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2004.10.18
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Koutaroさんのバースディーライブに出かけた。

友人のYさんとの待ち合わせは19時。その日の13時に、息子は膝の手術を無事終えている。
普通は子どもの手術の日に、ライブなんて行かないんだろうな・・・。そんなことを思いながら待っていた。
これは子どもの入院25回以上の経験からくる「慣れ」かもしれない。
そのうちの2回は確実に子どもの「死」を意識した。長男の麻疹と肺炎の合併。
この合併で、私の知り合いは子どもを亡くしている。私も医者から「覚悟してください」の言葉を聞いた。
22歳だった私はその言葉を拒絶した。覚悟をする暇なんてない。必死だ。
25回以上の入院の大半が次男だった。次男には喘息があり、発作のたびに近くの病院へ運んだ。

長くても4~5日で退院した。が、1度だけ治まるどころか症状がひどくなり、酸素マスクを当てられたことがあった。
1秒間に1回の浅い呼吸を繰り返す。これが続くと咽喉を切開して人工的な呼吸の処置がとられる。その一歩手前だった。
夫は修学旅行の引率でいない。同じ病室にいる付添い人達は、次男のあまりにひどい苦しみに硬直している。
ナースステーションと息子の間を何度も走る私は、心細さと恐怖の金縛り状態で、祈りながら懸命に看護した。
それから考えると、「足の怪我」は命を脅かすものではない。という安心があったと思う。
手術に耐えた息子をねぎらって、明日からの付き添うエネルギーを、ライブに行くことで得たかった。
夫もそう思って送り出してくれている、はず(笑)

会場は「ビック キャット」
着いて驚いた。ここで一度公演をしたことがある。名前が変わっていたので分からなかった。
だけど地図を見てピンと来ないのが不思議。地図では心斎橋の方が近いのに、当時は四ツ橋からきていたような気がする。
バカだな・・・私。

充実した照明器具が目に入る。照明の演出があれば素敵なのに。劇団がここで演じた作品を想い出した。
公演した舞台は、客席との境界線を外して装置が組まれた。客席にまで零れた照明の光が美しかった。

Koutaroさんのライブが始まった。
音楽であれ、舞台であれ、本物に触れるというのは、いい。
きっちりと自分の中に印象づけられて、忘れない箇所に仕舞いこまれる。

たとえば「川の流れのように」の解釈とその表現には、知っている曲にもかかわらず、
koutaroさんを通して聴くと別物になる。絶品だなぁ。驚きと感動と、感謝も覚えた。
手を引かれるように、歌のもつ世界へ連れて行かれる。心のどこかにある未知な部分がピクンと震える。
先日のライブにあった快感を、また味わった。こういう気持ち良さがたまらない。

ただ、スピーカーの近くにいたので、特に右の鼓膜が異常に響くものだから、音が割れて聞こえてくる。
左は平気なのに、右耳が・・・困った。
そこで耳栓を作ることにした。テッシュを丸めて右耳に詰めてみたが、テッシュの繊維というのは目が粗く、
大音量は悠々と繊維の間を潜り抜け、私の鼓膜を叩いた。まいったなぁ~。
要は、繊維の隙間を防いだらいい。仕方なく、あの手を使うことにした。
テッシュに水分を含ませて音の侵入を塞ぐのだ。探すまでもなく、私は打ってつけの物を手ししている。ビールだ。
すぐにビールを口に含み、チュ-ッとテッシュに染込ませた。そうして重みを増したテッシュを耳に詰めてみた。
大音量の侵入を適度に塞ぎ、左耳と平均した音がいい按配で入ってくる。おぉぉぉぉ~~! これはいい! 快適じゃん! 
この快適さをどうしても隣に座っている友人のYさんにも知らせたくて、私は右手でテッシュを丸めだした。
隣にいるのが夫なら、迷わず「ビール風味の濡れテッシュ耳栓」をギューッと押し込むのだけど、
よそ様にそんなことをすれば、やった瞬間から「さようなら」なので、休憩時にこの耳栓を紹介しようと
待つことにした。休憩はなかった。だから耳栓のことも言わなかった。
帰りに「音はだいじょうぶだった?」とそれとなく聞いてみたけど、なんともなかったようだ。よかった。
だからYさんは、私があのライブの最中に耳栓作りをしていたことを知らない。

この日、お手洗いで驚くべきことがあった。
詳しくは書けないので、読まれた人には大して「驚くべき」ことにならないのだけれど、
私は呼吸が止まってしまった。これは形容ではなく、本当に呼吸と瞬きが止まった。
15年ぶりに、高校時の親友に会った。私はこの長い期間を「生き別れ」と呼んでいる。
彼女は、私の高校生活そのものの人だった。演劇部で一緒に過ごした彼女は、
私だけではなく他の部員とも音信が不通になっている。
彼女が私の名を先に呼んだ。
聞き覚えのある声に振り返って、真正面にいる女の人と目が合ったが、その人を「彼女」と確認するまで、
私は自分の記憶の中にあるいくつもの顔を、高速で掻きあさった。
「私、ノン! ノン!」彼女が自分の呼び名を私に言った。でないと本当に私には彼女が分からなかった。
きれいになっていたノン、20kgは痩せたんじゃないかな。こんなことを言うから私は彼女に怒られるんだ。
急いで私は名刺を渡したが彼女は何も持っていない。また「生き別れ」か、と思ったら、
彼女が私の携帯に着信を入れてくれた。そうして、手を握り合った。今度こそ、一緒にいれますように。

帰りの電車の中でYさんが「『オッサン』って、なんだかカッコイイですよね」みたいなことを言った。
男の人から見ても、そう感じるんだ
そうでない人ももちろんいるけど、ステージで歌っていたkoutaroさん達は、譬えようもないほどカッコよかった。
男も女も、人間を何年もやりながら、懸命に生きて、語るべきものを持っている人は、カッコイイ。
電車の中でいろんなことに浸りながら、今日のことを想った。
息子のこと、koutaroさんのこと、友達のことを・・・。考えることはしなくても、心のどこかにそれらがある。
そんなとき、Yさんの話していることに、ぐっと聞き入ってしまった。
そのうちのひとつに、物語が自分に宿る感触を覚えてしまう。驚いた。話が、私を通り過ぎていかなかった。
電車を降りてからも、これを書いてる今でさえも、印象に残っている。
なんとなく、ボーッとして聞いていたように思う。一通りボーッとしたら、口が半開きになって
何かを言おうとしたけど、それが極端に自分の世界の話なんだと気が付いてやめてしまった。
・・・ 話せばよかった。私の降りる駅は、すぐそこだったから。あともう少し時間があれば、と思った。

いろんなことがあったな。思い切って出かけてよかった。本当に。









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Last updated  2004.10.21 11:09:16


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