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ケニア旅行 サファリ入門編
―― ONCE IN A LIFETIME ――その1
シャッターを開けると、窓からにび色の光が一斉に入り込み、眼が慣れてきて見下ろすと眼下は海岸線だった。
インド洋を渡りきり、いよいよアフリカ大陸である。
航空路線図からして、眼下の世界はソマリアあたりの海岸線であろう。
波打ち際からずっとつづく砂の海である。
綿菓子のようないくつもの雲のみがコントラストを描いている。
所々にある湖と思っていたのはすべてが雲の影だった。
1時間くらい海岸に沿って低空飛行していたが、急に右旋回し、草木の少ない、なだらかな稜線の高原が間近に見えた。
旋回した後、飛行機はますます低空をつづけ、何の変哲もない草木を刈り取ったグラウンドのような滑走路に滑り込んだ。
アフリカ最初の一歩はナイロビ郊外のジョモ・ケニヤッタ国際空港から始まった。
最初のアフリカ大陸といっても、モロッコ、エジプトなどで土を踏んでいるから正確には、ブラックアフリカがはじめてというべきだろう。
北西からマグリブ諸国をはじめ、リビア、ニジェール、チャド、東のスーダンにいたるまで、砂漠地帯=アラブ諸国というよりも、セム系語族の住む地域を狭義の意味において、アフリカとはいわないらしい。
大体、砂漠の境界線から南をアフリカと呼ぶらしい。
しかし、砂漠化は地球温暖化の影響もあいまって、どんどん加速して南下してる現状だ。
動物を観察するのは、「動物園でええやん」と決め込んでいた、動物愛護者でもなんでもない私でも、来世紀には存在しえない絶滅寸前の動物種がたくさんいると聞くにつけ、「すわ、今のうちにサファリだ」と呑気に決め込んでみたのである。
ケニア―――――それが、私にとってのアフリカ入門であった――――。
その入門編の入門はもちろん、避けて通れぬ入国審査である。
更新したばかりのパスポートにはイエローカード(予防接種証明書)が二つ折りにはさんである。
東アフリカへの入国は、経由国によって、黄熱病の予防接種が義務づけられている。
入国審査官はイエローカードには一瞥せず、かったるそうにスタンプを押した。
ジョモ・ケニヤッタ空港ロビーには、見るからに観光業者と思われる男たちがわんさかとたむろしていた。
この空港に降り立ったひとびとに対し、一人ひとりお世話できるくらいの数だ。
もちろん、サファリの勧誘である。
旅行者の大半は、すでに地元の旅行会社や母国の旅行会社に手配済なので、彼らは苦労水の泡覚悟でこうして外国からの飛行機から吐き出されるひとびとを粘り強く待ちつづける。
もちろん、決めつけてはいけないが、架空会社を装い、法外な値段を請求し、おざなりなサファリに送り出す輩も多いと、ガイドブックには書いてあった。
観光産業に立脚した第三世界のひとびとの知恵、といえばそれまでだが、触らぬ神(ガイド)に祟りなし・・・・・・・・・。
「ジャンボ!ケニアへようこそ!元気?サファリはもう決めてある?アンボセリ、ナクル、ツァボの一週間コース、ポッキリ1,500ドルだよ!ナイスね!ライオンが見られなかったらお代は差し引く良心的システムだよ!」いきなり黒ジャンパーにサングラスといういでたちのマフィア映画にでもでてきそうな大男に捕まってしまった。
「あの・・・・・僕・・・・・ちょっと、トイレ・・・・・」
クワバラクワバラ―――祭りの露店じゃあるまいし、そう簡単に「売りつける」なよな。
J社で申し込んだ総勢30名を越える私たち以外にも大勢の東洋人でロビーはごった返していた。
ムンバイ(ボンベイ)経由でケニアへ来た便だから当たり前といえば当たり前だが、そのなかには勧誘軍団の話を聞き入り、そのまま契約書らしきものにサインしているひともいて、一人またひとりと空港の建物の外へ消えて行った。
