いなかの猫の天邪鬼部屋

第20話

OnAir~シーズン2・第20話~


#ヨンウンの仕事部屋、早朝

(玄関に立ったギョンミンとヨンウン)

ギョンミン : (暖かい目でヨンウンを見て) 少し寝ろ。一睡も出来なかっただろ?

ヨンウン : (にっこりと笑う) あなたこそ...全然寝てないじゃない。これから運転しなくちゃならないのに。

ギョンミン : (笑う) 大丈夫。君が魔法を掛けてくれれば。

ヨンウン : どういう事?

ギョンミン : (ヨンウンの手を引いて抱き寄せ、黙ってキスを催促する。)...

ヨンウン : (幸せな気持ち。優しくキス) ...気を付けてね。...着いたら電話して。...心配になるから。

ギョンミン : (ヨンウンの頬を撫でる) うん...(名残惜しい目でヨンウンを離す)

ヨンウン : (門を開けて出ようとするギョンミンに) 今度はいつ来るの?

ギョンミン : 土曜日?いや、日曜日かもしれないな..

ヨンウン : 私...行っちゃダメ?

ギョンミン : (笑う) 陰口を叩かれるぞ。

ヨンウン : (下を見て、ほろ苦く笑う。) 私は大丈夫だけど、監督の体面が...そうよね...。

ギョンミン : (ヨンウンの弱い姿に心乱れる。) 堪えてみて、それでもダメなら来るよ。会いたいのは俺も同じだから。

ヨンウン : (クスクス笑って) こんな事してたら首になるわね。

ギョンミン : (深刻なふりをして) 今のところは大丈夫だけど...

ヨンウン : (睨みながら笑う。) それ本気なの? 分かったわ。堪えてみる。

ギョンミン : (笑う) 行くよ。あ、出て来なくていから。(ヨンウンの頬にキスして出る)

ヨンウン : (行くギョンミンの後姿を見てとても幸せな気持ち。小さい声で) 少しだけ堪えるわ....


#安眠島、午前

(撮影準備に忙しい現場。ギョンミン、モニターの前に座って準備する。オソク、様子をうかがってギョンミンに近付く。)

オソク : 監督、昨日どこに行って来たんです?

ギョンミン : (テーブルの上のモニターを整えながら) ん?何でだ?

オソク: (笑う) いえ...ただ知りたいんですよ。もしかしてソ作家のところに行って来たんですか?

ギョンミン : (無視) うるさい。仕事しろ。(ヨンウンの事を思い出して口元に微笑が滲む)

オソク: (声を出さずに笑う。) はい。


#ヨンウンの仕事部屋

(机の前に座って作業するヨンウン。たまに幸せなほほ笑みを浮かべる。電話のベルが鳴る。)

ミジュ : (電話に出る。) はい、ソ・ヨンウン作家の仕事部屋です。....(ヨンウンを呼ぶ) 先生!

ヨンウン : (頭を上げる) うん?

ミジュ : 電話です。

ヨンウン : 誰?

ミジュ : (肩をそびやかせて) アメリカですけど。

ヨンウン : (嬉しそうに) アメリカ?出るわ。(受話器受けて) もしもし、キジュンさん?

キジュン : ああ、俺だ。今出発する。

ヨンウン : (笑う) 本当に簡潔ね。

キジュン : 12時間位かかるから空港に迎えに来てくれ。

ヨンウン : もう。偉そうなんだから。私が忙しい人なのを忘れたの?

キジュン : じゃあ来ないんだな。

ヨンウン : (笑う) まったくもう...12時間後なら夜明けね。

キジュン : あ、そうか...そうだな。それじゃ、到着したら電話するよ。

ヨンウン : 分かったわ。.... ねえ、誰かに追い掛けられてでもいるの?なんだか急いでるみたいだけど。

キジュン : 空港にいるから心が急いてるんだろう。どうして?

ヨンウン : (笑う) 分かるわ、その気持ち。


#LA空港搭乗控室

(スンア、緊張した様子。キジュンは浮き立っている。)

キジュン : 緊張する?

スンア : (大きく呼吸する。) 少しね。

キジュン : (スンアを見て笑う。) ...行こう!

スンア : (キジュンの腕を取って) うん....(また大きく深呼吸)

(二人搭乗専用区に向かう...)


#ヨンウンの仕事部屋

(ヨンウン、作業していたが、止める。決心したように電話を手に取る。)

ヨンウン : ....うん..私。


#安眠島撮影場午後

(同じ場面を色々な角度で取るために慌ただしい撮影チーム。ギョンミン、疲れた姿。)

(撮影場所移動する。ギョンミンの後にセアが付いて来る。)

(ギョンミン、疲れて首を動かし筋肉を解きほぐす。セア、ギョンミンを見る。)

セア : お疲れですか?

