すべて伽哉のうち迷い道日記

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十二国記―驍宗さま



ここは、十二国記シリーズのうち、風の海から黄昏、白銀と続く物語の、超私見的感想及び考察となります。

とりあえず、18年ぶりに刊行された最新作について、日記に上げた分及び阿選、泰麒ほかに関しては別のページを作りました。
※スマホからは、フリーページ一覧を開けてください。

全部一緒だとまとまらず、別に分けて書いては書き直したりの作業途中のままの公開ですが、そのほうが読み直してまとまりやすいかなとも思うので、少しずつでも書いていこうかなと思ってます(^^♪

※ ネタバレ前提ですので、ご注意ください。
※ アニメは見てません。原作を読んでの感想&考察です。

ここからあとは、驍宗さまについての超私見的考察なんで、まあ特に興味ない方はスルーしてね(^^♪



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そもそも私が驍宗さまに引かれたのは、前にも書いたけど、風の海初登場の時から。

一目ぼれ的な出会いで( *´艸`)


これまでもいろいろな小説や物語読んでいて、魅力的で好きになったキャラクターもたくさんいるのだけど、この驍宗さまというのは、好きになったキャラの中でも別格な存在なんです。
自分がどうしてこうも驍宗さまに引かれるのか、自分でも分析しきれていない。



風海後、露出が少ない。(※1)
その割に初登場の風海の印象が強烈。泰麒視点から始まり、その泰麒視点でどうしようもなく驍宗さまに引かれていくさまに、こちらも同様となる。
驍宗さまの心情を伝えるシーンはごくわずか。白銀以前だと、風海の饕餮折伏(※2)と泰麒転変で追いかけてくるシーンくらい。
同様に白銀以前だと、風海後、冬栄くらいでしか、驍宗さまが実際に現れるシーンがない。

黄昏のときは、すでに消息不明(´;ω;`)で、何と言っても18年の空白もあるし

つまりその存在がとても希少。黒騶虞なみ

話を戻すと、風海で驍宗さまに一目ぼれした自分としては、その後の泰麒視点→繰り返し王ではないとの独白で強調(ミスリード)しながら、逆に驍宗さまに強く引かれていく不可避性、この展開に意表をつかれる。読みながら、こちらの感情の上下のブレがそれは激しい。このあたりも絶妙な展開です。
で、その後に続く驍宗さま絶不足の年月、とにかく長かった。

※1 この登場シーンの少なさ、登極後半年くらいで乱が起きて行方不明になるという境遇によるものだけど、風海から白銀に至る物語の構成上、驍宗さまは、蝕によって行方不明になる運命とあらかじめ想定されて登場してきた人物なので、仕方ない部分がある。
あといわゆる王道的すぎて、心情等を描きにくい点もある。

※2 今回、白銀4巻で、饕餮折伏顛末に至る黄海への騶虞狩に、泰麒を連れて行った際の驍宗さまの心情が語られていた→後述

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とりあえず、今の結論 驍宗さまとは。。。

無の三重奏( *´艸`)

あとは『驍宗さまは傷つかない(*´-ω・)ン?』(砕けないでもいいかな?)

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まずは、風海での、驍宗さまと泰麒との関係性から

第一印象から強烈。泰麒にとっては「怖い」という印象

この後、怖いという表現が何度も出てくるので、これ以降、驍宗さまの「顔が怖い」という印象操作がされてしまったという悲劇が(。=`ω´=)ぇ?
アニメは見てないけど、アニメの悪人顔というのも読んだことがある(ちょっと~)映像の影響は強いものデス

白銀1巻に出てくる頂梁視点での驍宗さまについて 「端厳とした佇まい」
端厳とは、姿などが整っていて威厳のあること。またそのさま
佇まいとは、立っている様子 

風海では、驍宗さまは端正な風貌の目許が怜悧と、原作に書かれているので、顔かたちが美しく、賢そうな目元というところでしょうか。別に怖くないと思われるが
もっと分析を進めて、ナニをそんなに怖いと泰麒が思ったかというと、驍宗さまと視線が合った瞬間

