新しい園で



普通と違う、この違いは何なのか、おしえてくれるところを探して回った結果、行き着いたのは大きな病院。予約を取るのに時間がかかったので、診察が受けられたころにはBは新しい園に通っていました。

Bの診断名はアスペルガー症候群。知的な遅れもあるものの、言葉の遅れは少ないのでこの診断になりました。最初の感想は「ああやっぱり」で、特にショックはなくやっと診断できたかという気持ちでした。

Bは新しい園でもマイペースでした。個性豊かなBはいままでより大規模な園では呆然とするかキーキー泣くかで、迎えに行くと真っ先に飛びついてきました。

入園後しばらくして、園の先生と話をする機会があったので、担任の先生も含め主なスタッフを集めてもらい、診断名を伝えました。

最初の反応は「(年齢相応のことが)できないし、わがままだし、すごく甘やかされたお子さんだと思っていたんですが、障害児だったんですか!」というものでした。Bの個性の主な部分は障害をコントロールできないことや、言葉の理解力の不足から来ること、わかったつもりにみえても本人は情報をまとめる力が弱いので、噛み砕いて説明してほしいことなどを、話しました。

・「いい子にしてね」といわれて「はい」と返事をしても、何もわかっていないか勝手な判断をしていると思うので、「先生が来るまでしゃべらないで座っていてね」「机の上のものは触らないでね」のように具体的に話してほしいこと
・「好きなことをしていいよ」というのが何を意味するのかわからないので、「外で遊んでもいいしお部屋でおもちゃで遊んでもいいよ」のようにイメージがわくように言葉をかけてほしいこと
・「明日は運動会の練習です」と言われてその場ではわかっても、翌日になっても実感がわかないので、あらためて「今日は運動会の練習で、9時になったら外でかけっこをします」と細かいスケジュールを教えてほしいこと

幸い担任の先生が飲み込みの早い方で、「ああそういえばわかるんですか、いままで通じないのでどうしてかなと思ってました」というお返事でした。

Bはこの先生に非常になつき、写真を撮るときなど先生の横かひざの上を独占していました。一時はどうなることかと思ったのですが、Bは徐々に慣れ、行事にも参加できるようになっていきました。

苦手なのは工作や絵を描くこと。筆圧が低い上、不器用で目も遠視性の弱視で、ものを見て操作することはBにとっては難行苦行でした。

「できないことが多いと思いますが、発達の遅い子なので大目に見てください」うまくさせよう、上手にさせようとする先生もいらっしゃるので、この要求はなかなかとおりませんでした。




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