とりちらかって二束三文、なにかと低く見られがちだが、雑貨、雑炊(ぞうすい)、身辺雑記、あれやこれや、身の丈の親しみを醸(かも)しだす。
きのうの節分は「雑節(ざっせつ)」と呼ばれる。季節の目安になる 二十四節気 以外の日を、そう称するそうだ
▼「雑」と聞けば軽そうだが、土用や彼岸、八十八夜、二百十日など顔ぶれはなかなかだ。すまし顔の 二十四節気 にくらべて、おもちゃ箱を開けた感じがある。太巻きにかぶりつく風習が全国区になった節分は、子どもたちには楽しさ倍増しだろう
▼そんなきのう、「雑」つながりでもないけれど、東京の西郊外、武蔵野の 雑木林 を歩いてみた。木々は葉を落として明るさを広げ、空に枝を投げていた。どの木も丸裸ながら、しっかり冬芽をつけている
▼木々が秋に葉を落とす営みを、「徒然草」の 兼好法師 はこう観察した。葉が落ちてから新しい葉が芽ぐむのではない。新たに兆(きざ)してくる生命力によって秋の葉は落ちるのだ、と。遠い春を内に抱いて年を越えた雑木たちである
▼そしてきょうは立春。これからの冷え込みは字づらも遠慮がちに「余寒」となる。といっても2月は、暦は春ながら冬がきわまるとき。北国はとりわけ気を許せない
▼近年は雪が原因の死者が増えていて、多くが除雪中、その大半がお年寄りという。過疎に 豪雪 が重なって暮らしを脅かす図である。寒波襲来で天気予報にはしばらく雪マークが続く。 冬将軍 にも鬼の面をかぶらせたかった。
朝日新聞:天声人語より
コメント:久しぶりに朝、日新聞からの引用を紹介します。
一旦書かなくなると、書きにくくなります。 診療の多忙に任せて、季節の移り変わりにも疎くなりがちでした。そんな時にこのようjな天声人語は、世の中の変遷に目を向けさせてくれます。
このブログを訪れて下さる読者の皆様にもご紹介したいと思いました。
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