いなかの猫の天邪鬼部屋

第29話

OnAir~シーズン2・第29話~


#ドリームハウス前

(ギョンミン、車中でしばらく考え、降りる。)


#ドリームハウス代表室

(ギョンミン、ソファ-に腰掛けている。ヘギョン、入って来る。)

ヘギョン : (意外そうに) まあ、イ・ギョンミン監督がどうして....(深刻そうに) ヨンウンに何かあったんですか?

ギョンミン : いいえ、そうじゃなく...御相談したい事があるんです。

ヘギョン : 相談ですか?

(しばらく後)

ヘギョン : (原稿を下ろしてギョンミンを見る) .... これをシナリオにしたいと?

ギョンミン : はい...出来れば...

ヘギョン : (考える) .... 出来ない事はないと思うけど...私たちはドラマ制作社なので...

ギョンミン : ...知っている映画社はないですか?

ヘギョン : ...それとは違うけど....(見る)..

ギョンミン : (見る)....?

ヘギョング : TV用映画にするのはどうでしょう?

ギョンミン : TV用映画ですか?

ヘギョン : ええ。最近は上手く作られるようになっていて、ほとんど映画水準の画面と変わらないですから。ストーリーさえしっかりしていれば、完成度は問題ないでしょう。

ギョンミン : それで...その ...

ヘギョン : (見る)..?

ギョンミン : (ほろ苦そうに) ..いくらになるかが問題なんです...

ヘギョン : (黙ってギョンミンを見る)....いくらだと予想なさいますか?

ギョンミン : (見る。視線を回す).... いくらで買ってもらえますか?

ヘギョン : 映画のシナリオは普通1500から2000位です。作家の認知度によっても違うけど...(原稿を見て) この場合は作家も無名で処女作だから検証が必要ですね。

ギョンミン : ....

ヘギョン : イ監督。

ギョンミン : (見る)はい。

ヘギョン : (しばらくの間ギョンミンを見る)...プライドを売って女と暮す ...どうですか?

ギョンミン : ???

ヘギョン : (見る)......

ギョンミン : (頭を回す)....(どういう意味なのか考える)...

ヘギョング : (静かに口を開く。) 5000差し上げます。

ギョンミン : !!!

ヘギョン : 率直に申し上げると3000までが限度です。(にっこりと笑う) 買った人がもっといい値をつけただけです。

ギョンミン : .....(複雑な)

ヘギョン : こっちも商売です。それで損害を被るような事はしません。上手く作りますよ。輸出も可能なものにしましょう。作家であるイ・ギョンミン監督が演出をするというのが最もいいんですが...それは放送局と話をしないと....

ギョンミン :.....(胸がいっぱいになる)..

ヘギョン : もっと差し上げると言ったらプライドが傷付きますか?お金で買えないプライドだという事は分かりますけど。

ギョンミン : (目頭が赤くなる)......


#夕方、入院室

ギョンミン : (椅子に座ってボーッとし、夢見るような)....

ヨンウン : (本を見ながらギョンミンを横目で見る)...?

ギョンミン : .......

ヨンウン : どうしたの?

ギョンミン : (頭を回す) うん?....別に....

ヨンウン : 疲れてるの?疲れてるなら横になって。

ギョンミン : (にっこりと笑う) そうじゃないよ。

ヨンウン : .......

ギョンミン : (ヨンウンを見て微笑む)...

ヨンウン : (ためらう).....

ギョンミン : ??....どうかしたのか..?

ヨンウン : (ギョンミンを見て静かに) 昼にキム代表が来たわ。

ギョンミン : !!!

ヨンウン : 入院したと聞いたから来てみたって。

ギョンミン : そうか...。 .....他に話は..?

ヨンウン : それだけ。...それだけで帰ったわ...

ギョンミン : .........(にっこりと笑う) ....

ヨンウン : ?....何か?

ギョンミン : 人の心と言うのは思い通りにならないんだと思って。...どうすればいい?争う事も出来やしない...

ヨンウン : (気抜けする)...そう。..そう言うか~。

ギョンミン : (見る) 何?

