「きらりの旅日記」

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ほしのきらり。

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2023.08.13
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カテゴリ: 美術館・博物館
アンリ・マティス初期の作品。パリのポンピドゥーセンターの「国立近代美術館」所蔵の作品です。

HENRI MATISE

Luxe,calme et volupte,1909


『豪奢・静寂・悦楽』 1904年~1905年

​油彩​​・カンヴァス・98.5cmx118.0cm

パリ・ポンピドゥー・センター「国立近代美術館』所蔵。

マティスの初期の新印象派風な作品です。

アンリ・マティス

Henri Matisse

1869年12月31日〜1954年11月3日(84歳没)



この計算された作品は“初心者”の労働と考えられるであろう。

他の観点から見れば・・・

この作品は画家のその後の作品の

ほとんど最後まで響き渡るテーマの開始を告げている。

したがって、

この作品は特別に重要な転換点をなす。


この作品の新印象主義風のスタイルは・・・

不自然で巧んだところがあり、

色調(パレット)の特色に

フォーヴ時代の作品とのつながりがあるとはいえ、

すぐにマティスの気質とは合わなかった。

実際、これは画家の初期の実験のひとつと

考えられるかもしれないーー

《生きる喜び》 において

重要な新生面を切り開くための準備として。

手法に活気がみられないところは官学的であり、

それはシニャックとクロスとの影響によるものである。

しかしながら、

たとえスタイル自体にはいささか挫折したところがあり、

事実1900年前後のより自由でより個性的な

大胆な労作を裏切っているにしても、

主題は、以後50年にわたって追求すべきものを

野心的に予示している。

かしこには、ただ 秩序と 美と

豪奢と 静寂と 快楽。


美的内容はすべて ボードレールの『旅の誘い』 の中で

3たび繰り返し句の内に含まれている。

マティスは・・・

この詩のすべてを包含する視覚的映像を求めなかった。

その代わり、文字どおりの意味と、

慎重に選ばれたこれらの語句が暗示する声喩方とから、

愛の島(シテール)のような世界を創造したのである。


前景には・・・左方へ後退してゆく浜辺と

右方に開けている湾とがある。

絵の右辺は、木の幹によって固められている。

この幹は・・・

空間的には不明瞭なほとんどセザンヌ的な傾向によって、

平面的な意匠として、

中景の浜に引き上げられたボートの帆柱と

帆げたとに結び付けられている。

この砂地の浜には・・・

怠惰で弛緩 (しかん) した

さまざまな姿勢の一群の女性がいる。

左下には・・・

ピクニックのなごりを留める布が広げられている。

この細部は、緊張したエロティックな暗示に富む

セザンヌの初期の構図を思わせる。

しかし、マティスは・・・

厳密に女性だけを集めることによって

そういった葛藤を自分の作品から一掃したのだが、

この平穏さは次の《生きる喜び》では、

右前景で目につく抱擁する2人の人物によって

あいまいな形で破られてしまうだろう。

もちろん、この大きな構図の中には、

技巧の上で賞賛すべきものが多くある。

右端の木にもっとも近く立つ人物の背後に暗い陰影と、

座っている人物と横たわっている人物の下に

投げかけられている緑がかった影とは、

後の神話的で田園的な情景で同じ趣向を

よりいっそう大胆に使用することを予示している。

確かに、苦心の跡のある筆触と、

空間幻覚と平面の意匠との間の強められた緊張感とは、

《生きる喜び》のより大きな自発性に道を譲ることになるだろう。

にもかかわらず・・・

あるスタイルを習得するマティスの技術は、

厳密に言うと、単なる関心からよりも

他の人からの強要によることが多いのである。

彼は才能ある折衷主義者に留まっていることもできただろうし、

初期の現代絵画の歴史の中に

自分の位置を見出すこともできたであろう。

しかし、そうではなかったから、

彼は別の運命を選んだのである。

(参考資料:BSSギャラリー世界の巨匠MATISSEより)
(写真撮影:ほしのきらり。)
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最終更新日  2023.08.13 00:10:13
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