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100円ショップのセリアの分析第2回です。
前回は過去の業績と傾向について書きました。
今回は財務と資本政策の分析について書いてみたいと思います。
2.財務と資本政策の分析
(1)自己資本比率の推移
| 決算期 |
98.9月期 |
99.9月期 |
00.9月期 |
01.3月期 |
02.3月期 |
03.3月期 |
04.3月期 |
05.3月期 |
06.3月期 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 自己資本比率 |
11.2% |
12.0% |
16.0% |
15.8% |
12.5% |
16.8% |
23.7% |
28.6% |
31.8% |
かつては10%台の低い自己資本比率でしたが、06.3月期には30%を越えてきました。現金が主な決済手段である小売業においては問題のない水準だと思います。
2003年9月にIPOしましたが、10億円程度と小規模なIPOだったため、04.3月期の自己資本比率の上昇は7%程度に留まりました。
(2)有利子負債返済能力
有利子負債の返済能力は利益ではくてCFベースで見ます。利益が出ていてもキャッシュが入ってこなければ、負債を返済する原資がないからです。
・潜在的返済能力: 有利子負債/営業CF
営業CFにより何年で有利子負債を返済できるかを見ます。
・現実の返済能力: 有利子負債/FCF
実際には設備投資をした後で負債を返済する形になります。そのためこの式による返済年数が現実的となります。

FCFがマイナスだとしたら、本業によって創出されたキャッシュから負債を返済できませんので、「返済不能」としました。実際には(1)現預金を崩す(2)財務CFから返済するの選択になります。
セリアの場合は積極的に店舗に投資していたこともあり、2002年、2003年あたりはひどいものでしたが、ここ3年営業CFの改善が進み前期にはFCFがプラスになったことによって、2006年3月期には3.5年で有利子負債を返済できる計算となりました。中小企業では15年以内が目安という話ですから、この調子が続けば有利子負債返済能力には問題がないと言えそうです。
負債の圧縮は自己資本比率を高めますが、その結果WACCも高くなってしまいますのでほどほどに返済していけばいいと思います。
・利息の返済能力: CFベースのインタレスト・カバレッジ・レシオ
負債の返済能力のところで述べたのと同じ理由で、利息の返済能力も良く使われるインタレスト・カバレッジ・レシオの代わりにCFベースのインタレスト・カバレッジ・レシオを用います。
すなわち、 (営業収支+受取利息+受取配当金)/支払利息です。
営業収支とは営業利益に減価償却費などを足し、営業活動に係る実際のCFを算出したものです。フリーページをご覧ください。
直近で49.7倍とまったく問題ありません。
(3)運転資金構造

98.9月期→03.3月期の間にやはり大きな変化があったようです。SF日数が-25.6日から23.3日に増加しています。しかしこれは主に買い入れ債権TPの減少に起因していることがグラフより分かります。
運転資金TP(=売上債権TP+棚卸資産TP)は概ね一定の範囲をキープしており、直近のSF日数も16.9日ですから、問題のないレベルです。ただ、売上債権TPの圧縮はほぼ限界に近づいていますから、棚卸資産TPの増加がないかどうかを注視していく必要があると思います。
SF日数16.9日というのが安全かどうかは、手持ちの現預金と比較すればいいと思います。06.3月期期末の現預金は42億円強で、売上高の27.4日分に相当しますので、10日分ほど余裕があることが分かります。この数字についても時系列でSF日数と比較してみます。
いずれの期も余裕日数はプラスなので、資金繰りは問題ないと言えます。ただし、以前ほどの余裕日数はありません。
06.3月期は余裕日数が改善しています。ここまでの分析を見ても分かるように、06.3月期は様々な指標で改善が見られています。今後もこの傾向が続くかどうかがポイントになります。
(4)設備投資
過剰な、あるいは消極的過ぎる設備投資を行っていないかを売上高との比率で見ます。また、時系列で設備投資額と営業CFの増分を比較し、設備投資の効果が出ているかもチェックします。
売上高設備投資比率は5%前後の年が多いですが、06.3月期は出店ペースを緩めたことと売上高が伸びたことにより2.1%と低くなっています。
数字自体の高い低いは他社を見てみないとなんとも言えません。
次に設備投資によってもたらされた営業CFの増分については、02.3月期~06.3期の合計で83億の設備投資に対し、30億の営業CF増加を発生させています。
感覚的にはなかなか良い結果なのではないかと思いますが、これもきちんと他社分析をしないと結論は出せません。
(5)利益とキャッシュフローのギャップ
利益が出ていてもそれに見合うキャッシュフローが創出されていないと、その差額が減損損失などでいつか表面化することになりますので、チェックします。

これについても現在の傾向が続けば、という条件付ですが問題ないようです。
基本的に収支>利益であればOKです。
何年も収支<利益となる状況が継続していれば、いずれは資金需要が発生して増資に発展するか、減損などで特別損失が発生することになります。
以上で2.財務と資本政策の分析を終わります。
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