ヨンウン : ちょっと興奮して欲しかったのよ。(ギョンミンを見てにっこりと笑う)

ギョンミン : (見る).....今の君の状態は正常じゃないだろう? いつもと同じようにしたら、また君がこんなふうに倒れるかもしれないから。

ヨンウン : (唇を尖らせる)ありがたいわね~。ヤキモチを焼くにも私の事を思ってくれて。

ギョンミン : 俺のヤキモチは全て君を思っての事だよ。俺の恋人なら分かるだろ?

ヨンウン : もう...。だけど、ちょっと怖かったのよ。

ギョンミン : 何が?

ヨンウン : (見る)...私たちの子供が出来た日....

ギョンミン : ?...!... (見てからすまなそうに)...あの日はちょっと..。怖かったか?

ヨンウン : ....(ギョンミンを見る。胸がドキドキする。顔が赤くなる。視線を下げる)...

ギョンミン : (ヨンウンの表情を見て、口元に微笑滲む)...君は...とても綺麗だよ....

ヨンウン : (口元にほほ笑み)...そんなふうに見ないで...。...ドキドキするから...

ギョンミン : (ヨンウンを見てため息)...一体いつまで入院していないとならないんだ?

ヨンウン : (ギョンミンを見て呆れる) まったくもう...ここから出られないようにした人は誰?

ギョンミン : (ヨンウンを見てにっこりと笑う).... (緊張して)...ポッポは...大丈夫?

ヨンウン : (別のところ見る) ..ポッポだけよ..

(ギョンミン、ベッドに腰掛けて控え目にヨンウンの唇に口付ける。唇離して眺める。ヨンウンの視線が下がる。ギョンミン、ヨンウンの唇にまた口付け、離そうとしたが再び...少しずつ動く唇。ヨンウンの腰に絡むギョンミンの腕。徐々にヨンウンを引き寄せる。ヨンウンの呼吸が速くなる。深くなるキス。ギョンミンのシャツをギュッと握るヨンウン...)

("点滴しますよ~" の声に離れる二人。看護婦が無表情に入って来る。顔が赤くなる二人。ギョンミン立ち上がる。看護婦点滴の準備をする。互いを横目で見る二人。笑いをこらえる...)


#一週間後、ドラマ局PD室

ギョンミン : (電話に出る) はい、イ・ギョンミンです。

セア : ユン・セアです。

ギョンミン : はい。文は....

セア : あと一週間だけ待ってくださいませんか?今 13話まで書きましたが...14話まで書けば監督が理解しやすいと思うんです。

ギョンミン : そうですか....分かりました。ところで.... 大変でしょう?

セア : (ドキッ!) え?何がですか?

ギョンミン : もう一度書いてもらった事です。...俺が厳し過ぎるんじゃないかと...そう思うでしょう?

セア : (むかっとする) いいえ。...おかげ様でとても勉強になります,....

ギョンミン : .... それでは、寒いですから風邪引かないように気をつけて。お疲れ様です。

セア : はい....お疲れ様です...(涙落ちる)


#一週間後、PD室

(ギョンミンの机の前。ギョンミンとセアが座っている。)

ギョンミン : いいですね。よく書いてくれました。シノプシスは気にしないで、ずっとこんなふうに書いてください。

セア : (ジーンとする) よかったです...

ギョンミン : これを終わらせれば、もうユン作家もプロになるでしょう。大変だったのによく堪えてくださって、ありがとうございます。

セア : まだ結末が付かないんです...

ギョンミン : そう...こんなふうに書いてくれればいいんです。観る人が共感するように、理解されるように....

セア : はい..ありがとうございます...

ギョンミン : いいえ...

セア : (感情を動かすために拳をギュッと握る)...帰ります。お疲れ様です。(立ち上がる)

ギョンミン : (立ち上がる) はい。お疲れ様です。


#夜、スタンドバー

(セア、一人でバーに座ってグラスを傾ける。周りにいる男たちがチラッと横目を使う。)

バーテンダー : (セアにカクテルを持って来る。) お客様..あちらにいらっしゃる方が ....

セア : ?.....

(バーテンダー、首を横に動かして示す。セア、振り返る。やや遠く離れた席で一人の男がセアにグラスを上げて見せる。)

セア : (無表情に頭を回す) ...

