星見当番の三角テント

意外な場所にドラゴンヘッド



☆カプート・ドラコニス

その言葉は、星見当番がドラゴンヘッドについての解説を書くために最終確認であちこちの資料を見ていたときに出会いました。
Caputo Draconis ラテン語の「ドラゴンヘッド」。Cauda Draconis ラテン語の「ドラゴンテイル」。

「カプート・ドラコニス?ああ、Caputoって英語のcap(キャップ)と同じだ。頭だね確かに…」

そう思いながら笑って読んでいたのですが。
…カプート・ドラコニス。カプート・ドラコニスって私、どこか別の場所で見たぞ。
占星術の本ではなくて、別の本で見た、間違いなくこれを見た。どこで見たんだ?

ハリー・ポッターだ。

本棚をひっくり返して探したら、第一巻の第七章に出てきました。
ハリーたちが入学した最初の夜、ロンの兄である監督生・パーシーに連れられた初めて寮に行った場面です。
グリフィンドール寮の入り口に飾られた、ピンクのドレスを着た太ったレディの肖像画。寮の門番役です。

レディがパーシーに向かって

「合言葉は?(←原文では単純に“Password ? ”)」

パーシーが答えて

「カプート・ドラコニス」

これを読んでいる方で『ハリー・ポッターと賢者の石』をお持ちの方は確認してみてください。ハードカバー版なら192ページです。

ハリー・ポッターシリーズでは、よくラテン語に因んだ言葉が登場します。
特に使われる呪文などは、ほとんどがラテン語がベースになっています。
簡単なところでは「ルーモス!光よ」や「ノックス。消えよ」など。
ルーモスはLumos(光)。illumination イルミネーションの語源にもなっているラテン語です。
ノックスは Nox と綴ります。「闇」という意味です。
窒素化合物のことではないですよ(^^;)。


英語で書かれたハリー・ポッターシリーズにラテン語(たまにギリシャ語)の言葉が魔法語として入るのは、
日本語の文章の中に漢語が入るような関係に近いでしょうか。
松岡祐子さん訳のハリー・ポッター日本語版は、小学校低学年から読めるようにほとんど漢語系の言葉を使っていません。
でも、もし私が訳すならば(汗)地の文・英語―魔法系・ラテン語のニュアンスを生かすためにもっと漢字・漢語を使いたいですね(笑)。

脱線してしまいましたが。「カプート・ドラコニス」です。
これは単純に「竜の頭」として合言葉らしくラテン語にしたとも考えられますが、
ハリーたちホグワーツ生は普段の授業でもこの言葉に馴染んでいるはずです。
そう、ハリーたちは(授業をちゃんと聞いていれば)「カプート・ドラコニス」が何を指すかちゃんと知っているはずです。
太陽と月の軌道が交わる場所。日食や月食が起こる場所、ノードのうち、北のノードを「竜の頭」と呼ぶと。

ハリーたちホグワーツ生のカリキュラムには、この言葉が出てきそうな科目が二つあり、ひとつは低学年からの必修科目です。
天文学と、占い学。占い学では、占星術の授業があるのでドラゴンヘッドが出ることは確実でしょう。
ただし、こちらは三年生からの選択科目なので、受講していない生徒もいます。
天文学は、一年生から受けているので必修科目のようです。
夜に塔のてっぺんで望遠鏡を覗く授業があるくらいですから、月蝕でもあれば必ず観測実習があるでしょう。
その時に、必ずこの言葉が出る筈です。

「ポッター君、満月のたびに月蝕が起こらないのはなぜか説明できるかね?」

…なんて、授業中に先生に指名されているかも(笑)。

答えは
「ドラゴンヘッド(カプート・ドラコニス)かドラゴンテイル(カウダ・ドラコニス)の近辺で満月が起こった時以外は、月蝕にならない」です。


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