オランダ・ベルギー(18)



ビネンホフを出ると、隣接した感じで待望のマウリッツハウス美術館
がある。

マウリッツハウス美術館

 正式名称はMauritshuis(マウリッツ邸)で「美術館」という文言は
 入らないが、日本では通常、「マウリッツハウス美術館」と表記さ
 れている。

 マウリッツハウスの建物は、17世紀半ば、ヤーコプ・ファン・カン
 ペンの設計で建てられたもので、オランダ古典様式建築の代表作と
 される。館名はここに住んだナッサウ‐ジーゲン伯ヨーハン・マウ
 リッツ(1604年‐1679年)にちなむ。マウリッツは代々オランダ総
 督を務めたオラニエ=ナッサウ家の血縁で、当時植民地であったブ
 ラジルの総督を務めた人物である。1704年の火災で内装を焼失した
 が、外観はほぼ建設当時の面影を残しているといわれる。

美術館内は残念ながら撮影禁止である。 幸いにして、正面に大きな
垂れ幕があり、「青いターバンの少女(真珠の耳飾りの少女)」がほ
ほえんでいる。 彼女が描かれたフェルメールの繪画を見ることが、
今回のツアーのメイン・テーマなので、いささかエキサイトしてくる。

「青いターバンの少女」(1665)・フェルメール

 世の中には、言葉ではとうてい表現することのできないものが存在
 するのだということを、改めて認識させられてしまう、そんな作品
 である。

 この年にもなって「一目惚れ」もないが、心ここにあらず、完全に
 気持ちを奪われてしまった。

45x39cmの小さな繪であるが、本物を目の前にすると、画家
 の思い入れがとても強く伝わってくる。魂が籠められていることが、
 ひしひしと伝わってくる。

 小さな展示室にこの絵(彼女)と私だけになれた時間があった。僅か
 数分であったが、まさしく至福の時で、絵の中の彼女と向かい合い、
 しばし目をそらさずに観ていると、彼女の口元から言葉が聞こえたよ
 うに思え、ぎくっとした。

この繪の反対側に「デルフトの眺望」は掲げられていた。縦96.5cm
×横115.7cmで、フェルメール作品中4番目の大きさである。と言
ってもルーベンスやレンブラントらの大作には比ぶべくもないが、それ
でも思ったよりもずっと大きく感じた。 モチーフは、大空が広がるの
びのびとした市街風景で、デルフトはフェルメールの故郷である。

もう一作、「ディアナとニンフたち」があるが、この繪は真贋に疑問が
残るとされている。

他の作品はほどほどにして館外へ出る。 ホフフェイファ池越しに見る
マウリッツハウス美術館とビネンホフの建物の風景は、何とも素晴らし
い。

 -つづく-

※画像は下記をクリックして下さい。

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