いなかの猫の天邪鬼部屋

第27話

OnAir~シーズン2・第27話~

#病院入院室前廊下

ギョングミン : (電話する) イ・ギョンミンです。今外に出ているんですが、このまままっすぐ帰りたいんです。...はい.. はい.. では帰ります。

(ギョンミン、電話を切ってしばらく考え込み、複雑な顔。入院室のドアを開けて入って行く。)


#入院室

(ヨンウン、ベッドに横になっている。ギョンミン、近付いて椅子に座り、複雑な目でヨンウンを眺める。)


#ドリームハウス、代表室

ヘギョン : え?ソ作家が?....そう。分かった....(受話器を下ろし、考え込む)


#入院室

(ギョンミン、相変らずヨンウンだけ眺めている。耳元で医師のの言葉が鳴っている。)

" 危ないところでした。元々血圧が低いのに、姙娠までした状態だと...体力が底の状態です。当分は何もせず、とにかく休むようにするべきです。"

(ギョンミン、ため息をつく。両手に顔を埋める。憂わしい顔でヨンウンを眺める。)

(ヘギョン、入って来る。ギョンミン、振り返ってため息をつく。)


#入院室の外

(ギョンミンとヘギョン、椅子に座っている。)

ヘギョン : ....

ギョンミン : .....

ヘギョン : (ため息) 大変ですね.... それでも仕事をしないわけにはいかないし。

ギョンミン : それでも、何とか一週間は休むようにしないとなりません。お聞きかもしれませんが...

ヘギョン : (ギョンミンを見る) イ監督も混乱されてるでしょう?

ギョンミン : (ほろ苦く笑う) ....

ヘギョン : .... いつまで待たせるつもりですか?

ギョンミン : ......

ヘギョン : 妊娠までしたのだから、これ以上は無理ではないかと思いますけど...

ギョンミン : (頭を下げ、また上げてヘギョンを見る) ...今までも待ってくれたんですよ、彼女は...

ヘギョン : 分かったらすぐに式を挙げるのが手順ではないですか?(息をついて) 私もイ監督の事情が分からなくはないけれど...

ギョンミン : !!.....

ヘギョン : プライドの高さに関してはSBCでも1,2を争うイ・ギョンミンだという事も知っているけど...折れる時には折れる事が出来るのが、本当に強い男ではないですか?

ギョンミン : ....

ヘギョン : 申し訳ありません..おこがましい話をして....

ギョンミン : いいえ.... 誰かに言ってもらいたい.. 言葉でした.....

ヘギョン :.....(ギョンミンを見る)...


#夜、入院室

(ギョンミン、相変らずベッドのそばに座っている。ヨンウン、徐々に目覚める。)

ギョングミン : !...

ヨンウン : .... どこ...? 病院?

ギョンミン : (やや苦いほほ笑み) ああ...倒れたんだ...

ヨンウン : (頭を回して見る) .... 何で?....不治の病?

ギョンミン : (にっこりと笑う) 不治の病という言葉がどうしてそんなに簡単に出て来るんだ?

ヨンウン : (にっこりと笑う) ドラマだと、この場合そういう言葉がよく出るけど...主人公には知らせてくれないでしょ?

ギョンミン : まったく、これだからドラマ作家は...。違うよ、不治の病とは。

ヨンウン : (力無い、しかし可愛く目をきらめかせる) 本当?ああ...良かった。(微かなほほ笑み)

ギョンミン : 実は....(笑う)

ヨンウン : それじゃ ..何...? ひょっとして、私...

ギョンミン : (遥かな目でヨンウンを見る)....

ヨンウン : (ギョンミンを見る).....?

ギョンミン : チュニの弟か妹が出来たそうだよ。

ヨンウン : (驚く).....(目をちらつかせながら考える)...

ギョンミン : 全然分からなかったのか?

ヨンウン : ...うん。

ギョンミン : 3ヶ月目だって。

ヨンウン : ....(考えて口元に微笑滲む) ...分かった...

ギョンミン : 何?...

ヨンウン : いつなのか分かったのよ....

ギョンミン : (微笑む) そんなことが分かるのか?

ヨンウン : (ギョンミンを見てはにかむほほ笑み) あの日...あなたがウチに来た日...(目を下に向ける)

ギョンミン : (思い出して)あ!...

ヨンウン : ....

ギョンミン : ......(ヨンウンの髪を耳の後にかけてやって) ごめん...ありがとう。

ヨンウン : ごめんとは何?ありがたいとはまたどうして...

ギョンミン : (ヨンウンを黙って眺める).... 全部だよ。俺の女になってくれてありがとう。待ってくれてありがとう。俺を男にしてくれてありがとう...

ヨンウン : (にっこりと笑う) 何?男にしてくれてって。

ギョンミン : (いたずらっぽく笑って) 生殖機能に異常がない事を証明してくれたじゃないか。

ヨンウン : (気乗りしないように) あーあ、まったく..この状況にふさわしいセリフだこと、ホント...

ギョンミン : (ヨンウンを見ながら笑う。顔いっぱいに幸せ現われる。)

(ヨンウン、ギョンミンを眺めて幸せな笑い滲む。)


#翌日早朝、入院室

ヨンウン : どうして?ろくに休んでないのに、仕事に行かないとならないの?

