いなかの猫の天邪鬼部屋

第26話

OnAir~シーズン2・第26話~


#翌日午前、ドラマ局PD室

(ギョンミン、メールでシナリオを確認する。考えて電話する。)

ギョンミン : もしもし?私ですけど。イ・ギョンミン。...文...上手く書けませんか?....送っていただいた 12話と13話を読んでみたんですが、人物がはっきりしませんね。何が問題なんですか?....(ため息) どこが悪いのか分からないなら、俺が一つずつ指摘しましょうか...

(カン局長、通り過ぎながら聞き、しばらく立ち止まっている。)

ギョンミン : 俺が急がせてるからですか?.....分かりました。必ず放映前に完成させなくてもいいですから、ゆっくり書いて下さい。もしそれで分からなければ、初めからまた読んでみて下さい。1話からです。そうすれば、何を逃したのか見つかるかもしれませんから。はい...お疲れ様です。

(ギョンミン、受話器を下ろす。)

カン局長 : どうした?何が上手く行かないんだ?

ギョンミン : (振り返る) あ、はい、局長...後半部のストーリーがちょっと...

カン局長 : なぜだ?

ギョンミン : ...心配する事じゃありません。時間があるから問題ないはずです。

カン局長 : そうか。 (行こうとするが) 撮影は進んでるか?

ギョンミン : はい。

カン局長 : 今日は撮影はないのか?

ギョンミン : はい。水・木・金の撮影ですから。

カン局長 : ...ユン作家がどうしたんだ?

ギョンミン : (カン局長を見る) まだどうだと言う段階ではないと思うんですけど...

カン局長 : ....経験が不足しているからな....。(ギョンミンを見る) 俺がイ・ギョンミン、お前を信じて組ませたんだから、上手く作ってくれ。ここまで来たんだから、ちゃんとやらないとな。...もしノ・ヨンチョルを彼女と組ませたら、ちゃんと事が進むと思うか?

ギョンミン : ...

カン局長 : 他に問題はないか?

ギョンミン : いいえ。制作コストの問題も解決していただきましたし...

カン局長 : 分かればいいんだ。(しばらくギョンミンを見て、立ち去る)

ギョンミン : .....


#ヨンウン仕事部屋

(キーを押す音が聞こえてギョンミンが入って来る。ヨンウンの姿が見えない...)

ギョンミン : (怪しむ)...

ミジュ : あ...? 監督、いらっしゃい。

ギョンミン : あ...どこに.. 行ったんですか?

ミジュ : いいえ、どこにも。お休みになられています。

ギョンミン : (ミジュを見る) 寝てる?

ミジュ : はい...でも、もう 3時間経つのに起きる気配がないんです。昨日も午後始終眠っていて...

ギョンミン : (心配になる) そうなんですか....?

(ギョンミン、部屋の前に行ってドアを開けてみる。ヨンウン、ぐったり眠っている。)

ギョンミン : (ミジュを振り返って) 食事はちゃんとしていますか?

ミジュ : ....(目を逸らして)はい...

ギョンミン : (ミジュを見る) .....

ミジュ : (困る)...あの...(諦めたように) ちゃんと食べられないんです。...消化が出来ないみたいで...

(ギョンミン、ヨンウンを見て部屋に入って行く。ベッドに腰かけて眠ったヨンウンを眺める。)

ギョンミン : .....

(ヨンウン、寝返りをうって目覚める。)

ヨンウン : うん...? いつ来たの?

ギョンミン : たった今だよ。

ヨンウン : 今何時?

ギョンミン : 4時。

ヨンウン : もう?(起きる) は~、よく寝た...

ギョンミン : 具合が悪いんじゃないのか?何日徹夜したんだ?

ヨンウン : (かすかに笑う) そうじゃないの。風邪を引いたみたい。(にっこりと笑って) もうトシね。これしきの風邪でこんなになっちゃうなんて...

ギョンミン : (にっこりと笑って) どうするんだ?まだ物心もつかない子供なのに、トシだけ取って。

ヨンウン : (睨む) ...若い子が好き?風邪も治らない老けた恋人よりも。

ギョンミン : (黙って笑う) ....

ヨンウン : どうして返事出来ないの?

ギョンミン : 出来ないんじゃなく、しないんだ。(ヨンウンをじっと見て) 俺は...ソ・ヨンウンが好き...(顔を持って行く)

ヨンウン : (微笑みが滲む) ...外に子供がいるのに、大人二人がここで何をするの?

ギョンミン : (ヨンウンの目を見て) ダメ?