ー-その瞳の真紅、あたかも血のような

確かに迫力がある。
泰麒はその視線が怖かったのだけど、ちなみに驍宗さまについて怜悧な目元という描写をもう少し詳しく見てみると

怜悧とは、頭の働きがすぐれていて、賢いこと(さま) 聡明

聡明とは、物事の理解が早く賢いこと、またはそのさま

自分自身について、ひとめで本質を見極められてしまいそうな、その視線の恐ろしさ
わたしも驍宗さまに対峙したら、自分のあまりの至らなさ、アフォさ加減をすぐに見抜かれるような、その視線の鋭さに、寿命が尽きるかも(*´ω`*)ゞエヘ



繰り返し出てくる、怖いという表現
それは、驍宗さま自体であったり、太い笑みであったり、対峙したときに感じる、身の竦むほどの覇気であったりする。それらをひっくるめて、怖いと感じる泰麒がいる。


    見上げると、柔らかな視線を向けられていた。ときに怖気づくほど怖い驍宗は、また呆然とするほど優しい顔をする。(風の海)

中日ご無事の後、黄海に騶虞狩に出かけ、麒麟として、使令を持たず転変もできないと告白した泰麒に、驍宗さまが初めて向ける視線。

白銀4巻で、この時の黄海の騶虞狩りに泰麒を連れていきたいと思った驍宗さまの心の裡が描かれています。

   行きたい、と言った泰麒を連れて行ってやりたかった。騎獣を捕らえるということがどういうことなのか教えてやりたかったし、それを専業としている人々がいるのだということを知ってほしかった。朱氏という人々がいて、彼らはそもそも浮民であり、国の荒廃が彼らを浮民にしたのだということを知識のうえだけでもいいから理解してほしかった。

 王のいない国は傾き始める。そのしわ寄せは、真っ先に民に来る。
 麒麟が王を選ぶということの意味を泰麒に知ってほしかった驍宗さまの思いが述べられている。

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この、驍宗さまの視線については、記憶も新しい白銀4巻の、泰麒と驍宗さまの再会の場面に象徴的に出てくる。

泰麒が驍宗さまの足元に駆けつけた場面

   ふり仰いだ視界に、紅の眼が飛び込んできた。

そして、あの場面 

    その瞬間、視線を受けた泰麒の姿が融けた。



まあ一足飛びに最後の視線のトコまで飛んでしまったんだけど

驍宗さまの視線を受ける泰麒の心の変遷について、また別の角度から考えてみたいと思います。


   *********

今度は驍宗さまからの視点はどのようなものだったのか、これこそ超私見的な考察になるわけだけど。

なにしろ驍宗さまの心情を描写するところが極端に少ない。なので、その時ナニを語ったのか、どんな態度や反応を示したのかとかで見ていきたいなと思います。
なんか細かくなりそうで先が不安だけど、ま、いいか

まずは泰麒と初対面となる初登場場面、いきなり乱闘( ̄◇ ̄;)エッ  

   一方は長剣を翳した巌(いわお)のような巨漢、一方はそれよりは小柄な、それでも堂々たる体格の拳を翳した男だった。佩刀(はいとう)しているが、抜いてはいない。(風の海)

相手は剣を抜いていて、自分よりもでかい岩みたいな大男。一方驍宗さまは剣を抜かずに、素手で闘っている。その驍宗さまはとても目を引いたらしく

    黒い鎧と白い髪の対比。肌はよく陽に焼けた褐色、上背が高く、体格も動作も恐ろしくしなやかで獰猛な獣のような印象を与えた。(風の海)

ついでに驍宗さまの体格について、白銀1巻で、頂梁視点で
 軍隊ではさほど恵まれた体格ではないとの記述があったけど、軍隊内だと縦横大柄な者が多いので、その平均的な比較ではそれほど大柄ではないが、一般的に見れば、背も高く、引き締まった体格ということになるだろう。

まあそれはともかく、なんで一人なの?一人で喧嘩( ̄◇ ̄;)エッ
他に随従もいるはずだけど、先に来たのかな?

思い出すのは、白銀4巻驍宗さま回想シーンで、双璧時代に、一度驍宗さまが下野したとき、巌趙が「あきれたことに付いてきてくれた」「とても一人で行かせるわけにはいかないと」
そっか・・・巌趙はわかってたのね

自分より体格も大きな岩みたいな大男、しかも剣を抜いてる。危なくありません?

