認知・機能主義言語学の発展


 しかし、二十世紀半ば以降の生成文法の著しい理論的進展に対し、その反動として再び言語の実際の使用やその意味、言語外との要因とから積極的に言語の本質に迫ろうというパラダイムが新たな知的文脈において再び脚光を浴びてきた。

 特に、今日認知主義言語学と呼ばれる学派の起源を明確に示すことは難しいが、おおよそ、その萌芽を生成意味論に求める見解が一般的であると言って差し支えないと思われる。

 今日、認知言語学と呼ばれている学派の柱をなすジョージ・レイコフ、ロナルド・ラネカーらはもともと生成文法、特に生成意味論が専門であった。いわゆる「言語学戦争」に破れたかに見えた彼らだが1987年にそれぞれ"Women, Fire, Dangerous Things", "Foundations of Cognitive Grammar Vol.1"を著し、認知言語学が名実ともにスタートした。

 日本では、例えば「『する』と『なる』の言語学」の池上嘉彦などによって独自に進められていた研究がこれらと合流し、「認知言語学」を名乗っている。

 近年では、メンタル・スペース理論、構文文法理論などがこれらと軸を一にするものとしてゆるやかな連携をとっているとみなされている。





参考文献







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