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2009.03.04
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カテゴリ: 邦画

チーム・バチスタの栄光
映画「 チーム・バチスタの栄光
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 現役医師海堂尊による同名ベストセラー小説を、「アヒルと鴨のコインロッカー」の中村義洋監督が映画化した医療ミステリー。
 竹内結子、阿部寛、吉川晃司、井川遥、田中直樹、佐野史郎が出演。
 原作は、第4回『このミステリーがすごい!』大賞受賞作。


粗筋

 成功率60%とされる高難度の心臓手術「バチスタ手術」を26回連続成功させていた「チーム・バチスタ」。
 が、その「チーム・バチスタ」が3度続けてバチスタ手術を失敗。
「チーム・バチスタ」のリーダー自らの依頼で、田口(竹内結子)は内部調査を任された。なぜ失敗が続いているのか、もしかして誰かが意図的に失敗させているのか、と。
 田口は専門外の調査依頼に違和感を覚えながらも、調査を開始。
 すると、「チーム・バチスタ」のメンバーは、失敗を互いのせいにしたり、失敗を自分のせいにしたり、嫉妬していたり、妬んでいたり、蔑んでいたりと、一枚岩ではないようだった。しかも全員性格的に問題があり、疑いの目で見れば全員怪しい。
 といって、失敗は意図的とは思えず、動機もなく、やはり事故のようだった。元々成功率が低い手術で、26回連続して成功していたことがむしろ異常だったのだ、と。
 田口が適当な報告で締めくくろうとした矢先、厚生労働省から派遣された切れ者役人の白鳥(阿部寛)が現れる。
 2人はコンビを組んで、「チーム・バチスタ」のメンバーを再調査することになる。
 すると、「チーム・バチスタ」の衝撃の事実が判明。
「チーム・バチスタ」のリーダーでもある外科医は、緑内障で視界の一部が失われていた。26回目までは騙し騙し手術を強行できたが、27回目からは手術を全くできない状態になってしまった。
 それが原因で手術失敗が続くようになっていたのだ。
 ……と思われていたが、犯人は別にいた……。


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感想

犯人は「チーム・バチスタ」の麻酔科医だった。失敗した時にパニック状態に陥る「チーム・バチスタ」の無様な姿が、見ていて面白くて堪らなくなってしまい、麻酔の専門知識を使って患者が死ぬよう仕向けていたのである。術中の死ということで病理解剖が行われなかったので、死因が掴めないでいた。

 ……という、何てアホらしい真相。
 失敗が続いているのに、チームリーダー本人が声を上げるまで原因究明がなされなかった、ということなのだ。
 こんなので一本の映画(というか一冊の本)ができてしまうのだから、不思議である。
 テレビ映画ならともかく、映画にできるようなストーリーではない。

 ストーリーは、全体的に締りがない。
 サスペンスを狙っているのか、ユーモアを狙っているのか、さっぱり分からないのである。
 サスペンス映画としては、登場人物があまりにもふざけていて、緊張感に欠ける。
 といって、題材は比較的シリアスなので、所々に設けられたユーモラスなシーンが蛇足。息抜きの為に、とのことらしいが、せっかくサスペンスで盛り上がったところにこういったふざけた場面があると、白ける。
 原作にこういったふざけた場面が盛り込まれていたから、映画にもやむを得ず盛り込んだのかも知れない。が、小説と映画は別物。原作がそうだからといって、映画でもそのまま採用する必要はない。映画化の際はそういうふざけた場面は排除すべきだった。
 割り切れないからこうした中途半端なものになってしまうのである。

 製作者は、原作のエッセンスを崩したくなかった為、原作にあったユーモラスな場面を映画で忠実に盛り込んだようだが……。
 原作を崩したくない割には、調査員の田口を女性キャラクターにしてしまうなど、変えなくてもいい個所はガンガン変更している(原作では田口は男性キャラクター)。
 中年2人が活躍している映画なんて誰も観たがらない、が理由だそうだが、一度そうやって変更すると、それをずっと続けなければならない。現に、続編でも田口は女性キャラクターのまま。
 原作者はこの点をどう思っているのかね。

 本作は、「このミステリーがすごい!」大賞受賞作の原作を映像化したもの。
 原作が大賞を受賞できたのも、何も優れていたからではなく、当時テレビで医療ものが流行っていたので、選考員が「現役医師による小説? おお、これはタイムリー! 受賞させよう! 話題になるぞ! 内容なんか特にどうでもいい!」と判断したからだと思われる。
 運良く(見方によっては運悪く)、原作は流行に乗ってベストセラーに。
 それをきっかけに映画化されることになった。
 が、元は「タイムリーだから」という理由だけで大賞を受賞した凡作(医療ものが流行っていなかったら受賞していなかっただろう)。
 映画化によって、凡作振りが露呈してしまった。
 映像化、というのはそういう効果がある。
 ベストセラー=良作ではない。
 ベストセラーとは、偶々売れてしまっただけのもの。殆どのベストセラーは、ブームが過ぎると忘れ去られる。元々凡作だから。
 映画制作者は、なぜ売れたのか、本当に傑作なのかを分析した上で映像化できないのかね。

 自分が観たのは、劇場公開ではなく、続編「ジェネラル・ルージュの凱旋」公開前の一環としてテレビで放送されたもの。
 第一弾をテレビで放送することで、劇場公開される第二弾を盛り上げようとのことらしいが……。
 どうなのかね。
 個人的には、続編を金を払ってまで観たいとは思わなくなった。
 無論、原作にもこれといった興味は湧かなかった。
 特に読みたくない作家がまた一人増えた訳である。


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Last updated  2015.07.03 18:38:29
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