眠る男爵ふたたび

■眠る男ふたたび



2005-11-04 09:58:07


■眠る男爵ふたたび

書き終えた原稿を揃えている久生。その背後には、いつの間に櫂が立っている。
「それで貴方は満足なの?世界の中心たるあなたが、あんな小娘のために、その才能を惜し気もなくつかうだなんて…情けない。」
そんな櫂の悪態も無視し、立ち上がる久生。
「もうよしたまえ。K。君は櫂じゃあない。櫂のフリをしたKだ。
そして僕は、もう久生なんかではなく、彼女の前ではただの恋する男なんだ。」
部屋から出ていこうとする久生を阻む櫂。
「あなたは王なのよ。このあたしを含めて、世界を支配する為だけに生まれてきた、選ばれし者なのよ。」
「K…君は僕に何を求めているんだ?」
「-力よ…すべてをぺちゃんこにする象の力。」
「しかしその長い鼻をもってしても、僕の愛まででは嗅ぎ取れない。」
ヒステリックに笑い出す櫂。
「あなたの愛なんて、ちゃんちゃら可笑しいわ。」
「それは僕も認めよう。しかし僕は彼女に会った時から、彼女の存在する自分に気づいたのさ。それは本物の愛と言えよう。」


脚 本/「眠る男爵ふたたび」より抜粋 1993年執筆
モデル/shino 1999年撮影 





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