明日天気になぁーれっ~天使になった赤ちゃん~

命の大切さ

命の大切さ

私は以前4年間看護師をしていました。

そこでは癌の患者様との出会いが多くあり、告知は日常的に行われていて
ほとんどの方が抗がん剤治療や放射治療を受けられていました。

でも中にはもう手遅れで積極的な治療を出来ないかたも多くおり、毎日患者様が
出来るだけ有意義に過ごせるように看護をしてきました。

でも今・・・・。

自分の行っていた看護は振り返ってみると最悪なものだったと感じています。
そして謝れるのであれば謝りたいくらい・・・・。

看護師をしていると命の大切さをたまに忘れてしまう事もありました。
ただ業務に追われてしまって1人1人の事を見る時間が少ないから。

でもこれは私の勝手な意見で・・・・。
私はすべての人に十分な看護を提供できていたかと言うときっと全くダメだったと思っています。
だから自分の受け持ちの患者様にはいい看護を提供しようと必死でした。
でもそれって受けた本人がどう思うかでいい看護だったのか違ってくるもんなんだなぁ・・って私は子供を亡くして思いました。

私は自分の息子を亡くしてしまい、命の尊さをもう一度学びました。
そして私が命の大切さを身にしみて実感させられた事が以前にもありました。

それは私が働き始めてから1年目・・・・・・。

その日はとても寒い日でした・・・・。

そして土曜日でした・・・・。

その日は勤務者が5人しかおらず、私たちは10人の受け持ち患者さんを抱えて働いていました。

でも、朝から急変患者さんが2人いて1人1人でその患者さん達につきっきりで先生の介助や観察・看護などで精一杯でした。

私の自分の受け持ち患者さんに少し鬱状態の患者さんがいてその方は、病状の悪化と共にどんどん心を閉ざしてしまっていました。

とても気難しい方で私も頭を悩ませていました・・。

でも私にはその方の話を聞いてあげて、背中をさすってあげることしか出来ませんでした。

でもその方は、遠慮されてほとんど何も看護をさせてくれませんでした。
私はしょうがないと思い家族にその状況を説明し、家族にも看護に参加をしてもらえるように話し合っていました。

そして出来るだけ苦痛の無いように援助を進めていく事を説明し、看護計画を立てていました。

しかし・・・・。
その日の朝に忙しさに参った私の前の看護師が血痰の吸引を行ってしまったのです。
気道狭窄もあり、喀痰を出すのもかなりのエネルギーが要ることも確かです。

でも吸引をしてしまうとその人のプライドを傷つけてしまうと考えて行っては居ませんでした。それに吸引を要する状況までにはまだ至っていなかったから・・・。

朝から急変で大変だった私はその患者さんの不安げな表情に気がつきながら
忙しさでゆっくりと話を聞いてあげられることが出来ませんでした。

そして・・・・・・・・・・・・。

それがその患者さんとのお別れでした。

昼間にそわそわしてどこかに行かれたことは分かっていました。
聞いてみると他の患者さんの所に行っていた・・と。
その不思議な行動は申し送りしていましたが、そこまで不思議にも思っていませんでした。

夜になり、21時の消灯の時間が来ました。
私は仕事がまだ終わっていなくて残ってカルテを書いていました。

すると準夜の看護師さんが

「・・・・さんがいないっ!!!!!!!!!」

えっ??????????????

私達は必死に探しました。

そしてその方が吸っていた酸素ボンベを発見しました。
でもその方の姿は見えません。

その方は、多くの酸素を吸入してやっと普通の酸素飽和度を保っていたので、酸素が外れているだけでも命の危険があります。

「・・・・・・・・さーんっ」

私達は病院をあげて病院中を探しました。
その日はその年で一番寒く、雪が降っていました。

必死の捜索に関わらず、その日にその方は見つかりませんでした。

そして次の日の朝・・・・・・・。

その方は自らの命を絶っているのが発見されました。

私は自分が情けなくて泣きまくりました。

本当にあの患者さんの命を守れなかった自分に腹が立ちました。

あの時ちゃんとその患者さんと向き合っていたら・・・・

あの時、時間外にでもあの患者さんの所に行って一言でも話をしていたら・・・。

今悔やんでも悔やみきれません。

そして命の大切さを心から実感しました。

それからは、出来るだけ時間を作って患者様と向き合ってきたつもりです。
あの方のような最後にして欲しくなかったから・・・・。

でも私は自分の子供を殺してしまいました。
原因は不明ですが、妊娠中の不摂生などがたたった結果だと思っています。

でもまた今度は自分の子供から命の尊さを学びました。

人は自分が苦しんで悲しんで初めて人の心が理解できるものなんだと実感しました。

だから、これからは人の命の大切さや人の温かさを忘れずに、生きていこうと思っています。

そしていつか天国に行った時に、その方と自分の息子と笑顔で話せる自分でありたいと思っています。

そして世の中から、殺人事件や自殺、虐待、望まれない妊娠・・・・。
人と人の争いが無くなることを願っています。


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