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頭の上に猿がいる。話しかければクーと鳴き、からかえば一人前に怒りもする。お前はいったい何者だ―。近所の仲間と茶飲み話をするだけの平凡な老後をおくっていた作次。だが、突然あらわれた猿との奇妙な「共同生活」がはじまる。きっかけは、同居する嫁にほのかな恋情を抱いたことだった…。老いのやるせなさ、そして生の哀しみと可笑しさを描く、第11回小説すばる新人賞受賞作品。

<感想> ★★★★☆

池永陽さんの作品を読むのは三作目になります。

『コンビニ・ララバイ』では物語の面白さを堪能しましたが、本書は更に小説としての巧さが兼ね備わっています。 著者のデビュー作にあたるようですが、デビュー作にしては巧すぎます。 池永陽さんの才能を見せつけられたような気がします。
さて、主人公は長年、鋳物職人と過ごしてきた69歳のジイサン作次。 長男夫婦と暮らす彼の日常を軸に物語が展開していきます。 個人的に69歳といえば、そこそこ枯れてはいるものの長年の人生経験にモノを言わせて多少のことでは動じない・・・というイメージですが、主人公の作次は同居する嫁さんや周囲の人々言動、そして老いへの恐怖に翻弄されています。 




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