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2006.11.21
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カテゴリ: 洋画

 ジョン・トラボルタ久々のヒット作。「パルプフィクション」や「フェイスオフ」で復活したと思ったら「 バトルフィールド・アース 」のような駄作でまた転落するなど、この役者は上がり下がりがとにかく激しい。
 謎の美女ジンジャー役はハル・ベリー、ハッカーのスタンリー役はヒュー・ジャックマン。いずれも X-MEN に出演している。なぜ X-MEN のキャストが二人も本作品に出演したかは不明。
 監督はドミニク・セナ。
 原題は「Swordfish」


粗筋

十数年前のこと。米麻薬捜査局DEAは、麻薬資金のルートを掴む為、ダミー会社を設立し、マネーロンダリングのフロントにした。このプロジェクトは予想以上に成功してしまう。プロジェクトが停止された段階で4億ドル(500億円)の資金が集まっていたのだ。この資金は触られることなく放置された。資金は利子で膨れ上がり、95億ドル(1兆円)にもなっていた。
 ガブリエル(トラボルタ)という謎の人物は、この金をいただくことにした。金を自分の銀行通帳に移してしまおうと。それを行うにはコンピュータのエキスパートが必要。そこで昔ハッキングで逮捕され、パソコンに触ることさえ禁じられた名ハッカーに白羽の矢が立った……。


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感想

めちゃくちゃな設定。
 めちゃくちゃなストーリー運び。
 めちゃくちゃなキャラたち。
 本来なら破綻していなければおかしい映画だが、少なくとも観ている最中はそれを感じさせない。トラボルタの悪党振りがはまりにもはまっている為、様々な欠点が覆い隠されてしまったからだろう。
 映画館を出て、しばらく考えてみると、欠点が目立つ。
 ガブリエルは逃亡の際、ハッカーが対空ミサイルを掴んで発射することをどう予測していたのか。ミサイルのことを忘れていたり、あるいはミサイルをきちんと発射できなかった場合はどうするつもりだったのか。
 ハッカーはFBIのメール監視システムを壊滅させたことで逮捕された、という設定になっている。好奇心も旺盛な筈。パソコンのアクセスもあった。なぜ周辺の者のバックグラウンドチェックをしなかったのか。DEAの捜査官だ、というジンジャーの告白を何の疑いもせず受け入れるのはうと過ぎないか。
 捜査当局の連中もかなり馬鹿。冒頭では、大量のプラスチック爆薬がくくりつけられた人質を救出しようとSWATで強襲し、結果的に爆薬を起爆させ、人質を死なせるどころか一帯を廃虚にしてしまうのである。また、ガブリエルの死体を歯だけで本人だとあっさりと決め付けてしまうのもかなり馬鹿。ガブリエルの隠れ場所は分かっていたのだから、そこから髪の毛などの遺留品を採集し、DNA鑑定をするなどしてより確実な身元確認を行うべきだった。
 4億ドルが十数年で95億ドルになったというが、これは多過ぎるのでは。利率はどれくらいだったのか。1000万円の貯金でも利子は年間1000円程度という現在、ちょっと信じ難い。そもそも米政府はそんな莫大な資金をなぜ放置していたのか。
 ガブリエルは優秀で冷酷な男で、周囲から恐れられているというが、それも信じ難い。冷酷で周囲から恐れられているのは確かだが、優秀か? 優秀な犯罪者ならもっと目立たぬ方法で95億ドルを盗んだのではないか。町を戦場にして盗む出そうと考える奴が優秀とは思えない。失敗する可能性がいくらでもあったのだから。本当に優秀なら誰にも気付かれない方法で盗んでいただろう。
 とにかくあらゆるめちゃくちゃを派手な(場合によっては無用な)アクションシーンで覆い隠して観られるものにした作品。
 自分にとって本作品のハイライトは、イギリスのスポーツカーメーカーTVRが誇るタスカンスピードシックスの爆走だろう。全損ではないけどかなりダメージを受けてしまったようだが。勿体ない。
 もう一つの見所はハル・バリーの胸部が拝めること。なぜ胸部を見せびらかすシーンが挿入されたのかはさっぱり分からないが。
 映画の冒頭で、ガブリエルは最近のハリウッド映画がクソだと論じていた。派手さだけで美しさがないと。この台詞は、トラボルタに対するセナ監督の皮肉だったのだろうか。トラボルタの前作( バトルフィールド・アース )はラジー章を総なめにしたクズ映画だったから。


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Last updated  2006.12.09 20:41:57
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