幸運を―――――。
私たちのツアーご一行様は夕刻着でもあり、大型バスで移動し、今夜はナイロビに泊まる。
空港を出て、ものの5分とたたないうちにサバンナの風景が広がった。
しばらく走ると、道沿いに柵が連なる平原が見えてきた。
ナイロビからわずか8キロにある117平方キロメートルのケニア最小のナイロビ国立公園である。
怪我の治療などのため、あるいは孤児の面倒もため、他の国立公園などから連れてきている動物もいるが、人の手がかかっているのはやむをえないとしても、約2時間で周れるこの公園こそが、実はケニアで最も効率的により多くの動物を観察できるのである。
鉄道を越え、ウルフハイウエィにバスはさしかかる。
そこはもう、大都会だ。
ナイロビのランドマーク、コンフェランスセンタービルなどの近代的な高層ビルが林立している。
ナイロビは赤道上の海抜約1,700メートルの高原にイギリス人が入植してつくられた、わずか100年足らずの歴史の新しい町だ。
その名はマサイ語の「エンカレ・ナイロビ」に由来する。
―冷たい水―という意味で、ここは水が豊富な土地であるという。
バスはウルフハイウエィ沿いの近代的なIホテルに滑り込んだ。
J社のみならず多くの日本人観光客が宿泊するホテルらしい。
なるほど、ホテルのロビーは空港からそのまま移動してきたように、日本人でごった返していた。
J社のツアー客はここからコース毎に仕分けられることになる。
現地コーディネーターがはじめてここで登場し、手際よくコース別にフループに仕分け、担当ガイドを紹介していった。
タンザニアへ向かうコースもあった――実はこの時期、タンザニアは乾季の真っ最中であり、大平原で有名なセレンゲッティにいるはずの多くの動物たちは国境を挟んだ(動物たちに国境がないのはもちろんのことだが)ケニアのマサイ・マラ側に大移動していて「動物なんかほとんど見かけなかった」という話を、後にマサイ・マラで合流したときに名古屋の看護士たちから聞いた――。
あの、ヌーの大群の川渡りなんかとっくに終えていたのである―――。
危ない、危ない、乾季雨季のことはよく勉強していなかった。かくいう私も直前までケニアとタンザニアのどちらにするかかなり迷っていたのだから――――。
私たちアバーディアの森林公園を含めたコースは8名だった。
4WDのワゴンが2台用意されるそうで、「快適な」サファリが約束されていた(?)。
そのなかにはムンバイでのトランジットまで一人ひとり念入りにチェックしていた(笑)以外のひとたちがいた。
女三人組で、そのうちの一人の小柄でザンギリカットの女の子はまぁまぁ可愛くて、ほっと胸をなでおろした(笑)。
えーと、名前なんだっけ?「本命」に気がいっており失念。
「本命」はわずか4日間のアンボセリ、マサイ・マラのみを巡るツアーコースで、最初のアンボセリでしかご一緒できないみたいなのである、無念・・・・・・・・無念・・・・・・・・。
―まったく、何しに行きよるんかね、このおっちゃんは。もう、帰ってこんでよろしい!―
我妻の甲高い声が頭のなかで鳴り響くような気がしたが、「ハンティング」はアフリカの伝統スポーツなのであるぞよ、エッヘン!
ムンバイでのNさん間違い事件、といい懲りないひと、なのである、私は―――。
本命の宝塚の男役みたく、スタイル抜群でこの総勢30名唯一の美人系(成田空港で、同じ旅行会社のタグみかけたときからチェック!!)が一緒でないのが、返す返す残念至極である。
ついてないっ(違う)。
単身で渡り、「肌で感じるアフリカ」もあろうが、「肌を触れ合うアフリカ」があってもいいではないかっ(もっと違う)!
