漠然とした不安と根拠のない自信、抱えきれない誇大な夢とその刹那に崩れ落ちてしまいそうな脆い現実。尊大でありながらナイーブ、挑発的に振舞った次の瞬間には膝を抱えて蹲っていそうな危うさ。なんとも不可解でいながらも、ああ、確かに私たちもそんな仄暗いところを通って来たのだ、と思わせる、そんな、「若さゆえ」のアンビヴァレントな感性が、奔放な 2 本のギターと、タイトなリズム隊とによって表現されています。とりわけ、オープニングの "Show Of Strength" から、"With A Hip"、"Over The Wall" へと至る部分の緊張感に満ちた構成は素晴らしく、本作における最初のクライマックスを成しています。また、焦燥感をぶちまけるようなヴォーカルが印象的な、騒々しいタイトル・トラック "Heaven Up Here" から、一転して陰鬱な "The Disease" へ、更にある種の神秘性すら感じさせる "All My Colours" と続く流れも白眉です。80 年代初頭の英国音楽が産み落とした傑作のひとつでしょう。
しかし、デビューから僅か 2 枚目のアルバムでここまでの高みへと登り詰めてしまったことは、ある意味奇跡でもあり、同時に彼らにとって不幸なことであったのかもしれません。安易に言うべきことではないのでしょうが、Bunnymen のシンガーと奇しくも同じ Ian と言うファースト・ネームも持つ青年の自死により、瞬く間に「伝説」になってしまった Joy Division とついつい比べてしまうのです、(次作以降も良作をリリースし続けるのですが)以降の兎男たちの苦闘の歴史を考えると。
【Track Listings】 01. Show Of Strength 02. With A Hip 03. Over The Wall 04. It Was A Preasure 05. A Promise
07. The Disease 08. All My Colours 09. No Dark Things 10. Turquoise Days 11. All I Want
- Bonus Tracks - 12. Borke My Neck (Long Version) 13. Show Of The Strength (Live) 14. The Disease (Live) 15. All I Want (Live) 16. Zimbo (Live)