有酸素運動は多くの側面で本疾患を改善する。
有酸素運動は罹患率・死亡率の改善と関連づけられている。
本論文の著者 Uc らは今回、パーキンソン病( PD )患者 60 例(平均年齢 65 歳;男性 68 %)において 2 種類の 6 ヵ月間有酸素運動プログラムの有用性の検討を試みた。
運動プログラムは週 3 回のウォーキングで構成され、運動セッションの時間は開始後 6 週間に 15 分間から 45 分間へと増加された。
本試験のもともとの目的はインターバルトレーニング法と持続的トレーニング法の比較であったが、データからインターバルトレーニング法に安全性の問題が見つかったため、インターバルトレーニング群は中止され、その後の参加者はすべて持続的トレーニングに割り付けられた(目標値:最大心拍数の 70 ~ 80 %)。
試験開始時および介入後の結果に群間差がなかったため、データは統合された。 49 例( 82 %)の患者がプログラムを終了した。プログラム開始後 6 ヵ月目の評価において、試験開始時に比べ、心肺機能( aerobic fitness )、運動機能(筋硬直、歩行)、フランカー課題における認知機能(抑制の試験)、そして生活の質( QOL )が有意に改善した。
コメント
本試験は盲検化されておらず、無作為化も中止されたが、患者の治療に利用しうる実践的な知見を示している。
運動に関してわかりやすいパラダイムを与えるとともに、有用性を明らかにしている。
PD 患者(そしておそらくわれわれが診ている他の患者)に対して、運動は治療の重要な要素であると伝えてもよいであろう。
— Jonathan Silver, MD
引用文献:
Uc EY et al. Phase I/II randomized trial of aerobic exercise in Parkinson disease in a community setting.
Neurology 2014 Jul 29; 83:413.
コメント:
パーキンソン病は、神経難病の中では最も治療薬が開発されていますが、根本的な治療はありません。
期待されている i-PS 細胞移植術による治療法もまだ何年かかるか不明です。またこの疾患の全ての患者さんが、享受できる治療法かは難しい問題かと思われます。実際、患者さんの重症度や、年齢など厳格な規制があるようです。
運動療法は、パーキンソン病だけでなく、神経難病のほとんどに勧められます。
自発的に運動することは、脳神経筋肉の全てを活性化するでしょう。
ブログの更新は、診療の合間に時間がある時だけにしているので、更新しないのは多忙であることを理解して下さい。
遅れましたが、今年も宜しくお願いします。
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