ダチ



俺にはダチがいる。
そのダチ全員が、俺の恋愛のことを知っている。
俺が、男と付き合ってるってこと。


高校入学した時、神奈川から引っ越した俺は友達が全然いなかった。
むしろ、自分が同性愛主義者なことに気づいて、自然と男から遠ざかっていたんかもしれへん。

“俺がホモやってバレたらどうしよう”

“俺のこと知ったら、みんな引くんだろうな”

“俺、それが原因でイジめられるかもな”

マイナス思考やった。
自分は他の人とは違うんやと思っとった。

そん時俺は、同性愛ってことに否定の感情を持ってた。
俺が同性愛について自然に構えるようになったのはもっと後。


高校入学して1週間かもうちょっと経ったくらいの放課後。
クラスの男子数人が話しかけてくれた。

「名前なんて言うんや?これから遊ばへん?」

嬉かった。みんなで行った場所はカラオケ。
歌が上手い!ってみんなに誉められてちょっと、ってか、かなり照れた。
関西弁も教えてもらった。次の日も次の日もずっと遊んだ。
金の無い時は誰かの家で世間話。

楽しかった。
中学の時、和輝以外に特別に仲がええ人がおらんかった俺にとって、
すげぇ幸せだった。

だんだん友達が増えて、いつの間にか7人、そんくらい仲のええやつができとった。

仲良くなるにつれ、信頼できるようにもなった。


“こいつらになら、話せる”

そう思った。だからみんなと、7人でどっかの店に集まった時に話した。


「俺さ、実はな、ホモなんね。冗談抜きで。」

現実なんて甘いもんやない。
結局、裏切るヤツは裏切る。


「すまん。俺ちょっと無理系。そういうの。」

そう言って、3人、居た店から出て行った。


そういうのってなんや?
どういうのなん?
俺、そんなに変?
そんなに俺とつるみたくない?

友情なんて、しょせんそんなもん?
今まで遊んでたんも上辺みたいなもんやった?

俺の頭の中でいろんな感情がぐるぐるする。
あいつらは裏切り者。
そうとまで感じてしまった。

残った4人はどうなんや?
お前等も俺を裏切る?
それとも笑うんか?


「俺、別に気にしんよ。蓮は蓮やん。」
「俺もやで。ホモやって、なんやって、俺のダチには変わらへんよ」


・・・こんな言葉が返ってくると思わなかった。
被害妄想突っ走ってたから。
そん時俺は、泣いた。

見捨てられると思った。

一人ぼっちになるんかと思った。

嬉しかった。

“蓮は蓮”

この言葉がすげぇ心に響いた。


今はこの4人とよく遊ぶ。
最近は悠也も一緒に遊んだりする。


おもろいし、優しいし、ノリがええし、かっこええ、
俺の最高のダチの話。


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