最果ての世界

最果ての世界

人間天使の小話/エピローグ


僕は、天使に与えられた命が長いのに素直に驚いていた。
 そして、年を取った僕はまだあの天使が抱いた最初で最後の感情がなんな
のか。分からないでいた。
 でも、僕は絶対に忘れないだろう。あの天使の名前も、最後の笑顔も。

 きっと僕に二度目の天使がやって来るのはまだまだ先になりそうだ。も
し、来たら。その時に願うべきことはもう決まっている。
 あの時の天使にもう一度、会わせて欲しい。そして、今度は告げられなか
った僕の名前を教えよう。そうして、最後に見せてくれた笑顔を見せてもら
おう。


天使、天からの使い。最後の願いを叶えに来る死神のような存在。
 感情を持たず、恋を知らない。でも、出来ないんじゃないんだろう。
きっと、もとからそんな風に神様から作られているのかも知れない。

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