Heikの狂暴温泉芸者

Heikの狂暴温泉芸者

最果ての淵




この世界の 最果ての淵で

やっと君に出逢えたよ マリア



足元に口を開く

暗い淵に おののきつつ

向こう岸へは

 飛び越えられそうになく

足がすくんで 苦笑した



仕方なく後ろを振り返った時

君はすっくりと ガーべラのように

毅然として 優しい微笑みをたたえて

ただ立っていた



心に炎の宿ったぼくは

決心を固めて

君に背を向けると

淵へと向かって 身を投げた



飛び降りているのか

  飛び上がっているのか

なんだか無重力みたいで

  判らなくなる

なにせ この漆黒の暗闇



そのぼくの頭は からっぽで

意識に残るのは 君の姿だけ



この世界の 最果ての淵で

君と出会えた幸せと共に

ぼくは 暗闇の底へ向かって

限りなくゼロに漸近する








二OO三年八月二十三日

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