日本語の系統



 現在までの諸学者たちの研究成果では、日本語と他の諸言語との親族関係
は、琉球語とのそれを除いては、証明されていないといわなければならない。(琉球語が日本語と同系であることは証明ずみである。)
 しかし、日本語と同系である蓋然性の最も大きいのは、朝鮮語・アルタイ諸言語であるといってよいと思う。 
 日本語の系統を明らかにすることはきわめて困難であるが、それかといって、日本語は他の言語と親族関係を有しないのだと断定することは、もちろんできない。また、日本語は混淆語であるなどと断ずることも危険である。完全な意味での混淆語は用意に成立し得ないであろう。たとえ語彙の圧倒的大部分が外国語からの借用語であっても、音韻体系と形態が固有のものである限り、その言語は混淆語になったとみることはできない。音韻体系と形態が二つの言語の混淆であるというような言語は、おそらく有り得ないであろう。

 日本語の系統(2)

 (略)問題なのは、日本祖語の話された場所である。
 機内地方から琉球地方へ、そのような移住が起こったとするのは無理だから、日本祖語の位置を九州あたりにおくのが適当ではないかとの考えがまず浮かんでくる。
 (中略)
 日本祖語はだいたい弥生式文化の言語であったということができよう。

 言語学の巨人服部四郎は、その名著「日本語の系統」において、緻密な論理と実証により、日本語の系統に鋭く迫った。そこで、今日の日本語の起源が、弥生時代の北九州で話された言語ではないかという説を提示した。

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