私は意気消沈して部屋へ行き、明日からのサファリに備えた。
部屋の窓から外を見ると、ホリー・ファミリーカテドラルという、教会と学校が同じになったような建物から制服を着た小学生が下校の時間なのか大勢でてきた。
皆こぎれいで凛々しく、飢饉と戦乱にもがき苦しむアフリカの姿はそこには見出せない。
外にちょっと出てみようか、しばらく悩んだ。
先ほど、私たちとこれから10日あまり一緒になるガイドのパトリックはこう言っていた。
「ナイロビはスラム化した子どもたちが寄ってくることはあるかもしれませんが、現在治安はよいです」
本当かもしれないが、半分は嘘、である――――。
ちょうど1ケ月前。
アラブ系過激派によりナイロビのアメリカ大使館が爆破され、多くの死傷者がでたばかりである。
治安自体、安定しているとは言いがたいだろう。
観光産業や農業の安定により内政はアフリカ諸国のなかでは高水準を維持するケニアだが、近年若者の都市部流入が需要以上に激しく、失業率も高い推移をみせている。
町の顔である、先ほど側を通ったコンフェランスセンタービルあたりの中心部をはずれると、スラム化した地域がたくさんあると聞く。
失業した彼らのなかには生活の糧のため、やむをえず手段を選ばない銃装備をした強盗団に化したひとびとがいるのも現実である。
大使館などが軒を連ねる高級住宅街などは、何重もの鍵をかけ、マサイ族などの用心棒を24時間体制で雇っているらしい。
このホテルからも見えるコンフェランスセンタービルがあるガーデンスクエアや、ひとや車の往来激しいこのホテル裏のウルフパークでさえも、日中堂々と強盗団に襲われるニュースが跡を絶たないということを出国前にイエローページ(外務省の海外事件等情報箱)でさんざん頭に叩き込んできたつもりである。
この年の1月には、私たちも最後に訪れるマサイ・マラ動物保護区で、銃を持った武装グループに外国人観光客が襲われた。
サファリも猛獣に襲われるだけではなく、命がけのご時世なのである。
そして、アフリカ諸国共通の政治的経済的停滞に由来するのであろう、公務員の腐敗がいっそうこれらの国々への不安感を抱かせることになる。
第一、取り締まるはずの警官がすべてを信用するわけにはいかないもどかしさがあるのだ。
もちろん、すべてのひとに通じるわけではないが、アフリカでは公務員に対しても公然とチャイ(賄賂)がまかり通る世界なのである。
ものの本によると窓口業務でさえ、「チャイを」らしい。
「さきほど、町を歩いていたらひったくりに遭いました!」と警官に駆け込んでも「この調書にサインをしてください」と同時に袖の下、なのだそうである。
とにかく、危険なところには近づかない、金はあればすぐだす、これが鉄則である、らしい。
しかし、誤謬なきよう考えなければならないのは、自分の身は自分で守る、これは万国共通の鉄則であるし、世界一治安がよいとされる日本も、不慮の事故や凶悪な犯罪に巻き込まれることは稀とはいえないのが共通認識でなければならない。
そして、ナイロビは「犯罪の町」ではなく、アフリカの、ケニアの極々一部の顔である、ということだ。
これらを胸に秘め、私は少しだけ日没前の散をしてみることにした。ナイロビの町を――――。
とはいうものの、やはりドキドキしながらホテルの門を出る。
部屋の窓から見ていた大勢の小学生の姿はもうなかった。
かわりに、公園沿いの道を闊歩するスーツ姿の大集団がこちらに向かってきていた。
怯む必要もないのだが、怯んでしまった―――もちろん、彼ら彼女らは帰宅途中のビシネスマンたちであろう。
初代大統領ケニヤッタの墓がある小公園の向こうに国会議事堂がある。
そこの職員たちかもしれない。
ナップザックから市内地図を取り出して、カテドラルから南へ向かう道を歩いた。
イスラム教のジャアミア・モスクへ行ってみようと思う。
ケニア一美しく有名な寺院である。
ほどなくして、小汚い服を身に纏い素足の、見るからに貧しそうな子どもたちに囲まれてしまった。
