『安保徹のやさしい解体新書』(安保徹 2014 年)
(抜粋) P.240 ~ 241
その他 血液の病気から外科疾患まで
交感神経緊張 血流障害
骨髄異形成症候群
骨髄異形成症候群は造血幹細胞に異常が起こり、細胞の分化、成熟、増殖が正常に行われないで、どの血球成分も減少してしまう病気です。
60歳以上のお年寄りに多く、患者さんの中には白血病にまで進行する人もいます。
症状には倦怠感、貧血、紫斑の出血や発熱があります。
血球をつくる大元の細胞である造血幹細胞は骨の中にある骨髄液に含まれています。骨髄の中で細胞分裂を繰り返し、成長してそれぞれ特徴ある細胞に分化し、赤血球、白血球、血小板と増殖していきます。
骨髄の働きに影響を与えるのは自律神経です。忙しい生き方をしている活動量の多い人は、交感神経優位となって骨髄も活発に働き、血球はたくさんつくられます。反対に穏やかな生万方をしている活動量が少ない人は多くつくられません。
ストレスがあると交感神経は緊張し、骨髄の活動は活発になりますが、血流が悪くなると造血幹細胞は正常につくられなくな り病気が発症します。顕微鏡で髄液を見る と、血液細胞の中には前駆状態の細胞が死んでいます。ストレスをなくした、ゆったりとした養生生活が求められます。
白血病
体の中でいちばん新陳代謝が速いのが白血球です。次が腸管、そして肝臓です。
交感神経緊張状態は、新陳代謝の回転を速くさせます。 心身を酷使すると、血液をもっと速く代謝させようとする流れに入っていきます。血液細胞の新陳代謝を極限まで速くさせて、発がんしたのが白血病です。
白血病は、俳優や歌手の人に多い病気です。みんな立ち仕事で強いスポットライトを浴びる職業です。長時間立ったままの姿勢は骨髄に重力の負荷がかかります。舞台での強烈な照明は目に刺激を与え、激しいストレスになり交感神経を緊張させます。
体の新陳代謝も激しいのですが、体を守ろうとするための白血球の新陳代謝も速くなり、猛烈に刺激してしまいます。そして発がんします。
これは、悪性リンパ腫にも多発性硬化症にも起こる同じ体の反応です 。(以下略)
『免疫革命』 (安保徹 2003 年)
(抜粋引用)
なぜ抗ガン剤はガンを治さないのか
それでも、「抗ガン剤を使うとガンが小さくなるのだからいいことじやないか」と思う人もいるかもしれません。確かに、抗ガン剤を使うとガンは小さくなります。でも、抗ガン剤を使うとどうしてガンが小さくなっているのか。そのメカニズムを考えてみてください。
抗ガン剤を服用すると、組織の分裂が抑えられますから、ガンが大きくならなくなります。強い薬になればなるほど、分裂を抑えます。同時に、細胞組織というのは、刻々と年老いて死んでいきます。すると、増える活動は抑えたままどんどん減っているわけですから、当然ガン組織全体としては小さくなっていきます。 つまり、抗ガン剤は、ガン細胞だけを悪いものとして攻撃しているわけではないのです。新陳代謝という生体の自然な活動すべてを抑えこんで、その結果としてガンの活動も抑えているのです。だから、体力がどんどんなくなっていきます。そして、治癒力もすっかりたたきのめされてしまいます。
では、ガンの部分に直接抗ガン剤を入れて、ガン組織の分裂だけを止めて治すことはできないのでしょうか? そういう抗ガン剤もたしかにあります。 たとえばガン組織を狙って動脈注入する方法では、たしかに、ガンの縮小は強く起こりますし、リンパ球の減少も少なくてすみます。 それでも、最終的に、あまりいい結果はでません。なぜでしょうか? それは、結局のところ、その患者さんが、発ガンを招いた生き方を脱却していないからです。根本的な生き方が改善されていないので、また別のところに発ガンしてしまうことがたいへん多いのです。 手術も同じで、ガン組織をとりのぞいたり小さくしたりしただけで安心していては、何の解決にもならないのです。逆に、手術や抗ガン剤の直接注入でガンを小さくして、ひきつづき、ガンになる原因をとりのぞくような免疫活性の治療法、生活を実践していくことができれば、つらい手術や抗ガン剤治療を受けた甲斐もでてくると思います。じっさい手術を受けた後、免疫療法や健康食品を積極的にとりいれて、ガンから脱却している人はたくさんいます。
