いなかの猫の天邪鬼部屋

第3話

OnAir~シーズン2・第3話~


#-1 ドラマ班会議室

(ギョンミン、セア、ジウンが入って来て対座する。)

ギョンミン : まず俳優のキャスティングから考えてみましょう。

セア : そうですね。でも...シノプシスは出来ましたけど、キャラクターがまだ明白になっていませんから。

ギョンミン : そうか...。これは時空を超越した愛の話だから...ヒロインのキャラクターはどんなふうにしますか?

セア : 今までの映画などにあったようなキャラクターにはしたくないので...監督のお考えは?

ギョンミン : 俺は....文章を書く仕事じゃないから。

セア : それでは私の考えどおりに書いてもいいですか?

ギョンミン : 勿論です。まず3話まで書いてもらえれば。それで何かが見えますから。

セア : 今の考えでは、普遍的なキャラクター構成とはちょっと逆の方向に持って行きたいのですが..

ギョンミン : 逆の方向に?

セア : はい。今まで試されていない事ではないと思いますけど..時空を飛び越えるうちに男主人公と女主人公が入れ替わるというのはどうかと思って。

ギョンミン : 生まれ変わりの話をひと捻りするという事ですか?

セア : はい。反転させるというやり方で。

ギョンミン : それだと視聴者の気持ちをとらえるのは難しいんじゃないかな? 男主人公と女主人公の性格をそのまま入れ替えるわけにもいかないし..ちょっとぎこちないんじゃないかと思いますが。

セア : ぎこちなくならないように書きます。とにかく平凡には書きたくないというのが私の考えです。

ギョンミン : 分かりました。来週中には見たいから、まず3話分だけ書いて下さい。

セア : ちょっと難しいですね...出来れば半月、時間をいただければ..

ギョンミン : 今7月ですが、来年1月に放送予定だからぎりぎりなんです。申し訳ないけど余裕がないんです。

セア : まだ5ヶ月も残っていますが...

ギョンミン : シナリオが出てから順調に行くかどうかも分からないし、キャラクターを決めて俳優をキャスティングして放送前に8話までをあらかじめ撮影しようとすれば、これでも余裕があるとは言えないんです。

セア : 分かりました。では書きます。

ギョンミン : (ジウンに) 何か言う事は?

ジウン : 私は特には。まだ決まっている事はないから。シナリオが出たら会議とか色々あるけど。

ギョンミン : 分かりました。(セアを見て) お疲れ様でした。今日は食事でも一緒に出来ればいいんだけど...俺がちょっと急ぎの仕事があるから。

セア :...あ、はい。私も先約があります。それでは。

ギョンミン : はい、よろしくお願いします。

セア : (ギョンミンを見て )こちらこそ。


#-2 日本料理屋個室

(ヨンウン、ヨンチョル、ソンミン、座って食事中)

ヨンチョル : 今日はこんなふうにキム代表にご馳走していただいて。

ソンミン : いいえ。一度ご招待したかったんです。(ヨンウンを見て)ソ先生、どうぞ召し上がってください。

ヨンウン : はい。なんだか....こういう席はちょっと緊張しますけど。

ヨンチョル : 何をおっしゃるんですか。我々は、普段全て分かり合えているからこそ、更にお互い働き易くなるようにこうしているんですよ。それに、キム代表はうちのドラマの主演俳優の企画社社長なだから、当然こんな席は必要なんです。

ソンミン : (微笑たたえて) ソ先生と一度一緒に仕事をしたかったんです。メロだけを上手く書くのかと思っていたのですが、深みのある作品も上手く書かれますから。面白いです。

ヨンチョル : 面白さに関してはソ先生の右に出る人はいないでしょう、国内には。

ヨンウン : まあ...そこまでは...(笑)

ソンミン : ノ監督のおっしゃる通りです。今日は私がファンとしてもてなすのですから、思う存分召し上がってください。

ヨンウン : (淡いほほ笑み) はい..

(ヨンウンの電話のベルが鳴り、ヨンウン電話に出る。)

ヨンウン : もしもし。

ギョンミン : 俺だ。今どこ?

ヨンウン : うん...今はノ監督と食事中なんだけど...

ギョンミン : 会議中?

ヨンウン : そうなんだけど...

ギョンミン : どうした?語尾が曖昧だぞ。

ヨンウン : 別に何もないわよ。..(電話の通話口を押さえて2人に) 申し訳ありません。(立ち上がって部屋を出て行く)

ヨンウン : 監督は今どこ?

ギョンミン : 放送局だ。俺は会議が終わったけど。そっちのチームはまだか?

ヨンウン : いや、会議は終わったんだけど。

ギョンミン : それで?

ヨンウン : 4シーズンのキム・ソンミン代表が夕食をご馳走してくれてるの。

ギョンミン : 4シーズン?キム代表がどうして?

ヨンウン : さあ...次の作品に自分のところの俳優を使ってくれという事みたいよ。

ギョンミン : .....

ヨンウン : もしもし?

ギョンミン : ...(ため息) 今7時半だから1時間以内に仕事部屋に来いよ。

ヨンウン : 1時間以内は無理よ。ここからそこに行くだけでも40分は掛かるわ。

ギョンミン : じゃあ1時間30分。

ヨンウン : もう。どうしたのよ。私にご飯も食べさせないの?

ギョンミン : 仕事部屋で待ってるから。(電話切る)

(ヨンウン、切られた電話を見て困っている。)

ヨンウン : (部屋に入って行って) あの、申し訳ないんですが..ちょっと忙しくて..

ヨンチョル : え?どうなさったんです?ソ先生。

ヨンウン : 急に用事が出来たんです。今日はもう失礼します。

ソンミン : では食事だけでも...

