宗右衛門町ブルース(1)浪花タクシー



行く先を言うと同時にドライバーが、
「お客さん、今日はコムロの話題ばっかりですわ、栄枯盛衰は世の習い。辛いでんな」と。

「いや、才能があるヤツは必ず帰ってきよる、エエ勉強になったんちゃう?命取られるわけでもないし5億くらいなんでもないやろ?」と私。


「・・・私は、30年も会社経営をしてまして、ソレをたたんで今はタクシーの運転手。情けない自分にケジメをつけるために、もう1回やり直したい。還暦も過ぎたけどやりますわ!」と言い始めた。


居酒屋で古い友人と交わすような自然な会話。


自宅前に着くと、
「ミナミは何時もアノ場所で客待ちしていいます。宜しかったら声をかけてください。名前は○○といいます。有難う御座いました」と言われた。


急に酔いが回った、気がした。




こんな夜は、ミナミに戻って「浪花恋しぐれ」やね。

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