パトリックの忠告というか、助言がはやくも的中したのだ。
幸い(幸いというべきか)、彼らはかなり低い年齢層だったので、内心ビビリまくりながらも、彼らに全く取り合わず、正面一点を見据えて歩いた。
北アフリカ各国を旅してきたときの流儀をここでも貫いたわけだ。
心を許した振りをわずかでもしただけで、付け入れられるからだ。
すると、子どもたちは「甲斐なし」と判断したのか、「私から」しだいに脱落していった。
なおも平然と歩きつづけたが、首筋からはとめどもなく汗がしたたり落ちていた。
緩やかなカーブを曲がり、さらに直進すると大通りにでた。
ナイロビ中心部を横断するケニヤッタ大通りである。
仕事帰りの買い物目的であろう人たちで賑わった往来である。
あまりにも人と車の往来の激しさに辟易し、それより何より信号機のない大通りを渡る勇気がなく、この大通りを渡り直進すれば行き当たるはずのジャアミア・モスクをあきらめ、ケニヤッタ大通り沿いを中央郵便局に向けて歩を進め、やがてウルフパークとの交差点にぶつかった。
そこから、ウルフパーク沿いに歩き、そのままホテルに帰ることにした。
わずかな散策であったが、何の汚点もなくひとびとが普通に暮らしている印象しかなかった。
むしろ、数々のアラブ世界を歩いてきた私にとっては、出会うひとびとの舐めまわすかのごとくつきつけられる視線がない分、歩きやすかったともいえる。
目の前のウルフパークで武装した強盗団が――もしかしたら今いるかもしれない――なんてことは夢のまた夢のようだった。
それでもホテルにたどりついた時は、大冒険を成し遂げた少年のような居心地でいた。
しばらく、頭や胸の中の火照りを冷ますつもりで、ホテル内の土産物屋を冷やかしてみることにした。
実は、例の「宝塚」のオネーチャンが同行のお友だちとウィンドーショッピングに勤しんでいるのをあざとく見つけたのであった(笑)。
私って、なんなんでしょう・・・・・・・・。
私はお呼びじゃないハイエナのごとく彼女らに近づいていった。
今、彼女たちはブックストアから仮面や彫刻の店へ入った。
私も続く。
私はタンザニアのマコンデ族が黒檀を用いて彫刻したマコンデ彫刻を、全然興味ないくせに手にとり、
「わぁー。けっこうお値打ちなんですねぇ~~。アフリカといえども~~」
と彼女に目線を向ける。
突然のことで、彼女は少し驚いた様子であったが、微笑を返してきた。
さて、糸口は整えた。
ここから、お話の花を咲かせていくのである。
が、お話を咲かせたのは、成田空港で私が男と見間違えていた、「彼女のお友だち」とであった。
――お後がよろしいようで――
「ちょっと、夕食に行くの、みんな、車でずっと待ってるんですよ」
聞き覚えのある声で我に帰った。
ムンバイ空港で数多いひとのなかからたった二人が「選ばれて(?)」荷物検査を受けたよしみで仲良しになったOだった。
―あんたの大声で宝塚ちゃん、引くやん!・・・・・え?みんなが待っている?―
いけね、今晩、ミートゲームで有名な「カーニヴァル」へ行く時間をすっかり忘れていた。
いや、忘れていたというよりも、インド時間からケニア時間に時計を巻きなおさないままで、勘違いしていたというほうが正しい。
ここで行っってしまったら宝塚とは永遠のお別れになるかもしれない。
「ごめん、僕はここに残るから」
と言おうか言うまいかマコンデ彫刻を手にしたまま店内を見渡したが、すでに宝塚たちの姿は消えていた。
彼女と夜景を見ながらのディナー(たとえ、彼女のお友だちがお供でも!)が幻となった―――。
手にしていたマコンデ彫刻の顔が私に向けて、口を大きく広げて笑っていた。
―― ナイロビは今日も日が暮れて、黄昏て ――
ナイロビはすっかり黄昏ていた。
私の気分もすっかり黄昏ていた。
Oちゃんが車中で口やかましい。
「また失敗してぇー(笑)。Sさん、他の車はもう行っちゃいましたよー」
「また、って何よOちゃん、聞き捨てならないなぁ」