ギョンミン : (セアを見る) あ、はい..少し。

セア : 揉んで差し上げましょうか?肩が随分凝っているようですから。

ギョンミン : (腰を抜かして)!!...いえ、治りました。

セア : (ギョンミンの反応が面白くて) フフ。警戒なさるんだから。....(寂しい) 保守的なんですね。

ギョンミン : (無表情) 進歩よりは保守が安全だからです。

セア : 保守的な人は概して創意性が不足していると思いませんか?この仕事は芸術なのに ...大変ですよ。

ギョンミン : 芸術と生活を混同してはいけないでしょう?

セア : 人の性向というのは、その傾向ごとに似たような形で現れるものではないですか?例えば、外向的な人は概してうるさくて主動的で、内気な人は静かで受動的なように。

ギョンミン : (セアを見る) 俺は内気に見えますか?外向的に見えますか?

セア : 内気なように見えますけど。

ギョンミン : そうですか。でも俺は受動的な人じゃありません。内気と受動的とは似た感じの言葉だけど。同じ基準で全てを適用させることは出来ないんですよ。

セア : (にっこりと笑って) ..私が言ったのは一般的な傾向です。(口調を変えて) ところで...ないようですね。

ギョンミン : (怪しむ) ?

セア : まだもっと経験が必要だと思われます。人を理解すると言うのは本当に難しい宿題みたいです。

ギョンミン : 何かを理解するためには、ありのままを見るのが重要だと思います。分析して整理するのはその次です。先入観に閉じ込められた観察は、結局は自分の固執だけを育てる結果になるからです。ましてや人を理解するのは...。何よりも、人は変わるものと決まっているから...

セア : 変わるというのは、どういう意味ですか?

ギョンミン : 性格が変わる、価値観が変わる、その他色々です。変わらない人と言うのは動じない人とも言われますけど、それはもしかしたら成長を拒否するという事じゃないですか? 固定観念、自分の性向、自分の固執...こういうものがあると、和解も理解も出来ない人になるんじゃないかと思うんです。

セア : それでは...愛も変わると思われますか?

ギョンミン : ....(セアを見る)俺は、世の中で変わらないものが二つあると思います。

セア : それは何ですか?

ギョンミン : 愛することと信じることです。

セア : (にっこりと笑う) 結局それですね。新しい事はないんですか?...食傷します。

ギョンミン : 新しい事が真正な価値を持つためには、食傷する位の検証が必要です。

セア : ...監督は何を専攻されたでのすか?

ギョンミン : 法です。

セア : ああ、ソウル大法大...。私が言葉で勝つには力不足であるわけですね。

ギョンミン : (立ち止まってセアを見る。)...言葉には考えが盛られるんです。考えは経験が育てるんです。人を理解したければ人を経験してください。

セア : どういう意味ですか?

ギョンミン : ライセンスが必要で留学したのではないとおっしゃいましたね。経験が必要だったと。でも経験は勉強で得る事ではないんですよ。そして短い期間に得る事でもないんです。(再び歩き始める。) あなたはまだ若いから、時間は十分あるでしょう?

セア : (プライドを傷付けられた様子) 監督もお若いのに...私はそんなに幼く感じられるんでしょうか?

ギョンミン : (移動場所に着く。急ぎながら) 人は苦労をすると早く老けるんですよ。


#海辺村撮影場所

ギョンミン : 20分だけ休もう。

オソク : はい。(大きい声で) 20分間休息です!20分後にまた始めます!おやつを配ります!

(ギョンミン、疲れて目を閉じ、椅子に深く座る。)

オソク : 監督、おやつです。

ギョンミン : いらないよ。

オソク: 本当にですか?後悔しないですか?

ギョンミン : (??....!!!目覚める)

(テーブルの上、皿にドーナツが載せられている。ギョンミン、きょろきょろ見回す。)

オソク : (声を低めて別の場所を見て) あそこ...駐車場にいらっしゃいますよ。

ギョンミン : (オソクを見る) !!.... うん!(席から立ち上がる。) 休み時間を10分だけ伸ばそう。

オソク : (笑い隠して) はい!

(ギョンミン、その場から離れる。)


#村のそばの空地

(ヨンウン、車にもたれ掛かって地面を見ている。ギョンミン、ヨンウンを見付けて周りをうかがい、急いで近付く。)

ヨンウン : (人の気配に頭を上げる) ...(黙って笑う)

ギョンミン : (ヨンウン見ながら笑う) ホントに来たのか...?

ヨンウン : ええ。...堪えられるだけ堪えたんだから、怒らないで。

ギョンミン : (暖かい目でヨンウンを見てキス) ...会いたかったよ...(ヨンウンを見ながら笑い、ヨンウンの腰を抱き上げる)

ヨンウン : (笑って) 人に見られるわ。

ギョンミン : (すぐにヨンウンを下ろし、鼻を啜って) ここは明る過ぎるし、遮ってくれる物もないし...

(ヨンウン、幸せな目。ギョンミンを見て止めどもなく微笑滲む。ギョンミン、そんなヨンウンをしっかり抱き締めて..)

ギョンミン : 愛してる...

ヨンウン : (顔一杯に微笑を浮かべ) 私も...






(原作出処: sonkhj1116さんのブログ


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