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テーマ: 回想(14)
カテゴリ: 思い出
昨日の続きを書きます。

私を守ってくれたたった一人のマツオカ先生。
そのマツオカ先生に守ってもらわなければならなかった
発端の事件について書きます。

この話は多分全部を形にするのは初めてです。
人にはなかなか言えない事でした。





私は高1の秋の運動会で応援団に選ばれました。
生徒会執行部の応援団員でもあったので選ばれました。

私の入った高校は男女共学で、


色んな準備を沢山しました。
応援合戦用には「黄色いさくらんぼ」を選び、
スコート姿の女子が高い壇の上で踊る事になりました。
男子が少な目の割合だったので、
女子が中心になりました。

ぼうっとしている私は手伝い役でした。
中心になっていたのは活発ではきはきしているKちゃんでした。


Kちゃんは小柄でぽっちゃりタイプの
大変なおしゃべりで行動的でした。

誰もKちゃんにはかないませんでした。
何がかなわないかと言えば、

どんな時にも誰もかなわないのでした。

でも一見すると、
小柄で可愛らしく振舞うため
本性はめったに見えません。

そしてその本性を見たのは私だけだったのかもしれません。



Kちゃんを中心にして男子が行動し、
1年生連合は上級生を差し置いて
競技も応援も両方が1位になりました。

それですっかり浮かれてしまった私達運動会の応援団は
ちょっとしたお菓子や飲み物を持って近くの神社に行き
10人くらいで打ち上げをしました。

私の家は帰り時間についてはうるさかったのですが
浮かれていたのですっかり大胆になってしまい
ワイワイと大騒ぎをしていました。

今となっては何をしていたのかはっきり覚えていないのですが
とにかくこっちの数人と騒ぎ、
あっちの数人と騒ぎ、2人だけで話をし、
又数人で騒ぐを繰り返していました。


林に囲まれた人の来ない神社では
時間も常識も遠くに感じて、
私は時間なんかどうでもいい気分になって行きました。

気付いた時には
帰らなければいけない時間をとっくに過ぎていました。

これが生まれて初めての反抗だったのだと思います。
帰りたくない家なので、
帰りそびれたらどうでも良くなってしまったのでした。

どうせ遅れて殴られるのなら、
もっと遅れたって殴られるのだし、
どうでもイイヤと捨て鉢な気持ちでした。


そのうち一人帰り、2人帰りして
残ったのは男子が3人と私とKちゃんでした。

多分11時近くに高校の近くで男子達と別れて
私とKちゃんは歩いていました。

すると国道の手前で男子達が
警察官に職務質問されているのが見えました。


Kちゃんが瞬時に近くの店の看板の陰に隠れました。
私もつられて一緒に隠れました。

後になって考えると、
この時が大事な「選択」の分かれ道でした。

私は何も考えずにKちゃんの真似をしただけでした。
全く何も分かっていませんでした。

何故隠れたのか?隠れる必要があったのは何故か?
Kちゃんは警察官を見て何を考えたのか?
Kちゃんはどんな少女だったのか?

私は素朴な幼い子供だったので何も分かっていませんでした。

あの時隠れずに警察官に見つかっていたら
怒られただけで済んでいたかもしれません。


やがて男子達から話を聞いた警察官は
こちらに向かって来ました。

私たちの隠れている看板の前を通り過ぎて
高校の方へ行ってしまいました。

Kちゃんはしばらくしてから国道の方に歩き出しました。
すでにその時には家に真っ直ぐ帰れない気持ちになっていました。

なんだか分からないけど警察に追われているのですから
「遅くなってゴメンナサイ」だけでは済まないような気がして
とにかく逃げなければいけないと思ったのでした。

おかしなもので、
殴られる覚悟で帰ろうとしていたのに
追われていると分かったら
逃げなければならないと思ったのです。


Kちゃんは「国道を歩いていると見つかるから」
と言って脇道に入りました。

そして一晩中2人で畑や田んぼの中を歩きました。
今思えば、人に見つからないようにと
Kちゃんが人気の無い所を選んでいたのが分かります。

私は眠くて眠くて、
モウロウとしながら歩いていました。
この時歩きながら寝る、を経験しました。
ひたすら歩いていました。

明るくなりかけた時にKちゃんは国道に出ました。
その頃の事は眠くて私は殆んど憶えていません。

Kちゃんは手を挙げて車を止めました。
止まった車の後部座席に乗せてもらいました。

その後は2人ともドロのように眠りました。

時々目が覚めて見た景色や
前に座っている三十代の男性二人の会話から
車は新庄を抜けて庄内地方に入り
酒田で用事を済ませてUターンして
山形を通り過ぎて夕方に上山で止まりましました。

上山の旅館では二階の座敷にご馳走を並べてありました。
私とKはセーラー服のまま2人の男性と一緒に二階に行き
ご馳走を頂きました。


私は疑いを知らない子供だったので
その男性たちがやたらとビールを勧める理由が分からず
「ビールはお父さんの晩酌を少し飲んだ事があるよ」
なんて無邪気に浮かれて話していました。