「遅れた罰。とおぉぉぉぜん、今夜は全員に驕り!ですよねぇ~」
黄昏ていたのはそんな訳で、ではない。
長い足、ストレートのジーンズがよく似合い、髪はほんのり染め上げショートカットで、顔が小さく鼻筋がスゥーッと通っていて、サファイヤのように輝く瞳、の持ち主・・・あの人を思って・・・・。
誰か、救急車をお願いします。
「カーニヴァル」に到着したときには、あたりは真っ暗になっていた。
ジャングルをイメージしたテラスのテーブルにはムンバイから一緒だったそのままの顔が揃えていた。
だのに、なんであの娘さんだけ別行動なのよぉー。
やっぱり、こんな観光レストラン、断ればよかった。
私はしつこいが、当たり前のように私の横に座ったOもしつこい。
「当然、全員に奢りですよねぇ~」
「・・・・・・ヒーフーミー・・・・・」
数えたら22名いた・・・・・。
「こめかみあたりがピクピクしてる」と、Oがからかう。
「それぞれコースが違うだろうから、一夜を共にするだけでそんな義務あるかいっ」
結局「DAWA」というカクテルを一杯注文し、それを回し飲みさせるという、とてもせこい懺悔の証にかえさせていただいた。
「あーーせこいっ」うるさいOちゃん、わかってるってば。
周囲のみんなは状況がつかめていないのか、それでもわずかな人から失笑がもれてきた。
自分のせこさを紛らわすため、でもないが「カーニヴァル」を散策してみた。
厨房を覗くと、大勢の男たちが串刺しにした肉の塊をグリルしていた。
食欲が多いに沸く。
この店はセット料金を払うと食べ放題のシステムである。
席にもどると、この店に同行してくれたガイドが一石ぶっていた。
「ゾウは固いね。ライオンは肉食だから、臭い。ああっ、キリンはいけるね。動きが激しい首あたりがまったりしてて美味いんだよね。いけるんだよぉ~~。今晩は、こんなもん、ご用意してますです」
ホテルでガイダンスしていたパトリックとは別のこの男(と、いっても、パトリックとあんまり区別つかないんですけど・・・)は、今晩のメニュウを誰かに尋ねられたのか、流暢でかつヘンテコな日本語で説明していた。
ゾウだの、ライオンだのという言葉を聞く度、彼の周りのテーブスはざわついていた。
「もちろん、冗談やけどね」男はウィンクしてそう締めくくった。
「なーんだ」また、それに応じて歓声をあげる平和なひとびと。
ほどなくして、串に刺された肉塊をボーイがうやうやしく運んできた。
ボーイは一人ひとりの皿へナイフで器用にそぎ落とす。
一昔前流行ったブラジルのシュラスコ料理、そのものの要領だ。
牛、羊、ソーセージ、鶏、ターキー、平凡といえば平凡だか、シマウマの肉もあるのがアフリカらしいといえばアフリカらしかった。
シマウマは「食用」に飼育されているらしい。
珍味シマウマであるが、私にはアフリカの瘤つき牛と同じく固くパサパサしていて、その違いがわからなかった。
私はひたすらビールを飲んでいた。
ケニアは「タスカ」が有名なビールだ。
瓶に象をあしらったなかなかお洒落なラベルである。
タスカは5種類ある。
タスカ、ラガー、プレミアム、エキスポート、ピルスナーと豊富にある。
どれも味わい深く、うまい。
今晩以降、サファリ中の各ロッジで色々なタスカを楽しめた。
ケニアのひとびとはビールを冷やして飲む習慣がない。
「お腹に悪いし、生ぬるいほうが美味いよ」らしい。
日本人には物足らないのであるが、「バリディ・サーナ(とても冷えたの)」と伝えれば、なんとか冷えたビールを持ってきてくれる。
最近は、日本人の多いケニアのこと、黙っていてもバリディ・サーナなやつが供されるらしい。
旅中、飲み物ではタスカの他にフラミンゴの絵をあしらったラベルのナイバシャという赤ワインが飲みやすくて美味かった。
ナクルの高級ロッジで675シリング(98年当時、1KS(シリング)=約2.5円)とお値段もお手頃であった。
