inatoraの投資日記

inatoraの投資日記

2005年08月14日
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前回は、タイプの異なる3種類のリスク管理論を単に列挙するだけに留めましたが、実際にはこれらを自分の性格や目的に合うように組み合わせなければならないと思います。

そして、優れた投資家はこれを意識・無意識に関わらずやっているはずだと私は考えています。(リスク管理が疎かな投資家が長期的に生き残れるとは到底思えないので。)

今回は、そのために必要なことについて何らかのきっかけとなればと思います。

1.投資銘柄を分散させる
2.投資銘柄をよく調査して安全域を大きくとる
3.間違ったと思えばすぐに切る

世間一般のイメージとはやや異なるかもしれませんが、リスク管理として強固なのは2や3であり、1はそれに比べるとかなり弱いと思います。


**************************

1.投資銘柄を分散させる



学者の論理である「ポートフォリオ理論」を持ち出すならば「銘柄数がN倍になると、個別リスクは√N分の1に減る」となります。もちろん、ある一定の仮定が満たされての架空の計算上の話であり、実際にはそこまで減らないのですが、ここのポイントは「減るのはあくまでも個別リスクであって、市場リスクは除去できない」という点です。

これは「とりわけ市場の暴落時には、いくら銘柄分散をしていても下がるときは下がる」と言っているようなものですから、ある一定規模を超えて銘柄数を増やしたところで、それによるリスク分散の効果を享受できるものではありません。したがって、「銘柄数を増やすことで期待出来るリスク分散効果は一定規模までである」と結論付けることが出来そうです。

さらに、銘柄分散をさせるなら、「業種特性が異なる銘柄」「投資スタイルが異なる銘柄」という形で分散させたほうが良いと思います。もっとも、こうした多角化をあまりやりすぎると、それ自体がリスクだということにもなりかねないですが。

あと、今の私は消極的ですが、人によっては「資産クラスでリスク分散を図る」ことが有効かもしれません。これは、株式以外の投資対象も考慮するということで、俗に「アセットアロケーション」というものです。

例えば、株式とキャッシュでリスク調整している投資家であれば、「株式でいい投資案件がなければキャッシュポジションにする」というだけのことです。下手に投資案件を探してやみくもに銘柄分散するくらいならばこのほうがリスク管理としてはすっきりしていると思います。


2.投資銘柄をよく調査して安全域を大きくとる

株式投資における最大のリスクは「自分が良く理解していないものに投資すること」だと思います。投資している銘柄の特性(本源的価値や値動きの特性)を理解していないと、新しい情報や価格変動に対してどう対処すれば良いか分からないという事態に陥ります。

自分で適切な判断が出来ないのですから、いくら銘柄分散でカバーしようとしてもそれは無理があります。当たり前ですが、まずは、投資銘柄をよく調査することが肝心だと思います。

あと、ファンダメンタル投資に関して言えば、銘柄数を増やすことよりも大きな安全域をとることのほうが、リスク管理としては遥かに優れています。安全域の考えは人それぞれですが、「とりわけ将来に関する事項は保守的に見積もること」を心がけていれば、それが身を守ることになるかと思います。

そもそも人間には情報処理能力の限界があります。インターネット社会になり多くの投資家とネットワークが広がったとはいえ、多数の銘柄を監視することには限界があります。

機械的投資(システムトレード)を行わないならば、一人の投資家がガッチリと監視できる銘柄数はどのくらいか?これを考えると、あまり多くの銘柄を保有するというのは、よく分かっていない銘柄(あるいは、状況確認が遅れる銘柄)が必然的に増えてしまいます。




3.間違ったと思えばすぐに切る

投資における成否の分かれ目となる要因を一つだけ挙げるとすれば、それは「貴方が株式投資向きの心理状態になっているかどうか」に尽きると思います。そして、心理面でのリスク管理を考えたとき「自分の間違いを素直に認められるかどうか」が非常に重要だと思います。

トレーダーの場合、短期のノイズを取りに行くということから自分の判断の成否は価格だけです。このような場合、事前にロスカットラインを定めることは絶対不可欠です。

バリュー投資家の場合、基本的には価値判断に関する自分の考えが重要ですから、機械的なロスカットラインを定めることについては賛成しかねるのですが、レバレッジをかけていたり1銘柄のポジションが過大である場合には、ファンダメンタルとは別の判断で動く必要もあることだけは認識しておくべきです。

もっとも、バリュー投資でレバレッジをかける場合、「多少の価格下落で凹まないくらいの芯の強さ」のほうが大事ですが。




まとめると、以下のようなことになろうかと思います。

(1)保有銘柄は「少な過ぎず多過ぎず」を心がける

さすがに1銘柄や2銘柄では殆どの人にとってリスクが高いと思いますが、個人投資家が20銘柄以上保有してするのはやりすぎだと思います。

現実には、5銘柄~10銘柄くらいが適切だと思います。これだけの銘柄数があれば、(やるかどうかは別として)よく調査した上での業種分散やスタイル分散もそれなりに実行できます。

逆に言うと、そこまで銘柄数を絞れない状況であれば、それはよく調査をすることが先決だと思います。銘柄分散は「無知のカバーでなく不測の事態への備え」という位置づけにしたいものです。


(2)買う前に、その後の投資判断をある程度明確にしておく

要は投資対象を定量的にも定性的にも事前に良く調べよということです。安全域の計算やそれが覆される可能性などを勘案して、(ぎりぎりではなく)かなり余裕をとった上で投資することが最大のリスク回避策だと言えます。

よく調査することで、その後出てくるファンダメンタル情報や価格変動にも適切に対応でき、「このような状況になれば売り」とか「明らかに今は売り時ではない」などが自分で判断できます。

ある投資案件について期待できる利益と見込みが外れた場合の損失を考えてみて、損失のほうが大きいと感じればそれは投資するに値しません。

ただ、誰もが損をするために投資しようとは思っていないはずで、それゆえに自分の投資判断に主観的かつ楽観的なバイアスがある可能性があります。そのことを踏まえた上で、客観視しなければならないところが難しいところではあります。


(3)保有銘柄については、自分の損益状況と切り離して継続保有すべきかどうかを考える

「含み損を抱えているから売らない」というのは継続保有するための合理的な理由だとは思えません。希望的観測や不安がある状態で保有していると感じれば、それは一旦切ったほうが無難です。そこで、その後株価がどうなるかを気にしてはいけません。

機械的なロスカットラインを置くかどうかについては、その人が採用している投資スタンスに依存します。バリュー投資ならば、その本質からそれはしないということになるのでしょうが、これとて、資本政策次第で変わります。

あと、ナンピンをするのは、自分の投資判断が正しいという確信がさらに高まったときに限定すべきであり、損を取り戻したいという気持ちでやると確実に破滅します。


今日の言葉:
「銘柄を増やさないとリスクを減らせないという投資手法は、その投資手法そのもののリスクが高いのである。」





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最終更新日  2005年08月14日 09時22分26秒
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