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2006.11.01
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カテゴリ: 邦画
DEATH NOTE(1)

 人気コミック(原作者大場つぐみ、画小畑健)の実写版。
 前後編の前編。


粗筋

「このノートに名前を書かれた人間は死ぬ」と記されたノートを拾った夜神月(藤原竜也)は、興味本位でテレビで観たある凶悪犯の名前をノートに書き込んでしまう。その凶悪犯はノートの予告通り死んでしまった。
 月の前に死神リュークが現れ、ノート(デスノート)はお前のものだ、お前が自由に使え、と言い切る。最初は恐怖を覚えた月だったが、凶悪犯たちの名前を次々とノートに書き始めるようになる。
 世界中であまりにも大勢の凶悪犯が死んでいくので、マスコミの何らかの関連性があるのでは、と報道。警察も動き始めた。
 一方、市民は凶悪犯を処罰するこの「謎の救世主」を「キラ」と呼んで、崇めるように。
 月は、自分は犯人と接触している訳ではないので、警察の手が自分に及ぶことはない、と高をくくっていたが、「エル」を名乗る謎の名探偵が捜査に加わったことで、思惑が狂い始める。
「エル」は、「キラ」の行動パターンから、「キラ」は日本の関東地域にいて、大学生らしい、ということを早くも掴む。警察の行動パターンを読んでいるらしいので、警察関係者か、その家族、と推理した。
 そんな訳で、月(警察幹部の息子だった)にも警察や米FBIの捜査の手が伸びるように。デスノートはどこの誰でも殺せるが、対象者の本名とその顔が分からないと殺せない。
 しかし、月はあるFBI捜査官(細川茂樹)と接触し、そのFBI捜査官と、顔も名前も分からない他のFBI捜査官らを始末。これで警察は捜査の手を緩めるだろう、と月は予測した。が、この行動により「エル」は月こそ「キラ」だと確信し、彼に焦点を当てる。
 そんなところ、月が始末したFBI捜査官の婚約者(瀬戸朝香)が、月と接触。「あなたが『キラ』ね」と断言。その婚約者は、月の恋人を人質にして、「『キラ』であることを白状しろ」と迫った。
 月は自分は「キラ」ではないと断言するが、婚約者は信じない。ふとしたことで月の恋人を射殺。それに驚いて錯乱状態になり、婚約者は自殺した。
 この件により、月に対する容疑は晴れる。月は「キラ」に復讐を誓い、「キラ」を捕まえる為の捜査チームに加わることになった。
 ただ、婚約者の凶行と、恋人の死は、全て月が自分の容疑を晴らす為に仕組んだことだった。婚約者は月に自分の本名を告げていなかったので、デスノートの餌食にはならないと考えていたが、迂闊にも「FBI捜査官の婚約者だった」という事実を告げてしまっていた。月はFBI捜査官の本名は知っていたので、そこから婚約者の本名を割り出した。その本名を使って、婚約者が恋人を人質にして最終的には恋人を射殺するまでの経緯をデスノートに書いていたのである。
 月は、正義の為、と言い訳しながら、自分を慕っていた恋人を犠牲にしたのだった
 一方、別のところで、あるアイドルが別の死神のデスノートを拾った……。
 ……後編に続く。


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感想

「所詮コミックの実写版だからな」と馬鹿にしていた部分もあったが、意外と悪くなかった。最高とは言い難いが。
 テレビで、無料で観られたからそう感じたのかも知れない。これが有料だったとすると評価はもっと厳しくなっていたかも。

 本作は2時間程度。その時間内に決着を付けなければならない為か、ストーリーもキャラもせっかちだな、と感じた。
 いくら「この世には適切に罰せられない凶悪犯が多過ぎる」と言っても、ほんの数ヶ月で凶悪犯を何十人も殺す、というのはやり過ぎ。お陰で「キラ」が日本の関東地域にいる、ということが比較的短時間で判明してしまう。
 しかも死刑囚など、きちんと収監されている者まで殺すもんだから、警察が躍起になるのも当然。捕まった犯人は対象外にしていれば、「キラ」も忙しくならなくて済んだのに、と思ってしまう。
 また、デスノートは対象者の死に方をかなり細かく設定できる。それだったら凶悪犯を心臓麻痺でなく、もっと色々なパターンで始末していれば、警察も疑わなかっただろうに(正直、作中のように人間の行動を死のかなり以前から操作できるようだったら、逆に「死の日記」でなくドラえもんの「あらかじめ日記」みたいにすることもできそう)。

 月(ライトと読む。何てアホな名前だ)は、天才ということになっているが、行動パターンが非常に幼稚(これは作中でも指摘されている)。
 最初は凶悪犯だけを始末していたのに、FBIの捜査が自分に及んでいると知ると、何とFBI捜査官らを根こそぎ始末してしまう。
 これでは結局凶悪犯らと変わらない。
 また、月は恋人を犠牲にして警察の捜査を自分から背けさせようとするが、「エル」の容疑の目からは結局逃れていない。恋人を無駄に死なせたことになる。
 死神リュークが「FBIを殺すのか?」と月に訊く場面があったが、少なくともその場面ではどちらが死神なのか分からない。最後辺りで、月が恋人を犠牲にしたことを知った死神リュークが「お前は死神以上に死神らしい」と褒めた(?)のも当然といえる。

 結局デスノートを持つと誰もが暴走する、てことか。
 それにしても、死神がデスノートを落としたのは今回が初めてではなかろうに、なぜ作中ではここまで事件になったのかね。それとも、死神リュークは死神界(?)で初めてデスノートを落としたのか?

 死神リュークは全てCG。
 CGでなければあり得ない造形なので、当然だが……。
 CGはパソコンゲームより幾分マシ、という程度なのが残念。

 本作の最大の欠点は、登場人物に共感出来る者がいないこと。
 月は、最初はそれなりに共感できるが、捜査網が自分に狭まっていると知るやいなや本来の目的である凶悪犯以外の者をガンガン殺すようになり、しまいには恋人まであっさりと殺す。共感度がガンガン下がっていった。
「エル」も、「捜査という名のゲーム(カビが生えたような思考)」の為には他人を何の躊躇いなく死なせる。容貌や言動からして共感が持てなかった。
 結局はどうでもいいキャラ同士が死闘を勝手に繰り広げているだけで、イマイチ乗り込めないのだ。

 原作は、読もうとしたことはあるが、挫折している。
 最近の流行なのか分からないが、白黒がどきついタッチで、見ていると目が疲れてしまう。第一巻をザッと斜め読みしただけで終わっている。

 本作公開から数ヵ月後、原作漫画の作画を担当した漫画家小畑健が銃刀法違反で逮捕されている(といっても、ちょっと大き目のナイフを所持していただけだったらしいが)。
 一時は後編公開が危ぶまれたが、無事公開された。


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Last updated  2006.11.01 22:15:10
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