた療養泉の一般的適応症に相当します。
【塩化物泉】
 塩化物泉は主成分に海水に似たミネラルの多い塩を含んだ温泉で、口に含むと塩辛い味がします。旧泉質名では食塩泉といわれ、入浴すると皮膚に付着した塩分が汗の蒸発を防ぐため、いつまでも温かく湯冷めしにくいお湯です。
 浴用効能は、切り傷・やけど・慢性皮膚病・慢性婦人病・虚弱児童の体質改善など、飲用は慢性消化器病・慢性便秘症などに効果があるとされています。慢性気管支炎などには温泉の蒸気を吸い込む吸入法なども行われます。
 塩分制限をされている人やむくみのある人は飲んではいけません。
【炭酸水素塩泉】
 炭酸水素塩泉には二つの種類があって、一つは旧泉質名で重炭酸土類泉と呼ばれていたカルシウム(マグネシウム)炭酸水素塩泉、もう一つは重曹泉と呼ばれていたナトリウム炭酸水素塩泉です。
 炭酸水素塩泉の一般的な浴用効果としては、切り傷・やけど・慢性皮膚病など、飲用では慢性消化器病・糖尿病・痛風・肝臓病が挙げられます。
カルシウム(マグネシウム)炭酸水素塩泉の場合、カルシウムやマグネシウムイオンの鎮静・消炎作用がアレルギー性疾患や慢性皮膚病に効果があり、飲用すると利尿作用や高血糖値の低下・胃酸の中和・胃腸運動の鎮静などの効果があるとされています。
ナトリウム炭酸水素塩泉は「美人の湯」ともいわれ、入浴すると皮膚の表面が軟化して分泌物や脂肪が乳化し、肌がなめらかになる美肌効果があります。皮膚表面からの水分発散が盛んになるため入浴後に独特の清潔感を伴うのも特徴のひとつで、飲用すると胃酸系の胃腸薬のような効果があり、肝臓・膵臓・胆嚢などの働きを整えます。
【硫酸塩泉】
 硫酸塩泉にもいくつかの種類があって、主なものはナトリウム硫酸塩泉(旧分類の芒硝泉)、カルシウム硫酸塩泉(同石膏泉)、マグネシウム硫酸塩泉(同正苦味泉)の3つです。硫酸塩泉に属するアルミニウム硫酸塩泉(明ばん泉)は、酸性でお湯の性質が異なるため適応症上は酸性泉に分類されます。
 一般的な硫酸塩泉の効能としては、浴用が動脈硬化症・切り傷・やけど・慢性皮膚病など、飲用は慢性胆嚢炎・胆石症・慢性便秘・肥満症・糖尿病・痛風などです。昔から浴用では外傷、飲用では痛風の効果がよく知られており、マグネシウム硫酸塩泉(正苦味泉)は血圧や血管によく作用するところから「脳卒中の湯」とも言われます。
【二酸化炭素泉】
 二酸化炭素泉は旧分類で単純炭酸泉と呼ばれていたもので、炭酸ガスを含んだ温泉です。温度が上がると溶け込んでいたガスが気化してしまうので冷鉱泉が多く、かつては炭酸飲料や炭酸せんべいの原料にも使われました。
 二酸化炭素泉の適応症には、浴用が高血圧症・動脈硬化症・切り傷・やけどなど、飲用には慢性消化器病・慢性便秘症などが挙げられます。二酸化炭素(炭酸ガス)には体表面の毛細血管や細動脈を拡張する働きがあるため低温でもよく温まり、肩こりなどにも効果があります。
【含鉄泉】
 含鉄泉は文字通り鉄分を含んだ温泉で、旧分類では単に鉄泉と呼ばれてました。泉源から湧出した時には無色透明ですが、時間が経過すると鉄分が酸化して徐々に茶褐色を帯びてきます。含有する鉄分の種類によって炭酸鉄泉と緑ばん泉に分けられ、緑ばん泉は酸性でかなり刺激の強いものです。
 含鉄泉の適応症は、浴用は月経障害、飲用は貧血とされており、すぐれた造血作用があって浴用、飲用とも貧血気味の人に特に効果があります。飲泉にはなるべく泉源近くの透明な湯を利用しましょう。
【硫黄泉】
 「卵の腐ったような」と表現される温泉独特の匂いの正体は硫化水素という成分です。硫黄泉にはこの硫化水素や硫黄が多く含まれており、ひときわ匂いが強いのですぐわかります。硫黄分の量などによって単純硫黄泉と単純硫化水素泉に分かれ、浴用効果は、前者は慢性皮膚病・慢性婦人病・切り傷・糖尿病など、後者はそれらに加え高血圧症・銅若硬化症などにも適しています。飲用の場合は共に糖尿病・痛風・便秘などに効能があります。
硫黄には強い殺菌・解毒作用があり、各種の慢性皮膚疾患などの顕著な効果がある反面、入浴・飲用とも刺激が強すぎ、病弱者や高齢者には適さない場合があります。療養に利用する際には事前に医師に相談してください。
また、硫化水素は鉄や銅、スズなどの金属に反応しやすく、金属製品を黒く変色させることがあります。メタルフレームの眼鏡や時計、アクセサリーなどは浴室に持ち込まないようにしましょう。
【酸性泉】
 酸性泉の温泉に入浴すると、皮膚や粘膜の弱い人は肌がピリピリしたり、湯ただれを起こすことがあります。非常に殺菌力があるため、浴用では水虫など細菌性の皮膚病や慢性皮膚病一般に効果があり、飲用すれば体内の酸を補うため慢性消化器病などに適応します。
 口に含むと酸味があり確かに効きそうですが、のんびり温泉に浸かるというより、目的を持った治療や療養向きの温泉といえます。療養利用をする場合は必ず事前に医師に相談してください。
【放射能泉】
 「放射能」という言葉のイメージが悪いためか、昔からラジウム温泉・ラドン温泉と呼ばれることが多い温泉です。もちろん人体への影響は他の泉質と同程度のもので、正しい入浴法さえ守れば何の問題もありません。
放射能泉の浴用適応症としては、痛風・動脈硬化症・慢性胆嚢炎・胆石症・慢性皮膚病・慢性婦人病など、飲用では痛風・慢性消化器病・慢性胆嚢症・胆石症・神経痛・筋肉痛・関節痛が挙げられます。また、神経の鎮静作用があり、神経痛や自律神経の過敏症などにも効果があるとされています。
温泉中に含まれるラドンは浴用や飲用でも吸収されますが、呼気に混じってすぐに排出されてしますため、入浴や飲用より吸入法が効果的です。

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