HINA HOUSE

HINA HOUSE

20代 2話



残暑厳しい8月の夕方だったよ。
四谷に通勤してた帰り道の事です。自宅の駅を降りて京浜東北線・高崎線・東北線などが通る線路の上の陸橋を渡って降りたところに家が有ったんですよ。

線路ずたいに(線路は眼下)歩いて陸橋に差し掛かった辺りでたくさんの人が往来する中を暑苦しい姿をしたオバサンとすれ違ったの
(なぁーに?こんなに厳しい暑さの明るい夕方に真冬の生地の長袖着てるっ!)

いくらすぐそこに秋が来るったってクソ暑いじゃん!
私はヘンなオバサンの服装がちょっと気になってた☆でも暑くて人の事なんてどうでもいいやっ!とそのまま歩いてた。

陸橋の中ごろまで来たところで、
「・・・?!」
そのオバサンとまたすれ違った!
「え?・・・」思わず振り向いちゃったよ
当然さっきのオバサンは人ごみと一緒に駅方向に歩くしかない道なんだけど。

歩きながらそう思ってて陸橋の終りごろ
「えぇぇ・・・・?!」
また同じオバサンがすれ違ったよ(大発汗)

だって考えられないよっ!!狭い陸橋を同じオバサンと3回すれ違うんなら
オバサンだってダッシュで私の横を通り過ぎて向かい側からすれ違うか3つ子じゃない限りねっ!

★結婚真近・冬

私はそのころ木曾の或る宿場街がお気に入りで何度も行ってたんです。
泊まる所も決めていて、そこのオジサンやオバサンとも顔馴染みになってたくらい♪

この時は例の四谷に有った会社のメンバーと2泊3日の旅でした。

大好きな宿場で馴染みの民宿、楽しく無い訳がないよね♪
ところが私は今回体調が悪くてイマイチ・・・
皆がお風呂に入ってくる~と言って部屋を出てしまい私は一人でお留守番。
小さな民宿だから(ちょっと大きめな個人のお家だよね?)
でも有形文化財だから超古い。
なかなか風情の有るお家ですよ!大好きだったわよ☆

何度も同じ部屋に泊めて頂いてたから一人でも古くても全然怖くなんかないし。
オジサンが
「ご飯が出来ましたよ~」って下から呼んでくれて
「はぁ~ぃ!」と返事をしてさ、いつもと違う方の襖を開けて階下を覗いてみたら

階段の途中でお婆さんが座ってうずくまってたんでビックリ!!
「あ、大丈夫ですか?」
「・・・・・」←全く動かないし返事もくれない。ちょっと怖い
(あぁ、こっちは家庭用の階段なのかな?!)
余計なことをしちゃいけないねー(冷や汗)

で、いつものお客様用の階段を使って食卓へルンルン♪
美味しいんだよオバサンのお料理!
早くみんなお風呂あがってよぉ~

食事が始まり、楽しくオジサンと話してたのね、
常連さん気分の私はオジサンの自慢の娘さんの話は聞いたこと有ったけど
お婆ちゃんが居るって知らなかったから、さっきの事を思い出して

「オジサンちってお婆ちゃんもいたのね~?!知らなかったぁ。さっき階段でうずくまってたけど?!大丈夫なんですか?」
(本当はボケてるんじゃないかなぁ・・・と思ってた。でも言えなかったよ)

「いやぁー居ないよ!娘は離れて一人暮らしだし、かぁちゃんと仲良く二人暮らしだよぉ~」って明るく答えた・・・汗

だってぇ・・・さっきお婆さんが階段に居たんだモン!!お客さん私達だけだったしぃ・・・じゃぁ誰?怖ぁ~い

旅行から帰って来た私は高熱を出し、胸の奥深くから地鳴りがしそうな咳が1ヶ月以上も続いていました

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