9


20分ぐらいが過ぎ、充が「明美、大した物は
作れないけど、食べてくれ」と何品かテーブルに
持ってくる。
「これ……充が作ったの?」
「そうだよ…味の保証はできないけど」
「……」
「どうしたの?」
「うん……まさか料理なんかできないと
思っていたから」
「そう…ほら、一人暮らしをしているからさ
自然に作るようになっちゃったんだよ
それより、お腹が空いているんだろっ」
「うん……いただきます」と箸を持ち一口食べる。
「どう?」
「………」
「まずい…俺自身は問題ないけど、女性に食べさせたのは
初めてだからさ」
「えっ……初めてなの?」
「ああ……男には食べさせたことはあるよ
時々、ここで医局で仲がいい奴とここで飲んだり
することあるからさ」
「そう…なんだ……」
「それで……」
「それで?」
「だから味見してどう……」と言うと急に下を向き
「やっぱりまずかった…だったら口に入ったもの
出してきていいよ」
「ううん……すご~くおいしい」
「じゃあ、なんで今の動作は?」
「うんっ、ちょっといじめただけ」
「えっ」
「私を待たせたぶん、ちょっといじめたくなったの」
「それを言われると……」

私は充が作った料理を食べ、その日初めて……

「ねぇ……」
「ん……」
「何か…一緒にいると落ち着くね」
「ああ…明美と付き合ってよかったと思うよ」
「ほ、ほんとっ」
「ああ…」
「ねぇ…」
「ん…」
「彩とはちゃんと別れて」
「えっ」
「彩…納得いってないのよ」
「何が…」
「ちゃんと別れていないのにもかかわらず
私とつきあったというのが…」
「……明美、俺はどうすればいいんだ」
「一回だけ会っていいから、ちゃんと別れて
そしてその日、私と会って」
「……明美、もし俺が彩の所に戻ったらどうするんだ」
「えっ」
「例えばの話だよ」
「……例えばの話でも嫌だけど、もし戻ったら
死ぬわ」
「………」
「……私は彩の所には戻らないと信じている
絶対に私の所にくると信じているから」
「明美…そこまで俺の事を……」と二人は……。


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