戴の者なら知っている禁軍将軍の驍宗さまが、体格的に自分より弱そうに見えたので、絡んできたのかも(まあナニが原因については、考察しようにも材料ないので、自由に妄想できる)

とにかく、驍宗さまは拳ひとつで巨漢をあっけなくボコり

  「蓬山公の御在所ゆえ剣は抜かぬ。公にお礼申し上げるがよい」

もうこのセリフがなんか今っぽくなくて燃えます( *´艸`)しかも

  少しも気負ったところのない動作、気負ったところのない声だった。(息切れもしてないようです)

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 で、この後、泰麒からの視点で書いたように2人の初対面に
 少し前に書いた泰麒が恐れた驍宗さまの視線は、その瞳の真紅、あたかも血のような

   瞬時でその人物や物事の本質を探り見抜くような鋭い視線

 この視線を向ける驍宗さまにとって、初めて見る泰麒はどう映ったのだろうか

 もちろん認識は戴の麒麟。珍しい黒麒麟。まだ幼い子供。
 驍宗さまにとって、麒麟は選ぶ者(神獣)

 ここで驍宗さまは、泰麒から「中日ご無事で」と告げられる。

 仮朝を支えてきて、麒麟旗が上がってすぐ昇山した驍宗さまの心境はどのようなものだったろうか。


  「あたしは恭の国民だわ。もしもあたしが家宰(ちょうさい)だったら、麒麟旗が揚がり次第、国の民の全員が昇山するよう法を作るわ!」 
  「どこかにいるのよ、王が。それが誰かは知らないけど、そいつが黄海は遠いとか怖いとか言って怖気づいている間に、どんどん人が死んでるのよ!」
               殊晶(図南の翼)


  ***********

一刻でも早く逃げ出したいような気持だった泰麒は、なんとか中日ご無事でと告げて、驍宗さまの顔も見ないで急いでその場を去る。
そのときの驍宗さまの描写の場面は一切ないが、驍宗さまにとっては、もちろん、ザ・ショック~~~~想定外の衝撃の結果だったろう。

今回18年を経て刊行された白銀2巻で、この直後の驍宗さまが麾下に語る言葉が、静之の回想として綴られている。

   「私は己の手で掴めぬものはないと思っていた。何かを手に入れたいと欲するなら、それが手に入るまでやってみるだけのことだ。そうやって欲しいものは余さず手に入れてきたから、どうやら天の心さえそれで掴めるものだと思っていたらしい」

欲しいものは余さず手に入れてきた・・・( *´艸`)
驍宗さまが欲しいと思ったものは何だったんでしょうか?
どうやって手に入れてきたんでしょうか?
なんか、そっちの方が気になってしまいます(゚ー゚)(。_。)ウンウン

 そのあとで、驍宗さまは戴を出るという衝撃の発言を

 新王が誰になるか、その者によっては、自分と新王を比べると驍宗さまは言葉を続け

  「比べた挙句に、己が劣っていたとは思いたくないのが人情というものだろう。比べるときはそもそも己の優を計るために比べるのだ」
  「そして結果として、必ず新王を軽んじることになる。それで果たして、一時たりとも玉座を盗んでみたいと思わないでいられるだろうか」

 本当に正直な方です。
 王となって国を立て直すという一心で国を支えてきた驍宗さま、己の優というのは他者に比べて何よりも戴のために尽すという熱量への自負だろう。
 今まで欲しいものは余さず手に入れてきた驍宗さまが、玉座を欲したら・・・・乱は起きる。
 そうならないために、戴を出る決意を告げる。

  「どこまで落ちぶれても盗人にはなりたくないものだ」

 そして麾下は民を救うために戴に残れと告げる。

 「戴にはいま、先王の搾取によって困窮した民が、空位による荒廃によって喘いでいるのだ。すぐに新王が登極されれば良いが、そうでなければこの事態はさらに続く」

 この言葉に驍宗さまがなぜすぐに昇山したのか、その理由も明らかになる。

 王となって、少しでも早く国を立て直すこと。民を救うため。

  ***********

中日ご無事される前に、泰麒が驍宗さまに抱く印象。
初対面の視線で怖いと思い、驍宗さまから感じる「覇気」に身が竦む。

  「はい。剣技よりほかに取柄もありませんゆえ」
 口でそう言いながら、彼が自分のあらゆるものに自信を抱いているのが分かる。身が竦むほどの覇気。    (風の海)

