健康維持と肉体改造トレーニング 

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体脂肪の必要性


脂肪が重要であることは、ヒトの体ができ上がった太古の昔を考えてみるとよく分かります。その頃は、農業もまだなく、武器もなかったので、木の実を拾って食べたり、身の回りの捕らえやすい生き物を食べていた時代です。
・ヒトは、栄養分を体の中に貯蔵するために、食べ物として摂り入れた炭水化物をブドウ糖に分解し、それを「グリコーゲン」という形にして肝臓や筋肉に蓄え、必要に応じてそれを使っていました。ところが、そこに蓄えておけるのは、せいぜい半日分か一日分のエネルギーでしかありません。
いつ食べ物がとれなくなって飢餓状態に陥るかもしれない時代です。いざというときに備えて、とり入れた栄養分をグリコーゲン以外の形で、もっと効率よく蓄える方法はないものか、ということでできたものが「体脂肪」です。
・脂肪なら最大約15万Kcalものエネルギーを蓄えることができます。これだけあれば、しばらくの間は食べ物が手に入らなくても生きていくことができます。「脂肪」は、生きるのに欠かせないエネルギーの貯蔵庫なのです。
体脂肪はまた、暑さや寒さから体を守ってもくれます。外の温度を遮断して大切な臓器の温度を一定に保つ断熱材の役割をするのです。体脂肪が少なすぎると、体温を平熱に保つことができなくなります。
・その他、体脂肪の大切な役割にホルモンの分泌があります。食欲を調節する「レプチン」というホルモンや、「インスリン」の作用を調整するホルモンを分泌します。
体脂肪は単にエネルギーの貯蔵庫というだけでなく、栄養摂取量の調節や代謝の調節をする重要な場所でもあるのです。
・近年、スタイルばかりを気にして、やせることを美徳のように勘違いしている女性が多いとよく言われています。
最近の「国民栄養調査」によると、「20歳代の若い女性の約半数は、病的にやせている」ということです。これは、きちんとした食事をしていないことが原因と言われています。
・食べ物として摂取するエネルギーが足りないと、体に貯蔵してあるエネルギーを使います。まず、グリコーゲンを使い、その次に脂肪を使います。それでも足りないと、今度は、たんぱく質を使いはじめます。たんぱく質というのは筋肉や色々な臓器の構成成分です。やせすぎで体脂肪が少なすぎると、大切な筋肉や臓器を減らしてまでも生きようとするのです。
・特に、次の世代を作り出し、育てていくという女性の役目を考えても、「脂肪」は非常に大切です。おなかやお尻の脂肪は、妊娠したときには、おなかの中の赤ちゃんを守るクッションになります。色々な衝撃から赤ちゃんを防御する大事な弾力材です。また、自ら適量の体脂肪を身につけて「どのくらい食べるのが適切か」ということをしっかり認識していないと、バランスのいい食事のとり方を子供に伝えていくこともできません。
・現在の日本では、飢餓の状態になることは、まず考えられません。むしろ食べ物があふれていて、ちょっと油断すると食べ過ぎてしまいます。余分に食べれば脂肪として体に蓄えられます。
多すぎる体脂肪は、色々な病気の原因になりますので、体脂肪は「多すぎず、少なすぎず」が健康を保つうえで肝心なのです。
・体脂肪の多い少ないは、体重が目安になります。自分にとって多すぎず少なすぎない、「適度の体脂肪量」を目指すには、標準体重を目標にすればいいでしょう。

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