何しろ前日の夕方に家に帰りそびれてから
非現実的な出来事の連続となっていたので
私には何がなにやら掴めずにいたのです。


Kがトイレに行き、私一人になると
男性の態度が一変しました。

私の手を掴んで
無理矢理隣りの部屋に引き摺り込もうとしたのです。

すると、隣りの部屋には布団が敷いてありました。

その頃の私は男女間の性については全く疎くて
本当に何も知りませんでした。

でも布団が敷いてあるのを見た時に
鈍い私の中で危険信号が鳴り響きました。

何だか分からないけど、
とにかく全力で抵抗しました。

暴れて騒いでいるとKがやって来て
押入れの中から学生カバンを取り出し
次いで私を引っ張って助け出すと階段を駆け下りました。

Kに助けられて泡を食って逃げる私の目に
そこの旅館の家族が一階の茶の間で
団欒をしているのが見えました。

5人くらいでお茶を飲みつつテレビなんかを見ているのが
逃げる私の目にくっきりと焼き付きました。


旅館の団欒の一瞬は日常的。
布団に引きずり込まれそうになって逃げ出す私は非日常的。

日常と非日常の一瞬の出会いの瞬間を
私はとても強く記憶に刻み込みました。


私にとってそれは晴天の霹靂でした。

私が女だなんて、自分で意識した事も無く
自分でそれを他人に許したことすら無いのに
知らない中年の男性に踏みにじられそうになったんですから
晴天の霹靂としか言いようがありませんでした。

自分でも知らない事でしたから。
自分が男性から見たら女だなんて知りませんでしたから。

何しろ学校の廊下の水道で頭を洗って
水を滴らせて平気だった少女です。
後頭部を虎刈りにしてしまっても
平気で歩いていた少女です。

その後、肉体を憎んだ少女です。
知るわけ無いじゃないですか、
男性の肉欲なんて。


旅館の外に転がり出ると
そこにはタクシーが待っていました。

そのタクシーに乗って逃げ出しました。
Kはトイレに行った振りをしてカバンを押入れに隠し、
タクシーを呼んでいたのです。

なんと用意周到な16歳でしょうか。
あの雰囲気からKは危険を察知していたのです。

Kは何もかも知り尽くした16歳でした。
片や私は何も知らない素朴な15歳でした。
(誕生日が3月なので、いつも1歳若いんです)


そうしてKと私は上山駅に行って
下りの電車ホームに立っていました。

何故そこでKが帰る気になったのか
そこで逃避行を止める気になったのか。

でもそこで帰っていなければ、
又どんな危険な事に遭遇していたのか分かりませんから
とにかくよくぞ帰ったと思います。

私はと言えば、
あまりの非現実的な出来事に圧倒されて
本来の判断力の無さを倍増した無知になっていましたから
帰るとか帰らないとか、
そんな事を判断する状況には無かったのです。

ただ、Kちゃんの先を見通す観察力と判断力に
驚いていたのでした。


するとそこへ私を布団に連れ込もうとした男性が来て
私とKに千円ずつを握らせて
「この事は黙っててくれ」と言って帰って行きました。

電車の中ではKがいわゆる「口裏を合わせる」ために
私に色々と教え込んでいました。

一晩中歩いていて山形の近くまで行って
電車で帰って来た事にしよう。と。

車に乗せて貰って恐ろしい目に合った事は
言わないようにしよう。と。


高校のある駅で降りると、
調度ホームに同級生達がいました。

仲の良い子が私達を見つけると駆け寄ってきました。
そしてそのうちの一人が「心配させてバカ!!!」
と言って私とKちゃんの頬を叩きました。

心配したために愛情から叩かれたのは初めてでした。
親が言う事を利かないからと言って叩く往復ビンタとは違って
どこか甘い愛が感じられました。

「私は今、愛情で叩かれた」と自覚できました。
だから痛くありませんでした。

叩かれて感動したのはこの時だけです。


泣きながら叩いた友達を見ていて初めて
私達が帰らない事で皆に心配を掛けた、と知りました。

それまでは皆がどんな思いでいるか
なんて考えてもみませんでした。

親が怒る。
親に殴られる。

それしか考えていませんでした。



高校に行くとすぐに校長室に連れて行かれました。
親も来て、狭い校長室は沢山の先生方とで
ギュウギュウ詰めになりました。

校長先生はとても優しい穏かな方なので
あまり騒ぎにはなりませんでした。

Kは先生方の前でわんわん泣いていました。
涙をボロボロこぼして泣き続けました。

大人の前では泣いていた方が反省しているように見えて
受けがいい事をKちゃんは知っていたのです。

そして当時の私はそんな事は考えてもいませんから
とにかく非現実的な出来事の連続に
神経がすっかりやられてしまってボーーッとしていました。

その姿は教師達から見ると泣きじゃくるKが素直な子に
反応の無い私はふてくされた子に写っていたようです。

それでそれ以後、
私がボスでKが着いて行ったと判断されたようです。


何しろ優しい校長先生は余計な事を聞くな
とオフレを出していたようで、
細かい事は一切聞かれませんでした。

それで先生達は見た所を情報源に
考えを広げていったのです。

だから私がボスでKが子分、
と言うわけでした。


何しろ私が教師の娘と言う事と
知能指数がすごく高いと言う事が
悪い方に取られました。

でも大袈裟ではなく私は物凄く幼かったのです。
多分、今の小学高学年より幼いと思います。

不良が本当にいる事も知りませんでしたから。
Kちゃんと仲良くしている事がどれほど危険な事か
全く知りませんでしたから。


あまりKちゃんが泣くので
校長先生の計らいで「しばらく2人だけにしてあげよう」
と言って全員が校長室から出て行きました。

2人だけになると泣きじゃくっていたKちゃんが
ぴたりと泣き止みました。

そして目に当てていた手を外して私を見ました。
私はまだ意味が分からずKちゃんを見ていました。

するとKちゃんはペロッと舌を出して
「上手だろ」と笑って言いました。

直前までKちゃんは
泣きながらわんわん涙を流していたのです。

私は意味が分かりませんでした。

ただ「あれは嘘泣きだったんだ」と気付きました。
そして何故嘘泣きが必要だったんだろう?と考えました。

でもその頃の私には大人の事も事の裏側の事も全く解らず、
Kちゃんのしている事の意味が解りませんでした。


長くなったので続きは明日書きます。





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Last updated  April 8, 2017 11:47:26 PM
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