BEST-ONE

2007.10.18
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 インターネットの出現は、これまでの社会の価値観をすっかり変えてしまった。自宅に居ながら、世界とつながるこの便利なインターネットが今、少しずつ自分が住む地域の経済をむしばんでいるようだ。

 私の住む小さな地方都市で、ゴルフ道具の店を経営する人と話をした。

 ゴルフ人口の減少なども原因の1つだが、ゴルフ道具をネットで買う人が増えたため、ますます売り上げが落ちていると言う。

 新しいクラブが発売されると、客がすぐに見に来る。今まで発売日目当てに来る客は、一部の熱心なゴルファー、すなわち優良顧客だけだった。ところが、最近は、発売日に、多くの客が来店する。理由は、ネットですぐに新しい商品の情報が入手できるからだそうだ。

 これだけなら、店にとっても悪くない。だが、“新興客”は新しいクラブで試し打ちだけして、感触を確認した後、そのまま買わずに帰るケースがほとんどなのだという。

 ここまで読めば、大方の読者は気づくだろう。 新しいクラブの試し打ちをし、気に入った場合は、自宅に帰り、パソコンの前に座り、そのクラブを一番廉価で販売しているサイトで購入するのだ

 値段だけを比べれば、小売店がネット販売にかなうわけがない。小売店は、店舗の家賃や、維持費、店員の人件費などが必要なのだから……。倉庫と事務所だけのネットショップとは違う。

 しかし、クラブの修理となると、彼らは平気な顔で直接、店に持ってくるという。試し打ちだけされ、修理の依頼しかないのでは、店側にほとんどもうけはない。ネットショップのサテライト(衛星)ショップとなっているだけだ。



 同様に、 旅行代理店も苦境に立たされている 。航空券の購入も航空会社のサイトで可能であるし、大手旅行代理店のサイトで旅行パックの購入もでき る。団体旅行が主流だった時代から、個人が個人のスタイルに合わせて旅行をアレンジする時代となり、それにはネットで下調べし、チケットを手配するのが便利だ。

 ゴルフショップや旅行代理店だけに限らず、さまざまな小売店は、 ネット販売に押され、売り上げを落とす一方だという

 商品に詳しい店員に話を聞いて、気に入った商品を購入していた時代。若いころ、初めてレコードを買った時のことを思い出してほしい。年配の店員が詳しく音楽の事を教えてくれ、たまにお勧めのレコードかけてくれたなどというような思い出はないだろうか?

 今の若者たちは、どうやって音楽を教わるのだろう。どうやって知らない世界を学んでいくのだろう。やはりネットか……。

 便利さに流され、ネットで買い物をする事が、 結果的に自分の住む地域の経済の衰退 につながっていく。せっかく消費しても、地元にお金は流れない。

 もちろん、ネットを利用すれば、片田舎にいても世界を相手に商売ができるというチャンスがある。事実、そうやって成功をしている例も少なくない。だが、都市部の大資本がネットを運営しているケースの方が非常に多いため、結果的に、地方の消費者の消費は、地元から、都市部に移行する構図になっているように私には思える。

 「グローバル化の世の中なのだから仕方がない」と言う人も多いだろう。

 だが、ゴルフショップで試し打ちだけして、商品はネットで購入するという、“ モラルなき消費者”が増えている社会が、健全なのか疑問である

10月13日メインページ更新!





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最終更新日  2007.10.18 20:06:06


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