ヨンウン : いいえ。出来ればそうしたいのですが.. 本当に申し訳ありません。お詫びに後日、今度は私の方でご招待しますから。

ソンミン : ..そうですか。名残惜しいですが仕方ないですね。

ヨンチョル : あの、ソ先生がいなくて私はこの席でどうすれば..

ヨンウン : (頭を下げて) それでは失礼します。

ソンミン : はい。

ヨンチョル : 私はどうすれば...

(ソンミン、少しの間ヨンウンの後姿見る)


#ヨンウン仕事部屋

(ヨンウン、入って行って)

ヨンウン : 監督...?

(ギョンミン台所でカップめんを食べる準備。ヨンウン驚いて近付いて)

ヨンウン : まあ。どうしてこんなものを食べるのよ。

ギョンミン : いいじゃないか。一度くらい大丈夫さ。

ヨンウン : ダメよ。(そう言ってカップめんを紙袋に押し込む) はい、これ。

ギョンミン : 何?弁当か?

ヨンウン : お寿司よ。私も何も食べないでここに来たから。

ギョンミン : ...どうして?食べて来なかったの?

ヨンウン: あのね...1時間で来いと言ったのは誰?10分で何を食べられる? かえって何も食べない方はマシよ。

ギョンミン : (にっこりと笑って) だから1時間半に延ばしてやっただろ?

ヨンウン : それはそれよ。(笑って弁当を取り出す)

ギョンミン : (見る) 自分が好きなやつを買って来たんだな。

ヨンウン : そう見える?すごく考えて買って来たのに..。じゃああなたは食べないで。私が全部食べるから。

ギョンミン : どうしてそうすぐ突っ掛かるんだ?のり巻きを一人でそんなに食べるのか?

ヨンウン : .....(無言で食べている)

ギョンミン : 腹が減ってるんだよ。早くくれ。イヤならさっきのカップめんを返してくれよ。

ヨンウン : まったくもう....はい、どうぞ。

ギョンミン : (笑って) たくさん買って来たんだな。3人前?

ヨンウン : うん。

ギョンミン : ところで..チュニのママ。

ヨンウン : え?

ギョンミン : チュニは夕飯を食べたか?

ヨンウン : ええ。今はママの店にいるわ。後で迎えに行かなくちゃ。

ギョンミン : チュニとちょっと仲良くならないとな...

ヨンウン : チュニと?チュニが何か言ったのなら...チュニは自分のママがすごく好きだから。理解してあげて。

ギョンミン : ...パパがすごく好きだ...そんなふうだったよ...

ヨンウン :.....それは...自分のパパだから...

ギョンミン : ところで、どうしてチュニを会わせてるんだ?

ヨンウン : え?何の事?...ああ、パパの事ね。それは...あの人が私にした事を考えると不当だけど、チュニにとってはパパだから。実は...私がちょっと大変でそうしている面もあるの。チュニが7歳の頃からロンドンに行かせ始めたの。 私はその頃本当に忙しくて。覚えてる?チケット・トゥ・ザ・ムーンの時、7歳の姿を描くのに苦労していた事...。チュニが7歳の頃、あの子はほとんどパパの所に行ってたから...

ギョンミン : ..チュニのパパは?

ヨンウン : 何?

ギョンミン : 再婚とか..そういう話は...

ヨンウン : 分からないわ。今はそんな話は聞いていないけど....。ねえ、監督が気にしているのはチュニ?それともチュニのパパ?

ギョンミン : チュニだよ..。チュニのパパには...感謝してる。

ヨンウン : え?

ギョンミン : チュニのパパが君を離してくれて、俺は感謝してるんだ。...いやその、ホントは感謝しちゃいけない事なんだろうけど...
(ヨンウンの手を見て) あれ、指輪は?

ヨンウン : 指輪?ああ、うっかりしてたわ。(ハンドバッグから指輪を取り出して)さっき手を洗おうとして...

ギョンミン : 錆びるような指輪じゃないからつけておけよ。

ヨンウン : 錆びる心配をしているわけじゃないわ。ただ...勿体無くて..

ギョンミン : まったくもう...婚約指輪を勿体無がる人がどこにいるんだ?つけるのが勿体無いような物ならあらかじめ渡したりしないよ。

ヨンウン : ...婚約指輪なの?

ギョンミン : それは婚約指輪だ。

ヨンウン : 約婚式もしてないじゃないの。

ギョンミン : プロポーズを受けて指輪をはめたら、それで婚約だ。

ヨンウン : じゃあ...監督も指輪をつけて。

ギョンミン : 俺は指輪はないんだけど。

ヨンウン : 私が買ってあげる。

ギョンミン : 俺は指輪みたいな物はつけないよ。

ヨンウン : それだと婚約を一人でするみたいだわ。

ギョンミン : 俺はつけなくてもいいんだ。

ヨンウン : イヤよ。監督も指輪をつけて。

ギョンミン : 俺はつけなくてもいいと言ってるだろ。

ヨンウン : じゃあ私もつけないわ。

ギョンミン : ...(ため息) 指輪をください...

ヨンウン : え?

ギョンミン : (ヨンウンが手に持っている指輪を再びはめてやって) 指輪をつけてください。イ・ギョンミンを愛しているという事を表示してください。

ヨンウン : ...(負けたと言うように)分かりました..。ところであなたはどうやってその表示をするの?

ギョンミン : (にっこりと笑って) 俺はこの手を洗わずにいるよ。

ヨンウン : まったく...(ギョンミンを眺めて幸せな笑い)




(原作出処: sonkhj1116さんのブログ


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