驍宗さまの覇気とはどのようなものなのだろうか。

まず覇気とは
1.人の上に立とうとする強い意志。野心、野望
2.物事に積極的に取り組もうという意気込み 

王になろうという強い意志、野心。王となって、荒廃した国と困窮にあえぐ民を救いたいという意気込みが、驍宗さまの覇気の核となるものだった。

  「戴は極北の地だ。冬が来れば早々に雪が降り、里盧(まちまち)は雪の中に閉ざされる。こんな晴れ間は幾日もない。天上の王宮にいれば、さほどは感じないだろうが、民は皆この寒さの中で生活している」
  「家を失えば、たちまちのうちに凍えてしまう。山野は雪に覆われ、地面ごと凍って草の根を掘ろうにもそれすらできない。秋に蓄えた食糧が尽きれば飢えるだけ、なのに秋の収穫は天候次第だ。冬に対する備えが民の生活の生死を決める――ここはそういう国だ」
  「こうして眺める国土は無垢で美しいが、同時に無慈悲で恐ろしい。――それを決して忘れないように」        驍宗(冬栄)

    ************

これは別ページの阿選のところにも書いたが、泰麒に中日ご無事と告げられた時、自分でなければ、いったい誰が王になるだろうか、自分が知る中では、阿選が一番玉座に近いだろうと驍宗さまはまず思ったのではないか。

その上で、阿選が王になった場合、自分が玉座を簒奪したくなるだろうと。
だから禍根の種を残さぬように戴には戻らない決意をする。

驍宗さまにとっての双璧時代の阿選とは、その視線に恥じることのない行動を取りたいと思う、規範的な存在だった。
共に昇山しようと阿選を誘いに行くほど、双璧の一方としての阿選の優れた実力や人柄を知っている驍宗さまでも、自分ではなく阿選が玉座につけば、忸怩たる思いが発端となり、やがては反乱を起こすかもしれないと考える。

実際はこの逆になったわけだが、阿選の乱で函養山の地下に閉じ込められた驍宗さまは、乱を起こした阿選に対して

  叛く理由はわからない。そんなに玉座を望んでいたのか。驍宗に奪われたことがゆるせなかったのか。
  不思議に、そうではない、という気がする。そんなにわかりやすいことではない。
 「・・・・お前は何に囚われたのだ」
 ずっと問い続けてきたが、驍宗には分からなかった。漠然と、分からないそのことが阿選を怒らせているのだろう、と思う。      (白銀3巻)  

 阿選が王になった場合、自分が叛く理由はわかる。
 だが逆になり、実際乱は起こった。驍宗さまは叛いた阿選の気持がわからない。

    「使令がただの二とは身の不運」
     白く氷のように輝く刃が、流れるように振り下ろされた。
    「・・・驍宗を選んだ貴方が悪い」   阿選(黄昏の岸 暁の天)

※この驍宗さまから見ての「わからない」については、驍宗さまとエルーアさまのところで考察しています。

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はあ、真面目過ぎです、驍宗さま( *´艸`)ちょと休憩デス


そういえば、延王尚隆と剣の3本勝負したときに、驍宗さま1本取ってトータルでは負けて

「わたしに五百年の寿命があれば、延王に遅れは取りません」(風の海)

とも言ってるけど、これは負けず嫌いにも聞こえるけど、尚隆との500年の溝って年齢差もあるし埋まらないから、2人とも存命中の現状では、最後まで尚隆の方が腕が上って認めている言葉になるのかな?

尚隆との試合、これこそ見たいところです。

今回、白銀4巻で驍宗さまがその剣を振るう場面が2度あって、最初は脱出後すぐ
あと妖魔に追われたとき

いずれも神業というような速さで反応しています。
特に脱出後、因縁の赭甲と闘う場面
暗闇生活長くて、弱視になってしまっていて、しかも幼子片腕に抱きながらのその斬撃の速さと鋭さ

こういう一瞬の冴えを見せる描写だと、小野先生の筆もさらに冴えを見せる。

尚隆の初登場も、陽子に助力するため、妖魔相手に剣を振るってた。
この時の剣の腕も含めて、なんかスケールの大きさに、尚隆には即魅せられてしまいました(たぶん多くの読者の方と同じ)


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  「驍宗さまは目的と手段を履違える真似はしないんだよ」   

  「驍宗さまがあんたと競っていたのは、突き詰めて言えばどっちがよりましな人間か、ということだったんだ」     琅燦(白銀3巻)

 言いたい放題の琅燦。阿選はグウの音も出なくて反論もしてない。
 面白いことに、琅燦だけでなく、阿選、そして最後主要敵役に昇格した案作まで、驍宗さまの抜きん出て優れたところを他の者より自分がよくわかってるんだよという描写まで出てくる。

