4年生、初のてんかん大発作



授業参観でも、親が見ているからといつもと違うことはしない。自分で考えろと言われるだけあって、子どもには不親切だ。「AはBですよ、さあおぼえて」ではなく、「これがAだ。どうしてこうなるのか考えて。」という形式。今日はじめて習う子どもではとてもついていけない内容だ。わからないから質問、というのはダメで、「こうなると思うんですが先生どうですか?」という自分なりの推論が要求される。

普通の授業でもついていけないAには、とても高度な内容の上、宿題も多い。授業が進まなかった部分まで、宿題として出されるため、Aはお手上げになった。先生に「宿題が多いので、減らしてください」とお願いしたが、「他の子は全部仕上げて持ってきてますよ。Aちゃんだけ特別にはできないし、第一宿題もできないようじゃ遅れるばかりでしょう。将来困りますよ。」

国語の書きとりは難行苦行、一枚のプリントを仕上げるのに何時間もかかる。計算は得意なので問題なしと思ったが、学年が進むにつれ活字や回答スペースが小さくなり、文字を書くのは苦手なAには、答えを出す時間より書き込む時間の方が長くかかった。

宿題を全部こなすと、9時ではおさまらず、10時を過ぎる日も多い。もともと体が弱く、月に何回かは通院するAにとっては、睡眠不足は死活問題。「睡眠不足では翌日の授業にもさしつかえますから、宿題を減らしてください。」

先生はしぶしぶだったが、「できなかった日は、できない理由を保護者が書いてこちらに知らせてください。特例として認めます。」と言ってくれた。

ほっとした矢先、Aは学校で倒れたのだった。

授業参観日のことだった。教室での授業もあるが、体育館で子どもたちの合唱もあるという。私も夫も体育館へ入って、Aの出番を待った。「もうしばらくお待ちください」と放送が流れる中、前のほうで「バタン!」と大きな音がした。椅子か机でも倒れたのかなあ、と思っていたら、「子どもが倒れた!」「Aちゃんだ」と声がした。人ごみをかき分けあわてて前へ行くと、Aが青い顔で横になっていた。しばらくして目を開けたものの、反応がなく、ちょっと心配になった。

「あれ?どうしたの・・・」「倒れたんだよ、覚えてないの?」「わからない・・」徐々に血の気がさしてきて、みんなほっとした。「多分、貧血でしょう。お母さんたちがたくさんくるから、緊張したかな?」養護の先生はそういったけれど、私はAに記憶がないことが気になった。

念のため、大きな病院で脳波を取ってもらったが、「異常なしです。多分貧血だったのでしょう。」という結果だった。私は以前も同じことを言われたことを思い出し、「本当に大丈夫なんだろうか?」と不安になった。後からわかったことだが、これがてんかんの発作だったのだ。けいれんもなく、発作の時間も短かったため、ここでもAの発作は見過ごされてしまった。

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