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2008.11.03
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「夜は嫌いだ」と、僕は思った。

どうして誰もが幸せそうに見えてしまうのだろう。彼らは不服、不満を少しとして抱いていないのだ。変えようともしなければ、変わるべき問題すら見えていない。

「あなたには感謝の気持ちがないのよ、だから不満が先行してしまう」と言った。しかし僕にはそれも分からない。あるいは僕は異常者なのかもしれない、と、夜になるとそんなふうに考える。階下の振り子時計の音が連続して響く夜に、僕は頭を抱えながら悩みこむのだ。僕が間違っているのか、みんなが正しいのか、と。

ふと、耳を澄ますと、窓の外からじゃらじゃらと金属の音が聞こえる。僕は一瞬考える。なんだろう、と。カーテンを開けると、外には異様な風景が広がっている。

空から何万、何億もの鎖が垂れ下がり、道路や、家屋や、通行人に巻きついているのだ。ぼうっと不気味に明るい空に、僕は絶望を感じる。絶望とはなんなのだろうか?いずれにしても、それは異様ではあるが僕の気持ちを激しく揺さぶったりはしない。意識は夜の静けさで格段と落ち着いていて、なんだって起こりうるという可能性を受け入れている。

気付くと鎖は僕の体をも束縛している。それはとても冷たい。僕は内臓が浄化されるような気持ちになる。魂が大腸で暴れ、心臓が肺を中から叩く。

僕におけるあらゆるものが縛られているのだ。それが自分の存在意義を確認することの難しさの原因かもしれない。僕はどうして、といった類の疑問はこの鎖によって無効化されるのだ。

人間は半分死んでいる。確かにそうなのだ。半分は残っていて、もう半分は鎖の向こうにあるのだ。あるいは自分を縛っているのはもう半分の自分かもしれない。そういったケースもあるかもしれない。

月が無くなる。僕はため息をつく。それで終わればいいのだ。しかし僕の体中にはまだ、きつく縛られている感覚がまとわりついている。僕はそれを脱ごうとする。







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Last updated  2008.11.03 11:31:38
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