ギョンミン : 大丈夫。少し寝たから。(ヨンウンに近付いて額にキス。) おとなしく休んでろ。行って来る。今日は撮影があるから途中で出るのは難しいんだ。

ヨンウン : 私、いつ退院させてもらえるの?

ギョンミン : (ヨンウンを眺める)...... まだダメだ。

ヨンウン : それじゃ、とりあえずヘギョンオンニに頼んで。ノートPCを持って来てもらわなくちゃ。

ギョンミン : ダメだ。

ヨンウン : (理解出来ない)...どうして?

ギョンミン : (ため息をつく) 君の今の状態は ....(わざと真剣に) 危ない...。不治の病ではないけれど。

ヨンウン : (つんとして)...どれくらい危ないの?

ギョンミン : しばらくはとにかく休むようにしろって、医者が。そうしないと君も赤ん坊も助けるのは難しいって....

ヨンウン : (恐れる) ....本当?

ギョンミン : (じいんと熱くなる) ああ..。(ヨンウンのそばに座り、目を見て) だから一週間だけ休もう。まだ放送前だからそのくらいは大丈夫だろ?

ヨンウン : 一週間だけ休めばいいの?

ギョンミン : (微笑む)うん...そうだ...

ヨンウン : じゃあ一週間私は何をするの?ずっとここに横になっていないとならないの?

ギョンミン : (笑う) ちょっと風に当たりに散歩するくらいは大丈夫じゃないか?それ以外は看護婦に聞いてみて。

ヨンウン : 私、一人だと退屈なんだけど....

ギョンミン : それじゃ...俺が仕事に行かないで一緒に遊んでやろうか?

ヨンウン : (可愛く見て) そう出来るならそうして...

ギョンミン : (指でヨンウンの鼻に触れる) そうしたいけど、頑張って働いて君を早く連れて行かないとな。

ヨンウン : (憂鬱になる)...

ギョンミン : (じいんと熱くなる)...心配するな。どうやってでも連れて行くから。(ヨンウンの目を見て) あれこれ考えないで、ただ俺の事だけ考えてろ。な?

ヨンウン : (微笑む) うん...行ってらっしゃい....

(ギョンミン、ヨンウンに口付けて出て行く。ヨンウン、閉まったドアを見ている。)


#局長室

(カン局長、電話中。)

カン局長 : 何だって?今になってそんな話をしてどうするんだ?(ため息) 一体何が問題なんだ?原因を言ってくれ...


#コーヒーショップ

(カン局長とセア、対座している。)

カン局長 : 今になってこんな事でどうする?放送まではもう一ヶ月だ。今になってこれ以上書けないとは、一体何なんだ?

セア : 申し訳ありません、伯父様...

カン局長 : 今は申し訳ないという話を聞いてる場合じゃないんだ。理由は何だ?

セア : (困る)....

カン局長 : どうした?一体理由は何だと...

セア : 文を...書けないんです....

カン局長 : なぜだ?どうして急に文を書けなくなったんだ?

セア : (ため息をつく)....

カン局長 : 黙ってないで何か言ってくれ。

セア : 最後まで書く自信がないんです。どうしても主人公のキャラクターに心を入れられなくて...

カン局長 : おい、少し分かるように話をしてくれよ。 お前が作った主人公じゃないか。それでどうして心が入れられないんだ?

セア : (唇を噛む) 私...彼が好きなんです...

カン局長 : (驚く) 何だって?

セア : (目が赤くなる) ...私の心が痛いから、今のキャラクターに共感出来ないんです。それで文が空回りするようになって..(涙を溜める)

カン局長 : 誰が好きなんだ....?

セア : イ・ギョンミン監督....(涙を堪えて窓の外を眺める)

カン局長 : (呆れる)....それは一体...俺が... 上手くやれると思って組ませたのが....

(セア、窓の外を見て涙をこぼす。カン局長、言葉を失う。)

カン局長 : (低く独り言で) イ・ギョンミン、あいつは...作家キラーなのか?


#<記憶>野外撮影現場

(撮影の合間合間にギョンミン、ぼうっとする。たまに微笑む。そして一人ニヤつく。オソク、そんなギョンミンの様子をうかがう。)


#コーヒーショップ

カン局長 : それは理由にならない。それより何より、何があっても仕事は終わらせなければならない。それがプロだ。

セア : (薄情だと言うようにカン局長を見る) 書けないのにどうするんですか?

カン局長 : お前は一体何歳だ?30を過ぎて仕事と感情とを区別出来ないとはどういう事だ?(考える) むしろ良かったとも言えるぞ。シノプシスはいずれにせよ結末まで行っていなかっただろう?それならば..お前の今のその気持ちをそのキャラクターに積む。いっそ方向を変えればもっと良い内容にもなり得るぞ。

セア : どうすれば....?

カン局長 : イ監督に、女主人公の内面が変わる事にしたと言え。妥当性さえあれば、見てくれなくもないだろうから。

セア: そうだけど...

カン局長 : 何が問題だ?

セア : 彼とずっと作業する自信がないんです。見るのも辛くて...

カン局長 : (ため息).... イ監督には結婚する人がいるのを知ってるか?

セア : はい....

カン局長 : そうか...知ってればいいんだ...

(セア、また唇を噛む。涙を溜める。カン局長、そんなセアが痛々しい.....)






(原作出処: sonkhj1116さんのブログ


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