ヨンウン : (下を向いて、にっこり笑う) 分かったわ。認めてあげる。イ・ギョンミンはソ・ヨンウンが好きで、真っ昼間だろうが何だろうが常にソ・ヨンウンに目がない'チデナムジャ'だ。

ギョンミン : (吹き出す) 何だ?それ。'チデナムジャ'?

ヨンウン : 最近の若い子が使う言葉。きちんとしている、最高だ、これ以上はないという意味よ。

ギョンミン : (笑う) 'チデナムジャ'というのは、何か?褒め言葉なんだね?

ヨンウン : ええ...まあ、そうも言えるし...この場合には'チデ雄'という表現も...

ギョンミン : 何だって?

ヨンウン : (クックックックッ)...こういう言葉を作る子は、ほとんど女の子だって知ってる?普段は大人しいと思っていても、匿名の仮面を被るとどんな性格が現われるか分からない今の世代の特徴でしょうね。

ギョンミン : 君はどうして知ったんだ?そんな言葉を。

ヨンウン : 前はタジョンがたくさん教えてくれたし、今は私もたまに若い子たちの中に入って行ってみるの。どんな言葉を使うか、何を望んでいるのか。....彼らが見たいと思っているのは何なのか...。でも私の手には負えない部分もあったわ。

ギョンミン : 書く時に、そういうものを見ると影響されないか?搖るがずに書く自信はあるのか?

ヨンウン : 最初は何も考えなかったけど...今は...(考える目つき)

ギョンミン : ..今は?

ヨンウン : 気を付けなくちゃいけないと思うわ。分かるでしょ?私の性格。心配事を我慢出来ないし、他人の言う事を気にするし...。どうしてそれで今まで視聴率を維持して来れたのか分からないけど...。チケット・トゥ・ザ・ムーンの時、本当に大変だったのが分かる?

ギョンミン : .....(黙ってヨンウンを見る)...

ヨンウン : どんなドラマでも恋の物語を抜かす事は出来ないけど、チケット・トゥ・ザ・ムーンは、恋愛よりもウニョンの成長を扱いたかった...。でも視聴者の関心はそうじゃなかった。本当に悩んだわ。私が見せたいのはそうじゃないのに、どうして皆主題からはずれた事ばかりを見るんだろう、と思って...

ギョンミン : それは俺の責任でもあるだろう?俺が作ったドラマなんだから..

ヨンウン : (笑う) あなたは間違ってないわ。万人の気を引くには難しい主題だったのよ。

ギョンミン : だけどチケット・トゥ・ザ・ムーンのお陰で自分のお姉さんを見直すようになった視聴者がいたじゃないか。覚えてない?

ヨンウン : そうよ、そうだった...。(明るく) それじゃ失敗はなかったのね?

ギョンミン : それりゃそうだよ。誰かさんが書いて誰かさんが作ったドラマなんだから。

ヨンウン : やっぱりあなたは'チデナムジャ'だわ。

ギョンミン : (笑う) ...

ヨンウン : (真摯な) 今のドラマも最後まで私の思いどおりに押し通せるかどうか、分からないの。四人のラブストーリーもそうだけど、私たちが働く現場の話だから、うまく伝えられないかもしれないと思って...

ギョンミン : (ヨンウンを見る)...どれだけ書いたんだ?

ヨンウン : もう半分かしら?

ギョンミン : 何部作なんだ?

ヨンウン : 20部よ。

ギョンミン : ....それが終わったら少し休むというのはどうだ?

ヨンウン : どうして?

ギョンミン : 君の体も心配だし...結婚も....

ヨンウン : (目元にはにかみ滲む) .....いつ、するの..?

ギョンミン : うーん...........まだ解決しないとならない事が残ってるんだけど...出来るだけ早く。

ヨンウン : (つんとして) その出来るだけ早くは一体いつなのかしら?

ギョンミン : (笑う) ..もううまい事いってもダメか。

ヨンウン : (目を細く開いて) どーんなにうまい事言われても、もうときめかないわね。

(ギョンミン、笑う。ヨンウン、ベッドから出る。)

ヨンウン : 私、ちょっと顔を洗って来るわ。(部屋のドアを開けて出る)

ギョンミン : ああ。(暖かくヨンウンの後姿を見る)

(ギョンミン、ベッドに座ってボーッとしている。しばらく後 " 先生!!" という声が聞こえる。ギョンミン、驚いて振り向く。)

(風呂場の前にヨンウンが倒れていて、ミジュが泣き面でオロオロしている。ギョンミン、ヨンウンを抱き上げる。)






(原作出処: sonkhj1116さんのブログ


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