 これは、反乱軍の圧倒的主要人手?不足も一因。

 阿選が出てきたので、話が一気に白銀まで飛んでしまったけど、もう全方面からいろいろな思いを飛ばされて、なおかつ粛々と王の務めを果たそうとする驍宗さまは・・・スゴイ(いまさらだけど)

まあ白銀については、もう少し後でじっくり見たいと思います。

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なによりも、名もなく、持たざる多くの民のために、今までと同じように力を尽くし、励まれよ​

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《李斎について 白銀読了後の感想》
読者を導く視点。。情や迷いも持ちながらも道を手探りで進む、その視点を読者が信頼して委ねられる無限さがあった。

黄昏から白銀ラストまで、物語を引っ張って行ってくれた李斎。
風の海で驍宗さまと同じ時期に昇山。
泰麒、李斎、驍宗さまの3人の出逢いは、そのあとの過酷な運命を思うと胸が痛くなります。

  「済まないな」言ってから、驍宗は労(いたわ)るような眼差しで李斎を見た。
  「大変な苦労をさせたようだ。大事ないか?」   驍宗(白銀4巻)


もう白銀終了後、特にこの3人は幸せになってほしいッス(突然沸騰~~)
余りに酷い運命で、怒っちゃいましたとも!!(ゼエゼエ)
最初から空白ありきの構成だから仕方ないのかって思うけど、ちょっとね

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《白銀読了後の感想》
王は神で、王に使える臣たちも、人ではなく仙になる​​。​​​​​不老不死の王に仕えるために、仙もまた老いることなく王に長く使える存在となる。

あたりまえに生まれて、あたりまえに死んでいく。。死は決して逃れることのできない運命、それが当たり前の蓬莱に育った陽子や六太、尚隆、泰麒と、戴く王が神であり、その臣たちが仙である世界に生まれ育った者たち、そもそも王や臣から見たら、普通の人の生死に対する考え方が決定的に違うのではないだろうかと思います。
もちろん、私たちの世界と同じように、十二国記の世界でも夥しい死が普通に訪れる。生まれて死に、次の世代へと移り変わり、また生死が繰り返され、世代も繰り返す。

もちろん麒麟が選定する王だから、その王になる前の当たり前の生死を受けて育った人たる王も、一度王になれば神となる。

国を存続させ、栄えさせるためには必要な存在の民であっても、その世代をいくつも重ねる無数の民そのものの幸せや個々の命の重さや大切さを持ち続ける王って、なかなかいないんじゃないかなとも思ったりする。
仙とか神になって、幾世代も生きられる存在になっちゃったら、そういう思考が出にくくなっちゃう設定だもん、うん、十二国の世界って、ぅん((゚ω゚ )ぅん


そんな世界に、驍宗さまが登場します。若くして禁軍の将軍となり、延王に次ぐほどの剣客であって、その名は他国に轟くほどの逸材
その驍宗さまは、自分の愛剣について、こう語っています。延王尚隆と剣を交えたさい

「負けました」
驍宗は屈託なく笑う。
「三本に一本しか取れなかった。先王はそれでも一本取ったことを喜ばれて、剣を下してくださったのです。――人を殺した剣でない。ですから宝なのですよ」 
                         ――風の海 迷宮の岸​

まあこの後、驍宗さまは自分にも延王みたいに500年の時があれば、負けないとか、負けず嫌いなとこも見せるんだけど~~ァハハ・・('∀') とにもかくにも、高名な将軍ながら、自分の剣は人を殺した剣でないから、宝だというところに、驍宗さまの心の裡を伺い知ることができるような気がします。

驍宗さまの民への思い、それは将軍時代の轍囲への逸話でも伺うことができるように、一貫してブレてない、今回の18年ぶりの新刊で、驍宗さまの心情も描かれていて、ああ、この人(ってか、王なんだけど~)、こんなにも過酷な状況に陥っても片時も民への思いを忘れたことがないんだなって、もうビックリしちゃいましたとも!!

    **********

風海では、戴と驍宗さまについては、李斎が泰麒にいろいろナビゲートしてくれます。
穏やかで気持のいい人柄、女性の将軍で、泰麒の第一印象は大柄で赤い髪のきれいな人。

子供って、けっこうよく見ているものです。

 ※ここで最初の予想よりも長くなってるので、2に続く予定です(;・∀・)

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