(男、立ち上がって近付く。)

男 : (セアの横に座り、セアをじっと見る) 一杯飲みませんか?

セア : (面倒そうに頭を回す)...

男 : こんな所に一人でいらっしゃったのを見ると...寂しいのでは?

セア : (そっぽを向き続ける)...

男 : 高慢だな...

("私の連れですが" という声がして振り返るとサンウが立っている。男、ぐずぐず言いながら立ち上がる。セア、横目で見てまた頭を回す。)

サンウ : (セアの横に座る) ユン作家で...いらっしゃいますか?

セア : .....

サンウ : .....(乾いた表情) こういう所に一人でいらっしゃると、事故を起こしたいというように見えるんですよ。

セア : (にっこりと笑う) それでですか?私が事故を起こすのを手伝ってくださるつもりですか?

サンウ : .... (見る) 事故を.. 起こそうと?

セア : (体の力を抜く) 事故を起こすにしても..誰かと一緒には起こしません。...一人で起こします...

サンウ : (黙って座っている)....

セア : (振り返る) ...お忙しいのでは?もう行ってください。

サンウ : 幸か不幸か用事はもう終わったんです。存じ上げている方なのに一人で置いて行くことは出来ませんよ。特にこんな所には。

セア : (頭を回してそっぽを向く)...

(時間経過)

セア : (酔って、首を斜めに傾げてサンウを見る) 私 ..どうですか?

サンウ : (目を細める) 何がですか?

セア : (肩をそびやかすようにして) ただ見て、どうかという事...魅力ないですか?

サンウ : (この女は何をしようというのだ..?眉をひそめ、しかめる).... 今.... 何をおっしゃったんですか?

セア : (にっこりと笑う) ...答えたくない...答えなくていいんです....(サンウを見る) どうしてここにいらっしゃったんですか?

サンウ : 言ったでしょう?一人にしておけないと。ここは危ないです。

セア : (横目でサンウを見る) .......それじゃ、どうせいらっしゃるなら...今から私の話を聞いてくれますか?そして聞いたら忘れること。

サンウ : とにかく聞きましょう。

セア : (ため息) そう...私にとっては恥ずかしい事。...忘れても忘れなくても、忘れた事にしてくださいますか?

サンウ : .....

セア : (グラスを眺める) 私、こう見えてもなかなかいい女なのだけど。

サンウ : そう思います。

セア : (にっこりと笑う) ...私が好きだと付きまとう男は多かったんです。でも私はイヤでした。その男たちが好きなのは一体私のどんな部分だろう。顔?スタイル?学歴?それとも...我家の財産?

サンウ : ....

セア : 本気で私を愛しているのか...? (息をついて) そういう事を考えると心を開けないんです...

サンウ : ....

セア : でも...その人は私を見ないんです...一度も...

サンウ : 誰ですか?

セア : .....その人にはもう女がいたんです。...でも.... その女は離婚していて子供がいて私より年も多くて綺麗でもでもないのに、その人はその女だけ見るんです。それで、来るものがありました。初めは好奇心、その後はプライド、もっと後には....

サンウ : ....

セア : その人は私を教えます。その人は私を叱ります。でも、その言葉が全て当たっている。そんなふうに ...その人は私を馬鹿にして.... 私を惨めにして....

サンウ : .....

セア : セア.... (微笑む)その人は優しいんです。子供のようになるし.... (憂鬱になる)私にはではないけれど...(涙を溜める)

サンウ : ....

セア : (息をついて) だから忘れるつもりです。今日まで想って、そして忘れるつもりです.....

サンウ : それでは忘れてください。

セア : (サンウを見る) ...(ため息) 愛した事が...人を愛した事がありますか?

サンウ : (セアを見る) ...なぜそんな事を聞くんですか?

セア : 簡単に忘れられましたか?

サンウ : 私が忘れなさいと言いましたか?忘れると言ったのはユン作家ですよ。

セア : まったく...慰めてくださるのなら、ちゃんと慰めてくださらないと...

サンウ : 私は慰めの言葉を言った事がありませんから。

セア : (サンウを見る) ...手ごわいわね....

サンウ : .......






(原作出処: sonkhj1116さんのブログ



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