ミネラル水はアンボセリの200シリングからナクルの140シリングまで値段に開きがあったが、すべて観光客用価格であるのはいうまでもない。水はしょせん水であるが、生水厳禁のケニアにあっては欠かせない。
ただし、帰国前、昼食に立ち寄ったナイロビの「ホテル690」ビルの一角にある日本料理店「赤坂」の店主によると、
「ケニアで生野菜を食べました?ああ、朝食のサラダなんかで(笑)。ジュースも飲んだ?全部、生水使用ですよ(笑)」と笑っていた。
「お腹が膨らんできた食事中になんなんだけど」隣のOちゃんに威厳を回復するため(笑)、ちょっとばかし講釈を垂れた。
―――ケニアで怖いのは、暴漢ばかりではない。
いや、むしろもっと怖い存在がある。
「彼ら」は、なかなか見えざる者であるのでよけい性質が悪い。
「感染症」である。
Oに、俄かかじりの講釈垂れた講義内容は以下の概要である。
感染症には、おもに昆虫による感染と皮膚からの感染、飲食による感染がある。
「マラリア」は、ハマダラ蚊に刺され発病を起こすアフリカで最もポピュラーなものだ。
潜伏期間はまちまちで、嘔吐、悪心、下痢、肢体痛などの症状で、その昔ヨーロッパを視点とした「アフリカ探検」が盛んな頃、多くの探検者はこの発病を原因として命を落としていった。
「黄熱病」は、ウイルスをもつ蚊に刺されることにより発病。悪寒を伴う高熱が続き、血液の混じった嘔吐、死にいたることも稀ではない。
「眠り病」の感染は、マサイ族の牛たちが次々と倒れていくツェツェバイにより、この病気も発熱を伴い、やがてリンパ腺が腫れ、昏睡状態に陥る。
「フィラリア症」は、寄生虫病のことである。
高温多湿な地域でしばし発症し、慢性期には、「象皮病」という奇病に発展。
続いて、皮膚からの感染では、「砂ダニ症」がある。
海岸地方では、足の指と爪の間に卵を産み付けられるのに注意。
「破風症」は、外傷により菌が生まれる毒素により神経麻痺、心臓麻痺なり、死にいたるケースも高い。
「狂犬病」は、犬やマングースなどに噛まれることにより感染し、頭痛から始まり、不眠、呼吸困難などに陥り、発症するとまず100%近い致死率である。
「住吸血虫病」は水中から感染する。
血尿、血便から進み、肝硬変にいたるケースが多い。
飲食による感染は「赤痢」がある。潜伏期間は数日以内で、血便性の下痢、悪寒、発熱に悩まされる。
「腸チフス」は、発熱から徐々に高熱を伴う。
「コレラ」は、コレラ菌特有の下痢、嘔吐、脱水症状、そして意識障害などに陥る。
その他にも、「サルモレラ菌」、「腸炎ビブリオ」、「黄色ブドウ球菌」などの細菌性食中毒がある。
「ちょっと、Sさん・・・・・・。食欲減退するじゃないっ」
「配られる肉、ほとんど食べたくせによく言うよ(笑)」
そして、今日、アフリカ大陸発祥とされるウイルスで避けて通れないのが、「エイズ」である。
感染すれば、一週間から八週間くらいで血栓抗体が陽性になり確認される。
発病にいたるまでは3年から10年かけての潜伏期間がある―――――。
他にも挙げれば枚挙のいとまがない。
こんな話をしていたせいばかりではない。
時差のせいか、だんだん眠たくなってきた。
それに高度1600メートルにあるナイロビの夜の冷気ですっかり食欲をなくしていた。
もう帰らない?
その時、斜め前に座っていた女の子に目が向いた。
彼女もウツラウツラしながらも、それでいてなんとはんなりしたお顔・・・・・。
あれ?ナイロビのホテルでのザンギリカットの娘さんだったっけ?
どうも印象にない。
しかし、私は急に生気が戻ってきた。
いったい、動物のサファリなのか人間のサファリなのかようわからん状態だった。
―おっちゃんおっちゃん・・・・・・― 妻の突っ込みがまた届いてきそうだった。
さぁ、ホテルに戻ろう――――明日はコースの同伴者たちがわかる。
きっとこの娘といっしょでありますように・・・・・・・・・。
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