このように考えてみますと、やはり、よほどはっきりとした見通しが立たない限り、なるべく抗ガン剤は使わないほうがいいと思います。
たしかに、抗ガン剤が効くガンもあります。たとえば、白血病などは、その一例でしょう。はっきりと治癒の見通しが得られるガンであれば、使ってよい場合があると思います。 また、ツールードーフランスで二度優勝したアームストロング選手は、手術とかなり激しい抗ガン剤治療で、ガンを克服しましたが、彼の場合は、常人をはるかに上回る体力と若さがあったからこそ、効果を上げることができたのだと思います。 たしかに、若い人ほど、抗ガン剤治療が効果を上げる傾向があるようです。
とはいえ、現在の段階では、ただガンが大きくなったとか、転移したとか、あるいはガンのマーカーが上昇したからといって、 根本的に治る見通しもないのに安易に抗ガン剤を使う傾向が強くあります。 すると、ふつうの体力の患者さんの場合は、身体はすっかりやつれてしまいます。結果として、免疫も一気に抑制してしまうので、ガンを根本から治す機会を失ってしまいます。抗ガン剤については、そこのところを見誤らないでほしいと思います。(略)
p118
熱や痛みのあとでガンの自然退縮が起こる
四ヵ条を実践すると、ガンの増殖が止まります。そして、リンパ球がある程度増えると、ガン組織の自然退縮がはじまります。この治癒の現象が、日常茶飯事のごとく起こるのを私たちの仲間の臨床医たちは目のあたりにしてきました。同時に、副交感神経を優位にする治療の過程で、三分の二ぐらいの患者さんが、熱がでてだるい、あるいは節々がすごく痛むというような、ちょうど自己免疫疾患と同じような症状を体験します。そうした症状を体験した、そのあとにガンの自然退縮が起こってきます。では、こうした不快な症状は、どうして起こるのでしょうか。 ガン細胞を攻撃するのは、おもにNK細胞、胸腺外分化T細胞、傷害性T細胞と自己抗体産生のB細胞の四種類です。これらの白血球の細胞がガンをたたくときには、必ず炎症反応が起こって、発熱、痛み、不快を伴います。あるいは下痢をすることもあります。肺ガンなら咳がでてきたりします。大腸ガンだと血便がでたりしますし、膀胱ガンだと血尿がでたりします。それが、治癒に向かっている反応なのです。
もう少しくわしくメカニズムを説明します。 副交感神経というのはリラックスの神経ですが、急激に活性化されると、プロスタグランジン、アセチルコリン、ヒスタミン、セロトニン、ロイコトリエンなどの物質をだします。これらはどれも、発熱や痛みをだす物質なので、不快な症状が現れます。 ところが、ふつうの患者さんも、 免疫のことをきちんとわかっていない医師たちも、こういう症状が治癒の過程で自然に起こるということがわかっていないものですから 、つい、症状を止めたくなるのです。そのため、 鎮痛剤、消炎剤、解熱剤、とくに、ステロイド剤を患者に服用させてしまいます 。 もらろん、痛みとか発熱が止まりますから、そのときは元気がでてきます。しかし、これは、治癒反応を止めているわけで、ガンを根本から治していくという意味では、まったく逆効果なことをやっているのです。
じっさいには、ガンの自然退縮につながる治癒反応がはじまると一週間ぐらいは寝込むようなつらい症状が続きます。その後、リンパ球が増えてガンが退縮しはじめます。
だから、ガンの患者さんで、免疫活性療法で治していくというつもりの人は、この反応をぜひ覚えておいてほしいと思います。 この反応がわからないと、症状の変化に不安になるし、事情を理解していない医師に相談してしまえば、薬をだされて、治癒症状を止められてしまいますから、注意が必要です。
じつは、この治癒反応は昔から、傍腫瘍症候群(パラネオプラスティック・シンドローム)という名前で、ガン患者の治癒過程で必ず起こる反応として知られていました。 ところが、忘れ去られてしまったのです。 戦後、抗ガン剤を使うようになって以来、 この反応がでなくなってしまったから です。 免疫が活性化して攻撃する反応ですから、抗ガン剤を使って免疫を抑制する治療が行われると、当然この反応が起こらなくなります。